2026年07月26日
健診結果に「便潜血陽性」「要精密検査」と書かれていると、急に大きな病気を告げられたようで不安になる方が多いと思います。とくに自覚症状がない場合は、「本当に検査を受けたほうがいいのか」「もう一度便の検査をすればよいのでは」と迷いやすいところです。便潜血陽性は、すぐに大腸がんを意味するものではありませんが、見過ごしてよいサインでもありません。

結果票を受け取ったら、まずは「陽性だった理由を確かめる必要がある」と受け止めてください。腹痛や血便がない方でも、健診で見つかった小さなサインをきっかけに検査を進める意味があります。
便潜血検査とは何を見ている検査か
便潜血検査は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。肉眼では赤く見えない程度の少量の出血でも反応することがあり、健康診断や自治体のがん検診で広く使われています。厚生労働省も、がん検診の中で大腸がん検診として便潜血検査を示しています。
大腸の中で出血が起こる原因には、痔、炎症、憩室、ポリープ、大腸がんなど、いくつかの可能性があります。便潜血検査だけでは、どこから出血しているのか、原因が良性なのか悪性なのかまでは判断できません。つまり、便潜血陽性は「血が混じった可能性がある」という入口の検査であり、原因を確かめる検査ではないということです。
陽性=大腸がん、ではありません
便潜血陽性と聞くと、まず大腸がんを心配する方が少なくありません。ただ、多くの場合は痔や良性の原因による出血であることもあります。排便時に切れた、痔がある、便が硬かった、という事情が思い当たる方もいるでしょう。
一方で、「痔があるから、それが原因に違いない」と決めつけることはできません。痔と大腸ポリープ、大腸がんが同時に存在することもあります。便潜血検査の結果だけで原因をひとつに絞ることは難しいため、陽性になった場合は大腸の中を直接確認する検査が必要になります。
なぜ「もう一度便検査」ではなく大腸カメラなのか
便潜血陽性のあとに、「もう一度検査して陰性なら大丈夫ですか」と相談されることがあります。気持ちは自然ですが、再検査で陰性だったとしても、最初の陽性をなかったことにはできません。出血は毎日同じように続くとは限らず、ポリープやがんがあっても、その日に採った便に血液が混じらないことがあります。
そのため、便潜血検査をやり直して陰性になったとしても、「大腸に異常がない」と確認できたわけではありません。精密検査としては、肛門から内視鏡を挿入して直腸から盲腸までの大腸を観察する大腸カメラが基本になります。大腸カメラでは、出血の原因になりうるポリープ、炎症、がんなどを直接観察し、必要に応じて組織検査や処置を検討します。
放置した場合に心配なこと
便潜血陽性を放置してしまうと、出血の原因がわからないまま時間が過ぎてしまいます。大腸がんは早い段階では自覚症状がほとんどないことがあり、進行してから便に血が混じる、便が細くなる、腹痛が出るといった症状につながることがあります。国立がん研究センターがん情報サービスでも、大腸がんは結腸や直腸の粘膜から発生するがんとして解説されています。
当院の大腸カメラページでもお伝えしているように、大腸がんの多くは大腸ポリープ(腺腫)が5〜10年かけて悪性化したものとされています。つまり、ポリープの段階で見つけて切除できれば、大腸がんの予防につながる可能性があります。便潜血陽性は、症状が出る前に大腸を調べるきっかけと考えるとよいでしょう。
「忙しい時期が落ち着いてから」と先延ばしにしたくなる方もいますが、健診で要精密検査とされた時点で、まずは受診の予定を立てることをおすすめします。検査日そのものは仕事や家庭の予定に合わせて調整できますし、服用中の薬、過去の検査でつらかった経験、下剤への不安なども事前に相談できます。大切なのは、便潜血陽性という結果を自己判断で終わらせず、原因を確認する流れに乗せることです。
便潜血陽性のあとの行動と結果
| 行動 | わかること | 残る問題 |
|---|---|---|
| 放置する | 原因はわからない | ポリープや大腸がんなどがあっても発見が遅れる可能性があります |
| 便検査をやり直す | その時点の便に血液が混じっているかは見られる | 陰性でも、大腸内に異常がない確認にはなりません |
| 大腸カメラを受ける | 大腸内を直接観察できる | 下剤準備や検査時間は必要ですが、原因確認と必要な処置につながります |
当院で大腸カメラを受ける場合
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から徒歩3分の場所にあります。当院の内視鏡検査のご案内では、胃カメラ・大腸カメラの検査体制についてまとめています。大腸カメラでは、鎮静剤を使用した検査に対応しており、検査後はリカバリールームで休んでから結果説明を受けていただきます。鎮静剤を使用した日は、自動車・バイク・自転車の運転はできません。
検査中にポリープが見つかった場合、適応があればその場で日帰り切除に対応しています。ポリープのサイズ、数、形状によっては入院での切除をおすすめする場合もありますが、検査前の診察時に方針をご説明します。
下剤の飲み方は、ご自宅で飲む方法を基本とし、水曜・金曜に限り院内で下剤を飲む方法にも対応しています。自宅で落ち着いて準備したい方、院内で説明を受けながら進めたい方など、ご都合に合わせて相談できます。また、「なるべく早く検査を受けたい」という方には、条件が合えば同日検査の相談も可能です。
女性の方の中には、検査そのものに加えて、着替えや検査中の恥ずかしさが気になる方もいます。当院では女性への配慮を大切にしており、婦人科診療も行っています。女性特有の症状や相談先に迷う症状がある場合は、婦人科ページもあわせてご確認ください。
なお、当院は横浜市の大腸がん検診(便潜血検査)にも対応しています。「まだ便潜血検査を受けたことがない」という方の検診のご相談も承っています。
費用の目安について
便潜血陽性で大腸カメラを受ける場合は、症状や検査目的に応じて保険診療の対象となることがあります。実際の費用は、観察のみか、組織検査やポリープ切除を行うか、保険の負担割合などによって変わります。具体的な目安は、内視鏡検査の費用まとめ記事でご確認ください。
よくある質問
痔があるので、陽性になっただけではありませんか?
痔からの出血で便潜血陽性になることはあります。ただし、痔があることと、大腸ポリープや大腸がんがないことは同じではありません。痔がある方でも、便潜血陽性をきっかけに大腸の中を確認しておくことが大切です。
2回法で1回だけ陽性でも、大腸カメラを受けたほうがいいですか?
1回だけ陽性の場合でも、便に血液が混じった可能性があります。もう1回が陰性だったとしても、出血が常に続くとは限らないため、精密検査の対象として考えます。検査を受けるか迷う場合は、健診結果を持ってご相談ください。
大腸カメラでは何日仕事を休む必要がありますか?
検査当日は、下剤の内服と検査後の休憩があるため、半日から1日程度の予定を空けておく方が多いです。鎮静剤を使用した場合は当日の運転ができません。ポリープを切除した場合は、出血予防のため飲酒、激しい運動、長時間の入浴などを控える期間が必要になることがあります。仕事内容や処置内容によって個人差がありますので、検査後の説明に沿ってください。
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)
参考文献
[1] 国立がん研究センター がん情報サービス. 大腸がん(結腸がん・直腸がん). https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
[2] 厚生労働省. がん検診. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html
