
ピロリ菌
ピロリ菌
正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌です。通常胃のなかにいる菌は胃酸で死滅しまいます。しかしながらピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し胃の中で尿素分解によるアンモニア産生を行うことで、酸性環境を中和し、自身の身を守ります。
ピロリ菌は基本的に口から感染するとされており、日本を含む全世界で感染が広く浸透しています。特に発展途上国や衛生環境が十分でない地域で感染率が高いことがわかっています。日本人では50歳以上の人で感染している割合が高いとされています。
ピロリ菌は胃粘膜に付着し、増殖するため、胃内で炎症を起こします。胃・十二指腸潰瘍患者の約90%は、ピロリ菌が原因であるとされています。ピロリ菌を除菌することで胃・十二指腸潰瘍の再発率を著しく下げることができます。また、胃がんとの関連も指摘されています。
ピロリ菌の感染経路は主に次のようなものが挙げられます。
1.口-口感染
感染者の唾液や口腔内の分泌物を介して、直接的または間接的に感染するケースです。例えば、親が幼い子どもに食事を与える際に同じスプーンや箸を使うことが感染リスクを高めるとされています。
2.糞-口感染
不衛生な環境下で、糞便に含まれるピロリ菌が水や食品を通じて感染することがあります。この経路は、衛生状態が不十分な地域で特に重要視されています。
3.環境を介した感染
ピロリ菌は、水や土壌の中で生育することもあります。このため、井戸水などの飲用が感染源になることもあります。
ピロリ菌の有無を調べる検査には、胃内視鏡を使う方法と使わない方法があります。
胃の組織を採取して、ピロリ菌が産生するアンモニアの反応を試薬で調べます。
採取した組織を染色して、顕微鏡でピロリ菌の有無を確認します。
採取した組織を培養することで、ピロリ菌の増殖の有無を判定します。
検査用のお薬を内服し、一定時間経過した後の息(呼気)にピロリ菌の反応が出るかを調べます。身体の負担が少なく、簡単で感度も高い検査です。
ピロリ菌感染状態が継続すると体の中に抗体ができます。血液や尿を採取してこの抗体の有無を調べます。
便中のピロリ菌の抗原を調べます。身体への負担が最も少なく、お子さんでも受けやすい検査です。
ピロリ菌の除菌療法は、抗生物質と胃酸抑制薬を組み合わせて行います。2種類の抗生物質と1種類の胃酸抑制薬(PPI)を1週間内服し、胃内ピロリ菌の駆除を行います、ピロリ菌の除菌を行うことで、誘発される胃炎、潰瘍、胃がんの発症リスクを防ぐ効果があります。治療後には、再感染や除菌の成功を確認するために、呼気検査、血液検査、便中抗原検査を行います。
大多数の方は、副作用もなく除菌治療を終えますが。抗生物質を1週間内服するため、副作用として軟便、下痢が起こることがあります。また、頻度は高くありませんが、味覚異常、肝臓の数値異常などが起こることもあります。注意していただきたい副作用は、極めて稀ではありますが、発熱を伴う下痢、血便、じんましんなどです。放っておくと悪化する可能性があるため、すぐに内服を中止し、速やかにご来院ください。
迅速ウレアーゼ試験 | 3割負担700円程度 | 1割負担300円 |
---|---|---|
鏡検法 | 3割負担700円程度 | 1割負担300円 |
※ 当院では鏡検法のみとなります
抗体検査(血液・尿検査) | 3割負担750円程度 | 1割負担250円程度 |
---|---|---|
便中抗原検査 | 3割負担900円程度 | 1割負担300円程度 |
尿素呼気試験 | 3割負担1,650円程度 | 1割負担550円程度 |
1次除菌(胃薬1種類 抗生物質2種類 1日2回 7日間) |
3割負担2,000円程度 | 1割負担700円程度 |
---|
2次除菌(胃薬1種類 抗生物質2種類【1種類を変更】 1日2回 7日間) |
3割負担2,000円程度 | 1割負担700円 |
---|
※ピロリ菌のみの検査では保険適用となりません。保険適用の除菌治療には、胃内視鏡検査が必要です。
内視鏡を行ったとしても胃炎、胃潰瘍の診断がつかない場合には全て自費診療となります。
ピロリ菌の感染と胃がん発症は大きく関係しています。胃がんの発症誘引はピロリ菌による慢性炎症が原因であるため、除菌治療により胃がんの発症リスクを軽減することが可能です。ただし、除菌治療によって胃内の炎症反応は軽減するものの、胃がん発症のリスクがゼロになるわけではありません。除菌後の方は胃粘膜の萎縮(炎症後変化)が残るため、もともとピロリ菌がいない方に比べると、胃がんの発生頻度が高いことがわかっています。また、胃がんの原因はピロリ菌だけでなく、日常生活などにも密接に関連しているといわれており、リスクとして塩分の過剰摂取や喫煙、食生活などが挙げられます。ピロリ菌が陰性であっても、加齢によりがん発症リスクは高まります。胃がんを早期の段階で見つけるために、1年に1回の定期的な胃内視鏡検査が推奨されます。
TOP