かぜ・インフルエンザの症状と受診目安
かぜ・インフルエンザの症状と受診目安
かぜとインフルエンザは、どちらも発熱、のどの痛み、鼻水、咳、だるさで始まるため、症状だけで早く見分けるのは簡単ではありません。外来でよく聞かれるのは、「インフルエンザの初期症状なのか、ただのかぜなのか」「熱なしでもインフルエンザはあるのか」「いつ受診すればよいのか」という相談です。

目安として、急な高熱、強いだるさ、関節痛や筋肉痛、頭痛がそろって出るときはインフルエンザを考えます。一方で、鼻水やのどの違和感からゆっくり始まり、全身症状が軽い場合は、いわゆるかぜとして経過を見ることもあります。ただ、子供、高齢の方、妊娠中の方、喘息や心臓・腎臓・糖尿病などの持病がある方では、軽く見える症状でも早めの相談が必要です。
このページでは、かぜとインフルエンザの違い、初期症状、期間、熱なしや軽い症状の考え方、受診の目安、自宅で見るポイントをまとめます。横浜駅前ながしまクリニックで受診を考える場合は、内科(当日受診)のページで概要を確認できます。
最初に見るのは、熱の高さだけではありません。発症の速さ、全身のつらさ、呼吸の状態、水分が取れるか、周囲の流行、持病の有無を合わせて考えます。
| 見方 | かぜで多い経過 | インフルエンザで多い経過 | 受診判断の軸 |
|---|---|---|---|
| 始まり方 | 鼻水、のどの痛み、咳からゆっくり始まる | 発熱、寒気、強いだるさが急に出る | 急な悪化は早めに相談 |
| 熱 | 微熱から中等度の発熱が多い | 高熱が出やすいが、熱なしや微熱の人もいる | 熱の有無だけで決めない |
| 全身症状 | 局所症状が中心 | 頭痛、筋肉痛、関節痛、強い倦怠感が目立つ | 起き上がれないほどなら受診 |
| 期間 | 数日で軽くなり、咳や鼻水が残ることもある | 発熱が数日続き、全体で1週間前後の経過になりやすい | 長引く、ぶり返す、息苦しい場合は相談 |
| 周囲へのうつりやすさ | 原因ウイルスにより異なる | 発症前後から人にうつす時期がある | 家庭内や職場での接触に注意 |
| 重症化しやすい人 | 乳幼児、高齢の方、持病がある方は注意 | 小児、高齢の方、妊娠中の方、基礎疾患がある方は注意 | 軽症に見えても前倒しで相談 |
表はあくまで入口です。症状が軽い、熱がない、順番が典型的でないというだけで、感染の有無や重症度は決められません。息苦しさ、意識のぼんやり、水分が取れない、強い胸痛や腹痛があるときは、診断名よりも早く医療機関へ相談してください。
かぜは、さまざまな呼吸器ウイルスによる上気道感染症の総称として使われます。鼻、のど、咳の症状が中心で、原因ウイルスはひとつではありません。PubMed収載のStatPearlsは、かぜを軽症から中等症の自然軽快する上気道感染症の症候群とし、ライノウイルスを頻度の高い原因に挙げ、ほかの呼吸器ウイルスでも似た症状が出ると説明しています[1]。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。厚生労働省は、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などが比較的急速に現れ、のどの痛み、鼻水、咳もみられると説明しています[2]。
インフルエンザの症状が出る順番は、急な寒気や発熱から始まり、頭痛や関節痛、咳や鼻水が続く形を思い浮かべる方が多いです。実際には、先にのどが痛くなる人、咳から始まる人、熱が後から上がる人もいます。
かぜでも発熱やだるさが出ますし、インフルエンザでも鼻水や咳が目立つ場合があります。順番を細かく照合するより、「急に強く出たか」「全身がつらいか」「重症化しやすい条件があるか」を見るほうが判断に役立ちます。
発熱、咳、のどの痛み、頭痛、倦怠感は、インフルエンザだけでなく、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、肺炎などでも出ます。症状の名前だけでは原因を分けにくい場面があります。
厚生労働省のARI総合対策Q&Aでも、急性呼吸器感染症にはインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎などが含まれるとされています[3]。同じ「かぜっぽい」症状でも、周囲への広がり方や治療の考え方が違うため、経過とリスクで受診を考えます。
インフルエンザの初期症状では、急な寒気、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさが手がかりになります。普段のかぜより立っているのがつらい、布団から出られない、食欲が急に落ちたという訴えもよくあります。
ただし、初期は検査の反応がまだはっきりしない場合もあり、検査のタイミングだけで判断がずれることがあります。受診時には、症状が始まった時刻、最初の症状、体温の変化、周囲の発症状況、持病、飲んでいる薬を伝えると診察が進みやすくなります。
インフルエンザでも熱なしで相談される方はいます。高齢の方、解熱鎮痛薬を飲んだ後、ワクチン接種後、発症早期、体質によっては、熱が目立たないまま全身のだるさや咳が続く場合があります。
熱がないから人にうつさない、とも言えません。インフルエンザでは発症前日から発症後3〜7日間、鼻やのどから感染性のウイルスを排出すると厚生労働省は説明しています[3]。体温だけで外出や出勤を決めず、咳、だるさ、周囲の状況も見てください。
症状が軽いと感じても、重症化しやすい人では早めの相談が必要です。高齢の方、妊娠中の方、乳幼児、喘息や慢性肺疾患、心臓病、腎臓病、糖尿病、免疫を下げる治療中の方は、発熱が低くても経過が変わりやすくなります。
喘息がある方は、呼吸器感染をきっかけに咳や喘鳴が悪化する場合があります。息苦しさ、ゼーゼーする音、夜間の咳が目立つときは、早めに医療機関へ相談してください。
典型的なインフルエンザでは、発症から数日間は熱や全身症状が強く、その後に熱が下がり、咳やだるさが残る流れをたどります。厚生労働省のQ&Aでは、多くの場合、4〜5日間の発熱などの後に自然軽快すると説明されています[3]。
ただ、実際の経過は年齢、持病、ワクチン接種歴、睡眠不足、脱水、治療開始の時期で変わります。熱が下がった直後に無理をすると、咳や倦怠感が長引く人もいます。発症からの期間だけでなく、昨日より良くなっているか、息苦しさが増えていないかを見ます。
抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に使い始めると発熱期間の短縮などが期待されると厚生労働省は説明しています[3]。一方で、全員に薬が必要という意味ではなく、病状や重症化リスクを見て医師が判断します。
「48時間を過ぎたから受診しても意味がない」と考える必要はありません。息苦しさ、脱水、肺炎の疑い、持病の悪化、長引く発熱があれば、発症からの時間にかかわらず診察が必要です。薬の適応だけでなく、合併症や別の病気を見落とさないための受診でもあります。
熱が下がると動ける気がしても、咳、だるさ、食欲低下、ふらつきが残ることがあります。食事を一気に戻すより、水分、消化のよい食事、睡眠を先に整えると負担を減らしやすくなります。
周囲へうつすリスクも残ります。厚生労働省は、発症後1〜3日間は感染性のウイルスの平均的な排出量が多く、解熱後もウイルスを排出すると説明しています[3]。咳やくしゃみが続く間は、マスク、換気、手洗い、接触を減らす工夫を続けます。
子供では、急な発熱、ぐったり、機嫌の悪さ、食欲低下、頭痛、腹痛、吐き気などが前面に出ることがあります。大人のように「関節が痛い」「だるい」と言葉で説明できないため、普段との違いを見ます。
特に、呼びかけへの反応が弱い、顔色が悪い、水分が取れない、尿が少ない、けいれん、異常な言動、息が苦しそう、唇の色が悪いときは、年齢にかかわらず急いで相談が必要です。厚生労働省は、小児・未成年者がインフルエンザにかかった際に異常行動を起こす場合があり、治療開始から少なくとも2日間は一人にさせない配慮が必要としています[3]。
子供の発熱は高く出やすく、熱の数字だけで重症度は決まりません。水分が少しずつ取れる、眠れている、呼吸が苦しそうでない、目が合う、尿が出ているなら、経過を見ながら相談のタイミングを考えます。
反対に、熱がそれほど高くなくても、ぐったりして反応が悪い、泣き方が弱い、息が速い、胸がへこむ、何度も吐く、尿が明らかに少ないといった変化は受診のサインです。家庭で判断しきれないときは、早めに医療機関へ連絡してください。
同居家族に小さい子供、高齢の方、妊娠中の方、持病がある方がいるときは、家庭内での接触を減らします。食器やタオルを分け、こまめに手を洗い、咳がある人は顔を近づけないようにします。
看病する大人も、睡眠不足や脱水で体調を崩しやすくなります。水分、換気、手洗い、マスクを基本にし、看病する人をできる範囲で固定すると家庭内の広がりを抑えやすくなります。
インフルエンザの検査は、症状、発症からの時間、流行状況、周囲の感染、重症化リスクを合わせて判断します。検査だけが診断のすべてではありません。
発症直後はウイルス量が少なく、検査が陰性でも後から陽性になる場合があります。反対に、症状がはっきりしていて周囲で流行している場合は、検査結果だけでなく診察全体で考えます。陰性なら普段通りに動いてよい、という単純な判断にはなりません。
受診時には、症状が始まった日時、いちばん高かった体温、咳やのどの痛みの有無、息苦しさ、食事と水分、尿の回数、周囲の流行、基礎疾患、妊娠の可能性、飲んだ薬を伝えます。市販の解熱鎮痛薬を使った場合は、名前ではなく種類や成分が分かる外箱、お薬手帳、購入時の説明書を持参すると確認しやすくなります。
頭痛が強い、吐き気を伴う、首が硬い、意識がぼんやりする場合は、かぜやインフルエンザ以外も考えます。頭痛が長引く場合の考え方は、慢性的な頭痛の受診目安も参考になりますが、急な激しい頭痛や意識の異常は別枠で急ぎます。
インフルエンザや多くのかぜはウイルスによる感染症です。厚生労働省は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなど、ウイルスを病原体とする感染症に抗菌薬は効かないと説明しています[3]。
一方で、高齢の方や慢性疾患がある方では、ウイルス感染をきっかけに細菌性肺炎などを合併する場合があります。痰が増えて息苦しい、胸が痛い、熱がぶり返す、ぐったりが強いときは、抗菌薬が必要かどうかを含めて医師が判断します。
自宅で様子を見るときは、体温だけでなく、呼吸、水分、尿、意識、痛みの変化を見ます。食欲が落ちても、水分が取れて尿が出ていれば、短期間は経過を見やすい状態です。
水分は、飲めるものを少量ずつで構いません。お茶、スープ、経口補水液、スポーツドリンクなどを体調に合わせて使います。糖尿病、腎臓病、心臓病などで水分や糖分、塩分の制限がある方は、普段の指示に沿い、迷う場合は医療機関へ相談してください。
発熱は体の反応のひとつで、熱を下げれば病気そのものが消えるわけではありません。つらさで眠れない、水分が取れない、頭痛や筋肉痛が強いときに、解熱鎮痛薬を検討します。
年齢、妊娠、持病、胃潰瘍、腎臓病、喘息、ほかの薬との組み合わせで使える薬は変わります。子供や妊娠中の方、持病がある方は、自己判断で大人用の薬を使わず、医師や薬剤師に確認してください。
熱やだるさが強い間は、食事量が少なくなる人がいます。数回の食事量より、水分が取れているか、尿が出ているか、吐き気が続かないかを見ます。
食べられるようになったら、消化のよいものから戻します。脂っこい食事、飲酒、激しい運動、長時間の入浴は、回復しきる前には負担になる場合があります。無理に普段の生活へ戻すより、翌日の体調を見ながら段階を踏みます。
受診の目安は、病名を当てるためだけではなく、重くなるサインを拾うためのものです。迷ったときは、年齢、持病、妊娠、水分、呼吸、意識の状態を優先して考えます。
| 区分 | 症状や状況 | 行動の目安 |
|---|---|---|
| 救急受診 | 呼吸が苦しい、唇の色が悪い、意識がぼんやりする、けいれん、強い胸痛、激しい頭痛、首が硬い、水分が取れず尿が少ない、ぐったりして反応が悪い | 救急受診を検討してください |
| 早めに受診 | 高熱が続く、急な強いだるさ、インフルエンザが疑わしい症状、妊娠中、高齢の方、乳幼児、基礎疾患がある、喘息症状が悪化している | 早めに医療機関へ相談してください |
| 近いうちに相談 | 発熱や咳が長引く、熱が下がった後にぶり返す、痰が増える、顔面痛や耳の痛み、頭痛が残る、学校や職場への復帰判断に迷う | 症状が続く場合は早めに相談してください |
| 様子を見てよい目安 | 水分が取れる、息苦しさがない、意識がはっきりしている、症状が日ごとに軽くなる、重症化リスクが低い | 休養しながら経過を見て、悪化時は前倒しで相談してください |
この表で大切なのは、「様子を見てよい目安」に入っていても、悪化したら区分が変わる点です。特に息苦しさ、意識の変化、水分が取れない状態は、自宅で長く待たず、急いで相談してください。
かぜ・インフルエンザの予防は、ひとつの方法だけで決まりません。手洗い、換気、咳エチケット、睡眠、栄養、流行時の人混みを避ける工夫を重ねます。厚生労働省は、急性呼吸器感染症の症状があるときの対応として、人混みへの外出を控えること、咳エチケット、休養、水分補給、具合が悪いときの医療機関受診を挙げています[3]。
インフルエンザワクチンは、感染そのものをすべて防ぐものではありません。厚生労働省は、発症を抑える効果が一定程度認められ、重症化を防ぐ効果があると説明しています[3]。接種するかどうかは、年齢、持病、妊娠、過去の副反応、周囲の流行、職場や家庭の状況を合わせて、かかりつけ医との相談が必要です。
発熱や咳がある人は、食事の時間をずらす、寝る場所を分ける、タオルを共有しない、換気しやすい部屋で過ごすなど、現実的に続けられる方法を選びます。小さい子供がいる家庭では完全に隔離するのが難しいため、近距離で話す時間を減らし、看病後の手洗いを習慣にします。
咳やくしゃみが続く間は、症状が軽くても周囲へ広げる前提で動きます。家庭内で高齢の方、妊娠中の方、基礎疾患がある方と接する場合は、同じ部屋にいる時間を短くし、食事や会話の距離に気を配ります。
熱が下がった直後は、体力が戻っていないことがあります。通勤や通学、長時間の会議、部活動、立ち仕事で疲れが強く出る人もいます。復帰前には、短い外出や家事など普段に近い動きで息切れや強いだるさが出ないかを見て、体調に合わせて無理な再開を避けてください。
学校では出席停止期間、職場では就業規則や感染対策のルールがあります。証明書の扱いは所属先によって異なりますが、厚生労働省は、職場が陽性証明書や治癒証明書の提出を求めることは望ましくないと説明しています[3]。体調が戻っていない場合は、書類のためだけに動くより、回復を優先する考え方が必要です。
横浜駅前ながしまクリニックの一般内科では、問診票に記入された内容をもとに医師が診察を行い、必要に応じて検査や治療を行う流れを案内しています。発熱、咳、のどの痛み、だるさなどで受診を考える場合は、内科(当日受診)をご確認ください。
腹痛、吐き気、下痢など消化器症状が強い場合は、かぜやインフルエンザ以外の病気も考えます。当院の消化器内科では、食道、胃、十二指腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓などを中心に診療を行っています。関連する症状がある方は、消化器内科のページもご覧ください。
咳が長引く、息苦しい、ゼーゼーする、夜間に咳で眠れない場合は、かぜ後の咳だけでなく喘息の悪化も考えます。呼吸のつらさや夜間の咳が目立つときは、自宅で長く待たずに医療機関へ相談してください。
流行状況や制度に関わる情報は、厚生労働省や国立健康危機管理研究機構などの公的情報を確認します。個人の症状は流行情報だけでは判断できないため、つらさが強い、持病がある、周囲で流行している場合は医療機関へ相談してください。
熱がなくても、強いだるさ、咳、頭痛、関節痛、周囲の流行、重症化リスクがあれば診察で検討します。検査の必要性は、発症からの時間や診察所見を合わせて医師が判断します。
典型的には数日間の発熱や全身症状があり、その後に咳やだるさが残ります。長引く、ぶり返す、息苦しさが出る、水分が取れない場合は、肺炎や脱水なども考えて相談してください。
軽い鼻水やのどの痛みで、水分が取れて呼吸が苦しくない場合は、休養と水分補給で経過を見る場面があります。ただし、持病がある方、妊娠中の方、子供、高齢の方、症状が急に強い方は早めに相談してください。
インフルエンザでは、発症後しばらく感染性のウイルスを排出します。学校では学校保健安全法に基づく出席停止期間があります。職場では就業規則や職場の感染対策も関係するため、無理に出勤せず、体調と周囲への配慮を合わせて判断します。
手洗い、換気、咳エチケット、タオルや食器を分ける、体調が悪い人との距離を取ることが中心です。高齢の方、妊娠中の方、乳幼児、持病がある方とは、症状が強い時期の接触をできるだけ減らします。
インフルエンザでも頭痛は出ます。ただ、突然の激しい頭痛、意識の変化、けいれん、首の硬さ、繰り返す嘔吐がある場合は、別の病気も考えて急ぎます。慢性的な頭痛とは分けて判断してください。
[1] Tobin EH, Thomas M, Bomar PA. Upper Respiratory Tract Infections With Focus on The Common Cold. StatPearls. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30422556/
[2] 厚生労働省. インフルエンザ(総合ページ). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html
[3] 厚生労働省. 令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2026.html

更新日 2026-10-13
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