卵巣嚢腫
卵巣嚢腫
健康診断や人間ドックの腹部・骨盤エコー、あるいは別の症状で受診した際の検査で、「卵巣に腫れがあります」「卵巣嚢腫が疑われます」と指摘されて驚かれる方は少なくありません。卵巣嚢腫は多くの場合はっきりした自覚症状がなく、健診や他疾患の検査中に偶然見つかることが多い病気です。
卵巣にできる腫れ(腫瘤)の多くは良性ですが、大きさや内部の性状によって経過観察でよいものと、詳しい検査や治療が必要なものとがあります。「卵巣が腫れている」と言われて不安な方は、まずは婦人科で状態を確認することをおすすめします。
卵巣嚢腫(卵巣のう腫)とは、卵巣にできる腫瘤(できもの)のうち、内部に液体などがたまって嚢胞状になったものの総称です。卵巣にできる腫瘍は良性・境界悪性・悪性に分類されますが、そのうち約9割は良性であると報告されています[参考文献1]。
代表的な種類には次のようなものがあります。
排卵や月経のサイクルに伴って一時的にできる生理的な変化で、真の腫瘍ではありません。数週間から数ヶ月の経過で自然に小さくなることが多く、その場合は経過観察が基本となります[参考文献4]。
さらさらとした淡い黄色の液体がたまるタイプです[参考文献2]。
粘り気のある液体がたまるタイプで、比較的大きくなりやすい傾向があります[参考文献2]。
卵巣腫瘍全体の約2割を占め、比較的若い方に多くみられます。内部に皮膚や毛髪、脂肪などの組織成分を含むのが特徴です[参考文献2]。
子宮内膜に似た組織が卵巣内で増え、古い血液がたまってできる嚢胞です。詳しい解説は当院コラム「子宮内膜症とは」もご参照ください[参考文献2]。
このように卵巣嚢腫にはいくつかの種類があり、種類や大きさ、内部の性状によって経過観察でよいものか、詳しい検査・治療が必要なものかが変わってきます。婦人科の良性腫瘤としては、子宮筋腫などとあわせて相談されることもあります。
卵巣嚢腫は、腫瘤が小さいうちは無症状であることが多く、日常生活に支障がないケースがほとんどです。月経周期や妊娠のしやすさに大きな影響がないことも多いため、健康診断や人間ドック、あるいは他の症状での受診時に偶然指摘されて初めて気づく方も少なくありません[参考文献1]。
腫瘤が大きくなってくると、次のような症状が現れることがあります。
突然の激しい下腹部痛は、卵巣腫瘤がねじれる「茎捻転」や、嚢胞が破れることによる痛みの可能性があります。これらは緊急の対応が必要となることがあるサインです[参考文献1・2]。急な激痛がある場合は、当院の診療時間外であっても救急外来など緊急対応が可能な医療機関の受診を検討してください。
卵巣の大きさや内部の性状(液体だけか、充実部分を含むかなど)を確認します[参考文献1・2]。
内診や超音波検査に加えて、腫瘍マーカーなどを確認することがあります[参考文献1・2]。
CT・MRI検査が必要な場合は、連携している医療機関で実施しています[参考文献1・2]。
良性を示唆する所見か、詳しい検査が必要な所見かを確認しながら、今後の方針を検討します。婦人科の腫瘍性疾患全般や検診について気になる方は、子宮体癌のページもご参照ください。
卵巣嚢腫の対応は、種類・大きさ・症状の有無によって異なります。一般的な考え方として、以下のような整理がなされています。
手術が適応となる場合、当院では手術・入院設備を持たないため、連携している医療機関へご紹介し、そちらで手術を受けていただく形になります。手術前の検査や、手術後の外来でのフォローについては、可能な範囲で当院でも対応いたします。
なお、良性・境界悪性・悪性の最終的な区別は、画像検査だけで確実に判断できるとは限らず、必要に応じて手術で摘出した組織を調べることで確定診断となる場合があります[参考文献1・2]。過度に不安になる必要はありませんが、「経過観察でよい」と言われた場合も、指示された間隔での再検査は続けることが大切です。
急な激しい下腹部痛がある場合は、当院の診療時間外でも緊急対応が可能な医療機関の受診を検討してください。
卵巣嚢腫は自然に消えることがありますか。
機能性嚢胞(卵胞嚢胞・黄体嚢胞)のように、月経周期に伴う一時的な変化によるものは、数週間から数ヶ月で自然に小さくなることがあります[参考文献4]。一方で、チョコレート嚢胞や成熟奇形腫など、腫瘍としての性質を持つものは自然に消えることは期待しにくいとされています[参考文献3]。種類によって経過が異なるため、まずは超音波検査で確認し、必要な間隔で経過をみていくことが大切です。
卵巣嚢腫を放置するとどうなりますか。
小さいうちは無症状で経過することも多いですが、大きくなると圧迫感などの症状が出たり、まれに茎捻転や嚢胞破裂といった急な激しい痛みを伴う状態になることがあります[参考文献1・2]。また、良性・悪性の判断は経過をみないと分からない場合もあるため、指摘を受けたまま検査を受けていない方は、一度婦人科で状態を確認することをおすすめします。
卵巣嚢腫があると妊娠に影響しますか。
卵巣嚢腫があっても月経が順調で、妊娠にあまり影響がないことも多いとされています[参考文献1]。ただし、嚢胞の種類や大きさ、手術が必要になった場合の術式によっては影響を考慮する必要があるため、妊娠を希望される方は検査結果をもとに個別にご相談ください。

副院長の長島麻子です。学生さんの不正出血・生理痛などの月経トラブルや、働く女性の子宮筋腫・子宮内膜症、PMS、子宮頸がん検診、ピルのご相談、更年期のお悩みまで、どんなライフステージでも「あなたらしく笑顔で過ごせる毎日」をサポートしたい。そんな想いで、私は診察室に立っています。
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横浜駅前ながしまクリニック 副院長 長島麻子
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