2026年09月01日
健診で貧血を指摘されたら、まず確かめたいのは、鉄が不足しているか、そして何が原因で不足したかです。男性や閉経後の女性の鉄欠乏性貧血では、胃カメラと大腸カメラで消化管を調べることが勧められています。月経のある女性も、血便、体重減少、治療後の再発があれば、月経だけで説明できるか確認が必要です[3][4]。
鉄剤は不足した鉄を補う薬ですが、出血の原因まで取り除く薬ではありません。ただし、内視鏡が終わるまで治療を待つという意味でもありません。原因の検査と鉄の補充は並行して進められます。すでに処方されている方は、検査を理由に自己判断で中止せず、服用方法を医師に確認してください。
健診結果や普段の様子に応じた、受診先と検査の早見表です。
| 健診結果・気になる状態 | 最初の相談先 | 確認すること |
|---|---|---|
| 貧血とだけ書かれ、原因が分からない | 内科 | ヘモグロビンの変化、鉄不足の有無、持病や服薬 |
| 男性・閉経後の女性で鉄不足がある | 内科・消化器内科 | 胃と大腸の病気、目に見えない出血 |
| 月経量が多い、出血が長引く | 婦人科。必要に応じて内科も | 過多月経や子宮筋腫、貧血の程度 |
| 便潜血陽性、血便、黒い便を伴う | 消化器内科。全身状態が悪ければ救急 | 消化管出血の有無と検査の緊急性 |
| 鉄剤で改善しない、中止後に再び下がる | 処方医・消化器内科 | 服用状況、出血の持続、吸収の問題、ほかの貧血 |
この表は診断ではなく、相談の入口です。特に、安静にしていても息苦しい、胸が痛い、失神する、出血と冷汗がある場合は、通常の外来予約を待たず救急受診をしてください[11]。
健診の貧血検査で分かること、まだ分からないこと
ヘモグロビンが低いことと、鉄が少ないことは同じではない
健診の貧血検査では、血色素量(ヘモグロビン)と赤血球数を確認します。定期健康診断の検査項目としても、この2つが挙げられています[1]。結果票ではヘモグロビンがHb、赤血球数がRBCと書かれる場合もあります。
ヘモグロビンは、赤血球の中で酸素を運ぶたんぱく質です。値が低いと鉄欠乏性貧血などを疑いますが、健診の数値だけで原因は決められません。息切れ、動悸、疲れやすさが出る方もいれば、自覚症状のない方もいます[2]。
貧血の原因は鉄不足だけではなく、ビタミン不足、腎臓の病気、慢性の炎症、血液の病気などにも及びます。低い数値を見てすぐ鉄剤を買うのではなく、どの種類の貧血かを確かめる段階が必要です。赤血球数だけが低い場合も、ヘモグロビンなどを合わせて判断します。
再検査ではフェリチンや赤血球の大きさも手がかりに
鉄欠乏性貧血が疑われるときは、体内に蓄えられた鉄の目安となるフェリチン、血清鉄などを調べます。赤血球の平均的な大きさを示すMCVも、原因を考える手がかりです。鉄不足では赤血球が小さくなる傾向がありますが、初期には大きさの変化が目立たない場合もあります[3][10]。
フェリチンは炎症などで高くなるため、正常範囲でも鉄不足を否定できないケースがあります。その場合は、炎症の指標や、鉄を運ぶたんぱく質にどれだけ鉄が結びついているかを示す値なども参考にします。どれか1項目だけで自己判断するための検査ではありません。
受診時に役立つのは、今回の結果票に加えて、以前の健診や採血の記録です。初めて低くなったのか、何年も少しずつ下がっているのか、鉄剤を飲んだ時期だけ改善したのかで、検査の考え方が変わります。貧血の欄だけを切り取らず、ほかの採血項目も載った結果票を持参してください。
軽度という判定だけで、翌年の健診まで待てるとは限りません。受診の急ぎ方は、値そのものに加えて、下がる速さ、息切れや出血、心臓などの持病を踏まえて決めます。検査機関の基準値と判定欄、前回値を一緒に見ることが出発点です。
鉄が足りないとき、胃と大腸を調べる理由
鉄は食事から取り込む一方、出血によって体の外へ失われます。摂取不足、吸収しにくい状態、失う量の増加が重なると、体に蓄えた鉄が減り、ヘモグロビンを十分に作れなくなります。月経だけでなく、胃や腸からの出血もその原因です[3][10]。
消化管からの出血は、赤い血便として見えるとは限りません。少量の出血が続き、便の見た目に変化がないまま貧血が進む場合もあります。食事を変えていない、肉も食べているという方でも、鉄不足があれば、失われる場所を考える必要があります。
男性・閉経後の女性で優先して考える検査
男性や閉経後の女性では、月経による鉄の喪失がないため、鉄欠乏性貧血の原因として消化管の病気を確認します。BSGとAGAのガイドラインは、胃と大腸の両方を内視鏡で評価する方針を示しています。腹痛や血便がなくても検討の対象です[3][4]。
BSGのガイドラインでは、鉄欠乏性貧血のある男性と閉経後女性のおよそ3分の1に、消化管を中心とする何らかの基礎疾患があると報告されています[3]。これは海外のデータで、がんだけの割合ではありません。健診で貧血と指摘された方全体や、当院で検査を受ける方の割合を示す数字でもありません。
若い男性でも、鉄欠乏性貧血が確認されれば原因の評価は必要です。献血、食事制限、運動習慣、薬の服用は手がかりになりますが、それだけで消化管の検査を省けるとは限りません。年齢だけで検査不要と決めないことが基本です。
鉄剤で数値が戻っても、出血源が残る場合がある
鉄剤に反応してヘモグロビンが上がれば、鉄不足が関わっていたと考える材料になります。ただ、薬で補えたことと、鉄を失う原因がなくなったことは別です。出血源が残っていれば、いったん改善しても再び貧血になるおそれがあります。
反対に、鉄剤を飲んでも改善が乏しい理由も1つではありません。吐き気などで十分に飲めていない、出血が続いている、鉄を吸収しにくい、別の原因の貧血が重なっている、といった状況が考えられます。反応がないからと自己判断で量を増やすのではなく、採血結果と服用状況を処方医に伝えて相談してください。
貧血で胃カメラ・大腸カメラを勧められたら
胃カメラでは潰瘍や胃炎、胃がんなどを確認
胃カメラは食道・胃・十二指腸を観察し、出血する病変がないかを調べる検査です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍、粘膜のただれ、胃がんなどが確認の対象になります。食道炎も、粘膜の傷から出血する場合があるため、胃だけを見て終わる検査ではありません[11]。
胃がんは早い段階では症状が乏しく、進行していても症状が出ない例があります。出血が続くと、貧血や黒い便が受診のきっかけになる場合もあります[5]。貧血で胃カメラを勧められたことは、がんが見つかったという意味ではなく、治療が必要な原因を調べるための提案です。
萎縮性胃炎や胃の手術後などでは、出血だけでなく鉄の吸収も検討します。胃粘膜の変化やピロリ菌感染などを、採血やこれまでの治療歴と照らし合わせる考え方です[3]。バリウム検査でも異常を指摘されている場合の受診は、バリウム検査で要精密検査と言われたときの胃カメラで扱っています。
大腸カメラは、見えない出血や右側の大腸も調べる
大腸カメラでは、大腸ポリープ、大腸がん、炎症など、出血の原因となる病変を確認します。病変が見つかれば、必要に応じて組織を採り、顕微鏡で調べる検査につなげます。小さなポリープがあったというだけで、その病変が貧血の原因と決まるわけではありません。
大腸がんでも、初期には自覚症状が目立たないことが多く、慢性的な出血から貧血の症状が出る場合があります[6]。特に盲腸や上行結腸など右側の大腸では、腹部症状が乏しく、貧血をきっかけに発見される例があります[7]。
便が細い、残便感が続く、便秘と下痢を繰り返すといった変化も、診察で確認する情報です。こうした症状はがん以外でも生じるため、症状だけで病名は決められません。一方、赤い血が見えないことを理由に、大腸からの出血を否定することもできません。
片方だけでよいか、両方を受けるか
胃カメラでは大腸を、大腸カメラでは胃を観察できません。原因のはっきりしない鉄欠乏性貧血で両方を検討するのは、消化管の異なる範囲を確かめるためです。ただし、全員に同じ順番で同じ検査を行うわけではありません[3][4]。
どちらを先に行うかは、便の色、腹痛の場所、便潜血結果、過去の検査、全身状態などで変わります。片方で明確な出血源が見つかった場合は、もう片方の検査の必要性を改めて判断します。最近内視鏡を受けた方では、実施時期だけでなく、どの範囲まで十分に観察できたかも判断材料です。
胃と大腸の内視鏡で原因が分からなくても、貧血が改善しない、または繰り返す場合は評価を続けます。食事や月経、尿からの出血、吸収の問題、ほかの貧血を見直し、必要に応じて小腸などの検査を検討する流れです。胃と大腸に異常がないという結果は、貧血そのものがないという意味ではありません[3]。
女性の貧血は内科と婦人科、どちらに相談する?
月経量が多い、月経が長引く、不正出血がある場合は婦人科が相談先です。月経との関係が分からない貧血や、ほかの採血項目にも異常がある場合は内科、血便や黒い便、便通の変化があれば消化器内科が入口になります。すでに通院中なら、その医師に結果を見せる方法でも構いません。
婦人科ではどんな検査をするのか
婦人科では月経の周期、出血が続く日数、量の変化、月経以外の出血、妊娠の可能性などを確認します。子宮筋腫が疑われる場合は内診や超音波検査を行い、必要に応じてMRIなどで子宮の状態を評価します[9]。受ける検査は、症状や年齢、妊娠の可能性などによって異なります。
出血量は自分では測りにくいものです。ナプキンの交換が以前より増えた、夜も交換のために起きる、大きな血の塊が出る、仕事や外出に支障があるなど、普段との違いが参考になります。子宮筋腫があっても症状の出方は大きさや場所で異なり、月経量の多さと貧血を合わせた評価が必要です。
内診に不安がある方や、過去に痛みが強かった方は、そのことを診察前に伝えてください。採血だけで子宮の状態までは分からず、超音波検査だけで胃腸からの出血まで分かるわけでもありません。検査ごとに確認できる範囲が違います。
月経があっても、胃腸の検査を考えたい場合
過多月経や子宮筋腫が背景にある女性でも、消化管の病気が重なっている可能性は残ります。黒い便・血便、理由の分からない体重減少、続く腹痛、治療しても改善しない貧血、再発する貧血は、婦人科の治療だけでよいかを見直す材料です。親やきょうだいの胃がん・大腸がんの病歴も診察で確認します。
月経のある若い女性への内視鏡については、ガイドラインでも勧め方に違いがあります。AGAは症状がなくても両方の内視鏡を条件付きで勧め、BSGは月経や食事などを評価したうえで、気になる症状や再発などがある場合に消化管の検査を検討する立場です[3][4]。月経があるだけで検査不要とも、貧血だけで全員に両方必要とも決まりません。
受診先の選び方は、消化器内科と婦人科、どちらに行くか迷ったときも参考になります。月経が原因と診断されている方も、その後の採血で回復を確認することは必要です。閉経後に新たに貧血を指摘された場合は、過去の月経のせいと考えず評価を受けてください。
鉄剤を飲んでいると便潜血検査に影響するのか
黒い便と便潜血陽性は、別のこと
鉄剤で便が黒くなる場合がありますが、便の色だけで便潜血検査が陽性になるわけではありません。日本の大腸がん検診で使われる免疫法は、人のヘモグロビンを調べる検査です。国立がん研究センターは、免疫法では検査前の食事制限や薬剤制限は不要としています[8]。
そのため、鉄剤を飲んでいるという理由だけで便潜血陽性を片付けないことが必要です。鉄剤による着色と、実際の出血が同時に起きている場合も考えられます。陽性になったら鉄剤をやめて検便を繰り返すのではなく、結果を医師に提示して精密検査を相談してください。
検便という言葉には、便潜血以外の検査も含まれます。便潜血にも検査方法の違いがあるため、検査キットの説明書を確認するのが基本です。服薬について個別の指示がある場合や検査方法が分からない場合は、採便前に検査を依頼した医療機関へ確認してください。
陰性でも、貧血の原因がないとは言えない
便潜血検査が陰性とは、提出した便で、検査の基準を超える血液が検出されなかったという意味です。出血が毎日同じ量とは限らず、採便の時点で検出されない場合もあります。便潜血検査は、胃と大腸の粘膜を直接見た結果ではありません。
貧血の評価で便潜血検査が参考になる場面はありますが、陰性だけで原因不明の鉄欠乏性貧血の検査を終えることはできません。男性・閉経後の女性、体重減少がある方、鉄剤で改善しない方などは、便潜血の結果にかかわらず胃と大腸を調べる必要性を判断します[3][4]。
反対に、便潜血陽性でも貧血がない方はいます。便に少量の血液が混じっていることと、血液全体のヘモグロビンが低くなることは、異なる検査で見ているためです。貧血がないことを理由に、陽性後の精密検査を省くこともできません。陽性後の流れは、便潜血陽性で大腸カメラを考える理由に掲載しています。
鉄剤の黒い便か、出血の黒い便かを自分で見分けられる?
飲み始めてから便が黒くなったという経過は参考になりますが、見た目だけでは区別しきれません。タールのように黒く粘り気がある便、赤い血が混じる便、ふらつきや冷汗を伴う場合は、鉄剤のためと考えず早めに受診してください[11]。
受診時には、黒くなる前後で薬を変更したか、腹痛や吐き気があるか、便の回数が増えたかも手がかりです。便の写真や経過のメモがあれば、説明の助けになります。ただし、撮影や次の採便のために受診を遅らせる必要はありません。
鉄剤による治療と、内視鏡の前に確認する薬
検査を待つ間も、必要な鉄の補充を進める
鉄欠乏性貧血と分かったら、原因の検査に加えて鉄を補う治療を行います。BSGは、大腸カメラが間近などの事情がなければ、原因を調べる間も鉄の補充を遅らせない方針です[3]。治療と検査は、どちらか一方を選ぶものではありません。
食事の見直しは治療を支えますが、すでに貧血がある場合、食事だけで不足分を補うのが難しいケースもあります。処方薬に市販の鉄サプリメントを重ねると、必要以上の量を摂るおそれがあります。服用中の薬やサプリメントは、種類と量を医師・薬剤師に伝える情報です。
ヘモグロビンが戻ったあとも、体に蓄える鉄が十分でなければ治療を続ける場合があります。終了時期は再検査と原因の治療状況から判断するため、だるさが軽くなったことだけでは決められません。食事や日常生活については、夏場に気になる貧血の原因と対処法も参照できます。
便潜血検査と、大腸カメラ前の休薬は分けて考える
便潜血検査の免疫法では通常は薬剤制限が不要ですが、大腸カメラの前は別です。鉄剤による便の着色や便秘が腸をきれいにする準備に関係するため、検査前に休薬を指示される場合があります[3][8]。いつから休むか、いつ再開するかは、受ける施設の指示によって決めます。
胃カメラだけの場合と、胃・大腸を同日に調べる場合でも、準備の内容は異なります。検査を予約した時点で、鉄剤を含む服薬一覧を示し、休薬と再開の指示を確認してください。飲み忘れや休薬の指示との行き違いがあっても、自己判断で検査を取りやめず施設へ連絡してください。
吐き気・便秘・下痢や、胃酸を抑える薬との関係
飲み薬の鉄剤では、胃の不快感、吐き気、便秘、下痢などが出る方がいます。症状の出方には個人差があり、薬の種類や飲み方を調整して続けられる場合もあります[10]。下痢が続いて飲めない、食事や水分を十分に摂れない場合は、我慢せず処方医に相談してください。
逆流性食道炎などで使うプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃酸を抑える薬です。長期の服用が鉄の吸収低下と関係する可能性が指摘されていますが、その薬だけが貧血の原因と決まるわけではありません[3]。薬が必要な理由と、貧血の経過を合わせた判断になります。
痛み止めの一部は胃腸の粘膜の傷や出血に関係し、抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる方では出血への配慮が必要です。これらの薬を自分で止めると、治療している病気に支障が出るおそれがあります。内視鏡の医師と処方医に確認した指示を守ってください。
受診の目安は、症状とこれまでの経過で分ける
健診の判定だけでなく、今の体調と便の状態を合わせて受診の時期を考えます。出血に伴う全身症状がある場合は、鉄剤で様子を見られる状態とは限りません[11]。
| 区分 | 状態の目安 | 受診の考え方 |
|---|---|---|
| 早めに受診 | 黒いタール状の便や血便、急に強くなった息切れ・ふらつき | 当日中の医療機関への相談が必要。吐血、大量の出血、胸痛、安静時の息苦しさ、失神、冷汗を伴う場合は直ちに救急受診 |
| 近いうちに相談 | 症状がなくても健診で新たに貧血、男性・閉経後の鉄不足、体重減少、治療後の再発、月経量の増加 | 次の健診まで放置せず、内科・消化器内科や婦人科で原因の評価 |
| 様子を見てよい目安 | 診察で原因と治療方針が決まり、再検査の予定があり、症状や出血が悪化していない | 医師の計画に沿った経過観察。未受診の貧血を自己判断で放置する意味ではない |
以前から貧血がある方でも、新しい胸痛や強い息苦しさを貧血だけのせいにはできません。心臓や肺など別の病気も含めた評価が必要です。意識が遠のくなど移動が危険な状態では、自分で運転せず救急車を要請してください。
受診から検査へ進む流れと、当院での対応
貧血の相談では、採血で種類や程度を確認しながら、原因に合った検査を選びます。受診してすぐに全員が内視鏡を受ける流れではなく、結果票や症状、服用中の薬を踏まえた判断です。
健診で貧血を指摘 → 症状・過去の結果・服薬を確認 → 採血で鉄不足などを評価 → 必要な原因検査と治療 → 再採血で回復と再発を確認
この流れの途中でも、強い症状や出血があれば緊急性の評価が先になります。胃腸の検査が必要な方では、検査で得られる情報と、下剤や鎮静剤を含めた負担を合わせて検討します。年齢や持病で迷う方は、高齢の家族の内視鏡を考えるときの目安も参考になります。
横浜駅前ながしまクリニックは横浜駅から徒歩3分にあり、消化器内科で症状や検査結果をもとに診察を行っています。胃カメラ・大腸カメラともに鎮静剤を使った検査に対応し、条件が合えば同じ日に両方の検査を受けることも可能です。
婦人科も併設していますが、大腸カメラの相談・診察は消化器内科で行います。検査の必要性や受診については消化器内科の診療案内、検査方法は胃カメラの案内と大腸カメラの案内に掲載しています。検査結果は対面で説明しています。
よくある質問
鉄剤を飲んで数値が戻れば、検査はしなくていい?
数値の回復だけでは、原因となる出血が止まったかは分かりません。原因未確認の男性・閉経後女性や、貧血を繰り返す方では、胃と大腸の検査を検討します。月経など原因が分かっている方も、採血で回復を確認しながら方針を決めます。
胃が痛くなくても胃カメラを受ける理由は?
胃腸の病気には、痛みがなく、出血による貧血が手がかりになるものがあるためです。痛みの有無より、鉄不足が確認されているか、月経やほかの出血で説明できるか、治療に反応するかを踏まえて考えます。
便潜血検査が陰性なら、大腸カメラは省けますか
陰性だけでは省けると決まりません。便潜血は便に混じる血液を調べる検査で、大腸を直接観察する検査とは役割が異なります。原因の分からない鉄欠乏性貧血では、年齢、症状、治療経過などから内視鏡の必要性を判断します。
月経がある女性は、まず鉄剤だけでもよい?
医師が月経や食事などを評価したうえで、鉄剤を使いながら経過を見る選択肢はあります。ただし、血便や体重減少がある、改善しない、再発する場合は別の原因の確認が必要です。婦人科に通っていることだけで胃腸の検査が不要になるわけではありません。
貧血があるのに、大腸カメラの下剤を飲んで大丈夫?
貧血の程度と全身状態に応じた判断が必要です。強いふらつき、息切れ、出血がある場合は、下剤を始める前に医療機関へ相談してください。鉄剤で便秘があること、腎臓や心臓の病気があることも、検査の準備を決める際の情報になります。
胃カメラと大腸カメラで異常がなかったら、その後は?
鉄の補充に対する反応を確認し、貧血が続く場合はほかの出血源や吸収の問題などを見直します。原因が分からなくても、再採血で経過を確認する計画は必要です。次の検査を全員に追加するのではなく、貧血が回復しているか、再発しているかに応じて選びます。
参考文献
- [1] 厚生労働省.労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目.
- [2] 厚生労働省.Hb/血色素量.
- [3] Snook J, et al. British Society of Gastroenterology guidelines for the management of iron deficiency anaemia in adults. Gut. 2021;70:2030–2051.
- [4] Ko CW, et al. AGA Clinical Practice Guidelines on the Gastrointestinal Evaluation of Iron Deficiency Anemia. Gastroenterology. 2020;159:1085–1094.
- [5] 国立がん研究センター.胃がんについて.
- [6] 国立がん研究センター.大腸がんについて.
- [7] 国立がん研究センター中央病院.大腸がんの症状について.
- [8] 国立がん研究センター.有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版公開.
- [9] 日本婦人科腫瘍学会.子宮筋腫.
- [10] 米国国立心肺血液研究所(NHLBI).Iron-Deficiency Anemia.
- [11] 米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK).Symptoms & Causes of GI Bleeding.
医学監修:横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科認定医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医)
更新日 2026-10-16
