月経困難症
月経困難症
「生理痛くらいで婦人科を受診していいのかな」とためらう方は少なくありません。しかし、月経のたびに強い下腹部痛や腰痛で学校・仕事・家事に支障が出ている場合、それは我慢するものではなく、月経困難症として相談してよい症状です。
月経困難症には、はっきりした病気がなくても起こる「機能性」のタイプと、子宮内膜症や子宮筋腫など背景に病気が隠れている「器質性」のタイプがあります。市販の鎮痛薬が効きにくい、痛みが年々強くなっている、生理でない日にも下腹部痛がある方は、一度婦人科で検査を受けることをおすすめします。
月経困難症とは、月経(生理)に伴って起こる下腹部痛や腰痛などの症状が強く、日常生活に支障をきたす状態を指します。軽い生理痛を含めれば、生理のある女性の7割程度に何らかの痛みがみられるとの報告があり[参考文献4]、日本産婦人科医会は「生殖年齢の女性の25%以上にみられ、とくに25歳未満の若年層では40%以上にみられる」としています[参考文献2]。
月経困難症は病名ではなく症状の総称で、原因によって次の2種類に分けられます。
子宮や卵巣に痛みの原因となる病気が見つからないタイプです。初経後2〜3年ほどで排卵周期が確立する頃から始まることが多く、痛みは月経開始前後の1〜2日程度に集中する傾向があります[参考文献1]。
子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症など、痛みの原因となる病気があるタイプです。月経の4〜5日前から月経後まで持続する鈍い痛みが特徴とされます[参考文献1]。
どちらのタイプかによって治療方針が異なるため、まずは婦人科で状態を確認することが大切です。
月経困難症の主な症状は生理中の強い下腹部痛です。冷や汗が出るほどの痛みや、生理のたびに数日間動けなくなるケースもあります。そのほか、次のような身体的・精神的な不調を伴うことがあります[参考文献1・4]。
これらの症状により、学校を休まざるを得ない、仕事に集中できない、家事がこなせないといった支障が出る場合は、月経困難症として相談の対象になります。
明らかな病気がないにもかかわらず生理痛が強い状態です。初経から数年以内の若い方に多くみられます。主な原因は、月経時に分泌される「プロスタグランジン」という物質の過剰分泌で、子宮を過剰に収縮させることで痛みが生じます。未経産婦の若い方では子宮頸管が狭いことも痛みを強める要因とされています。
日本産婦人科医会は、月経困難症のある女性は将来子宮内膜症と診断される割合が高いこと、また機能性月経困難症と思われていたケースがのちに内膜症へ進行する例が報告されていることを紹介しています[参考文献3]。月経痛が年々ひどくなっている方、経血量が多くレバー状の血塊が出る方、生理でない時期にも下腹部痛がある方、性交時痛や排便痛を伴う方は、検査を受けることをおすすめします。
痛みが始まった時期、市販薬の効き具合、月経周期との関連、月経以外の日の痛みの有無などを確認します。
内診・経腟超音波検査を行い、子宮や卵巣に異常がないかを調べます。
血液検査、性感染症の検査、MRI等の画像診断を追加し、生理痛の原因となる病気の有無を総合的に判断します。
検査結果をもとに、機能性か器質性かを見極めて治療方針を決定します。
器質性月経困難症では、子宮内膜症・子宮筋腫など原因疾患そのものの治療を行います。ホルモン療法で経過をみる場合と、手術が必要な場合があります。当院では手術・入院設備を持たないため、手術が適応となる場合は連携している医療機関へご紹介し、そちらで手術を受けていただきます。手術前の検査や術後の外来フォローは、可能な範囲で当院でも対応いたします。
「生理痛くらいで受診していいのかな」とためらう必要はありません。次のような場合は、婦人科の受診をおすすめします。
これらの症状の背景には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている可能性があります。早めに受診して原因を確認することをおすすめします。
生理痛がひどいのですが、婦人科を受診していいですか。
受診していただいて構いません。生理痛で学校や仕事に支障が出ている状態は月経困難症として相談の対象です。「これくらいで受診していいのか」とためらう必要はありません。
鎮痛薬を飲んでも生理痛が治まりません。どうすればいいですか。
鎮痛薬(NSAIDs)は機能性月経困難症のおよそ8割に有効とされますが、効果が不十分な場合や痛みが強い場合は、低用量ピルなど別の治療を検討します。鎮痛薬が効きにくいこと自体が、子宮内膜症など器質性の原因を調べるきっかけになることもあります。
ピルは怖いイメージがあるのですが、大丈夫でしょうか。
低用量ピルには血栓症などの副作用があるため、当院では服用前に問診でリスクを確認したうえでご案内しています。月経困難症・子宮内膜症の治療目的であれば健康保険が適用され、鎮痛薬で効果が不十分な場合や内膜症が疑われる場合の選択肢として広く用いられています。不安な点は処方前にご相談ください。
機能性月経困難症と器質性月経困難症はどう違いますか。
機能性は子宮や卵巣に病気が見つからないタイプで、初経後数年で始まり、痛みは月経前後の1〜2日程度に集中する傾向があります。器質性は子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因で、月経の4〜5日前から月経後まで続く持続的な鈍痛が特徴とされます。
生理痛の背景に子宮内膜症が隠れていることはありますか。
あります。月経困難症のある方は将来子宮内膜症と診断される割合が高いとの報告があり、機能性だと思われていた生理痛が後に子宮内膜症と分かる例も報告されています。月経痛が年々強くなっている場合は、内膜症などの病気があるとは限りませんが、一度検査で確認することをおすすめします。
学生でも婦人科を受診できますか。
受診できます。当院では10代の方も含めて生理痛のご相談に対応しています。ピルによる治療を検討する際は、年齢や成長段階によって選択肢が変わることがあるため、診察の中で医師と相談しながら決めていきます。
経血量が多い・レバー状の血の塊が出るのも注意が必要なサインですか。
はい、注意が必要なサインの一つです。経血量が極端に多い、血の塊が出る、生理でない時期にも下腹部痛がある、性交時痛や排便痛を伴う場合は、子宮内膜症や子宮筋腫など器質性の原因が隠れている可能性があるため、婦人科での検査をおすすめします。

副院長の長島麻子です。学生さんの不正出血・生理痛などの月経トラブルや、働く女性の子宮筋腫・子宮内膜症、PMS、子宮頸がん検診、ピルのご相談、更年期のお悩みまで、どんなライフステージでも「あなたらしく笑顔で過ごせる毎日」をサポートしたい。そんな想いで、私は診察室に立っています。
「ちょっと気になる」「誰に相談すればいいかわからない」「女性の産婦人科の先生、レディースクリニックにかかりたい」。そんなときはいつでも当院にお越しください。よろしくお願いいたします。
横浜駅前ながしまクリニック 副院長 長島麻子
TOP