2026年10月03日

健診でバリウムを飲んだあと、「便がずっと白いままで心配」「下剤を飲んでも全然出ない」と不安になる方は少なくありません。実はバリウムは体に吸収されず、便と一緒にそのまま排泄される造影剤です[1]。とはいえ、まれに腸の中に留まって思わぬトラブルにつながることもあるため、出し方のコツと受診のサインを知っておくと安心です。この記事では検査直後に気をつけたいことと、何度もつらい思いをしている方の次回の選び方を整理します。
白い便はバリウムが出ている印
検査で使う硫酸バリウムは、消化管で吸収されずにそのまま便として排泄される造影剤です[1]。検査後しばらく便が白っぽくなるのは、バリウムが腸の中を通過している途中のサインで、出し切ってしまえばもとの便の色に戻っていきます。ただし添付文書には、まれに消化管の中にバリウムが留まることで、消化管穿孔や腸閉塞、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎といった重い合併症が報告されているとも記載されています[1]。便秘や排便困難、一過性の下痢・腹痛もよくある副作用として挙げられており[1]、「出にくいな」と感じるのは珍しいことではありません。だからこそ、次に説明する下剤と水分のとり方が大事になります。
出しきるための下剤と水分
添付文書では、日常の排便状況に応じて下剤を使うことと、バリウムを迅速に排出するために十分な水分をとることが指導事項として挙げられています[1]。検査を受けた施設では、便通の様子に合わせて下剤の種類や飲み方を説明しているはずなので、まずはその指示どおりに進めるのが基本です。水分は普段より意識して多めにとり、下剤の効き方を見ながら様子をみてください。
検査後の過ごし方(目安の流れ)
※ 具体的な時間や日数の目安は示されていません。検査を受けた施設の説明書の指示に従ってください。出典:硫酸バリウム散99.1%「共成」添付文書[1]
説明書の内容があいまいだったり、手元に残っていなかったりする場合は、自己判断で市販薬を買い足す前に、検査を受けた施設に電話で確認するのが安全です。
こんなときはすぐ受診
添付文書では、排便の状況を確認し、持続する排便困難や腹痛などの消化器症状があらわれた場合には、直ちに医療機関を受診するよう指導するとされています[1]。下剤を飲んで水分もとっているのに、それでも便が出ない状態が続く、お腹の痛みや張り、吐き気を伴う――というときは、様子を見続けずに連絡してください。
- 下剤を飲み、水分もとっているのに便が出ない状態が続く
- 腹痛がある
- お腹の張りがある
- 吐き気を伴う
出典:硫酸バリウム散99.1%「共成」添付文書 8.1.3[1]
なお、お腹が強く痛むときに自己判断で市販の下剤を追加で飲むのは避けたほうがよいでしょう。厚生労働省が公表した使用上の注意の改訂でも、バリウム排出を促す薬の一部は、急性腹症が疑われる患者には使ってはいけない禁忌とされています[3]。痛みが強いときほど、自分で薬を足すのではなく医療機関に相談する場面です。
高齢の方・持病のある方の注意
添付文書は、高齢の方は消化管の動きが低下していることが多く、バリウムが留まることで消化管穿孔が起こりやすく、起こすと重篤になりやすいと注意を促しています[1]。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、虫垂炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎の既往がある方、消化管が狭くなっている方や腸管に憩室がある方も、穿孔のリスクがあるため注意が必要とされる患者群です[1]。また、高齢者や嚥下が困難な方、喘息のある方などは検査そのもので誤嚥を起こすおそれがあるため、むせこみや息苦しさがあれば早めに伝えるようにしてください[1]。該当する方は、検査前から下剤や水分のとり方を含めて施設のスタッフに相談しておくと安心です。
毎回つらい方は次回の選び方
胃のX線検査(バリウム検査)と胃内視鏡検査は、どちらも50歳から2年に1度の受診が推奨されている検査です。国立がん研究センターのがん情報サービスでは、どちらか一方を選んで受ける方法が案内されており、毎年交互に受け続けることはかえって不利益の増加につながるため推奨されていないとされています[2]。バリウムのあとの便秘や腹痛が毎回つらいという方は、次回は胃カメラを選ぶという方法もあります。胃カメラとバリウムの違いはこちらの記事で詳しく比較しています。当院では、気になる症状がある場合の保険診療としての胃カメラや、人間ドックでの胃カメラ検査に対応しています。経鼻・経口を選べるほか鎮静剤を使った検査にも対応しているので、検査自体が不安という方は内視鏡検査のご案内もあわせてご覧ください。
よくある質問
検査の次の日になっても便がまだ白いのですが、大丈夫?
バリウムが腸の中を通過している途中は便が白っぽくなり、出し切れば元の色に戻っていきます[1]。下剤を飲んで水分もとっているのに排便がない状態が続いたり、腹痛やお腹の張り、吐き気を伴ったりする場合は、様子を見ずに検査を受けた施設へ連絡してください[1]。
お腹が痛いので、もらった下剤とは別に市販の下剤も足していいって本当?
お腹が強く痛むときに自己判断で市販薬を追加するのは避けたほうがよいでしょう。排便を促す薬の一部は、急性腹症が疑われる場合には使えない禁忌とされています[3]。痛みが強いときは薬を足すより先に、検査施設か医療機関に相談してください。
バリウムのあとの便秘がつらくて憂うつです。次の健診もバリウムを受けないといけませんか?
胃の検査はX線(バリウム)か内視鏡のどちらかを選んで2年に1度受ける方法が案内されており、毎年交互に受けることは勧められていません[2]。毎回の下剤や便秘がつらい方は、次回は胃カメラを選ぶのも一つの方法です。当院では症状がある場合の保険診療や人間ドックでの胃カメラに対応しています。
当院へのアクセス(横浜駅から徒歩3分)
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から300m・徒歩3分(横浜モアーズから徒歩2分)の場所にあります。診療は月曜〜土曜で、日曜・祝日は休診です。横浜駅からの道順はアクセスページで写真つきでご案内しています。胃カメラのご予約・ご相談は胃カメラ検査のページからどうぞ。
参考文献
- カイゲンファーマ. 硫酸バリウム散99.1%「共成」添付文書. KEGG MEDICUS(JAPIC)掲載. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059239(確認日:2026年10月3日)
- 国立がん研究センター. がん情報サービス「胃がん検診について」. https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/stomach.html(確認日:2026年10月3日)
- 厚生労働省. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.227(2006年8月)「ピコスルファートナトリウム」の項. https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/08/h0824-2.html(確認日:2026年10月3日)
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医、日本内科学会 認定医)
