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胃カメラで「鳥肌胃炎」と言われたら——若い人に多いピロリ菌の胃炎と、除菌のあとにすること

2026年10月16日

胃カメラで「鳥肌胃炎」と言われたら——若い人に多いピロリ菌の胃炎と、除菌のあとにすること
自宅のテーブルでマグカップを手に、白い紙に手を添えて検査結果を確かめる様子

健診や胃カメラの結果に「鳥肌胃炎」と書かれていて、驚いて検索された方は多いと思います。名前の印象が強いうえに、調べると胃がんの文字が並ぶので、不安になるのも無理はありません。鳥肌胃炎は、ピロリ菌の感染と強く結びついた「見た目の所見」です。ここでは、この所見が何を意味するのか、胃がんとの関係で分かっていること・まだ分からないこと、そして次に何をするかを整理します。

鳥肌胃炎とは、どんな所見か

胃の粘膜に小さな粒がびっしりと並び、鳥肌が立ったように見える状態です。胃の出口に近い部分(前庭部)に目立つことが多い所見です[4]。病気の名前というより、内視鏡で見える特徴を指す呼び名です。

成人の内視鏡97,262人を調べた研究では、鳥肌胃炎は187人(0.19%)でした[1]。男性49人に対して女性138人、平均年齢は32.6歳で、若い女性に多い所見です[1]。81%の人には胃の不快感などの症状(ディスペプシア)がありました[1]。

原因はピロリ菌です。ピロリ菌の検査をした134人は、全員が感染していました[1]。ただ、鳥肌胃炎は国際的な分類(シドニー分類)に含まれておらず、組織の見た目としての定義も広く合意されているわけではありません[4]。医師どうしでも判定が分かれやすいとされるため[4]、見た目だけで決めず、ピロリ菌の検査で確かめるのが基本の流れになります。

鳥肌胃炎の見つかり方

①見た目の所見
胃の出口に近い部分に、小さな粒が並ぶ(鳥肌のような見た目)
②ピロリ菌の検査
見た目だけで決めず、検査で感染を確かめる

出典:Miyamoto M, et al. Dig Dis Sci. 2003 [1]/Romero-Flores JL, et al. Ther Clin Risk Manag. 2017 [4]

胃がんとの関係:分かっていること、まだ分からないこと

気になるのはここだと思います。ピロリ菌に感染している674人を調べた報告では、114人(17%)に鳥肌胃炎があり、69%が女性でした[2]。鳥肌胃炎の人のうち6人(5%)に胃がんが見つかり、そのすべてが「びまん型(未分化型)」でした[2]。鳥肌胃炎のない人の胃がん19人のうち16人は腸型(分化型)で、タイプの傾向が違っていました[2]。

胃がんには分化型と未分化型があり、一般に未分化型は進行が速い傾向があります。胃の壁にばらばらと染み込むように広がるものが多いとされます[5]。この組み合わせが「鳥肌胃炎=胃がん」と受け取られやすい理由です。

ただ、数字は冷静に読む必要があります。この報告は規模が小さく、過去の記録を振り返った研究です[2]。「鳥肌胃炎と言われた人はがんになる」と言える材料ではなく、「ほかのタイプの胃炎とは、がんの出方が違う可能性がある」という段階の話です。先ほどの成人の調査では、鳥肌胃炎の187人のうち25人(13%)に、胃潰瘍や胃がんなどの病変が伴っていました[1]。だからこそ、放置せずにピロリ菌を確かめ、必要な検査を受けておく意味があります。

ピロリ菌の確認と、除菌の相談

ピロリ菌の感染は胃がんの発生要因のひとつで、国立がん研究センターも、感染で胃がんになる可能性が高くなると報告されていると説明しています[5][6]。検査の進め方や除菌の方法はピロリ菌の除菌方法の記事と、ピロリ菌陽性と言われたときの記事に詳しくまとめています。

鳥肌胃炎では、除菌に意味がある可能性が示されています。先ほどの成人の調査では、除菌で症状は改善した一方、自然には改善しませんでした[1]。韓国の報告では、除菌した18人のうち12人(66.7%)で粒が目立たなくなり、除菌しなかった99人で自然に目立たなくなったのは9人(9.9%)でした[3]。さらに、除菌に成功した82人を3年間追った調査では、胃がんの発生はありませんでした[2]。ただし3年と短く、規模も小さいので、「除菌すれば胃がんにならない」という意味ではありません。除菌を検討する価値がある、という程度に受け取ってください[2]。

指摘されてから経過観察まで

①指摘
健診・胃カメラで「鳥肌胃炎」
②ピロリ菌の検査
感染があるか確認
③除菌の相談
陽性なら診察で相談
④経過観察
除菌後も胃カメラで経過をみる考え方あり

出典:Miyamoto M, et al. 2003 [1]/Nishikawa I, et al. JGH Open. 2018 [2]/Kim JW, et al. 2015 [3]

除菌がうまくいっても、そこで終わりではありません。除菌の後にどう胃カメラで経過をみていくかという考え方は、除菌後のフォローのページで説明しています。萎縮が進んだ胃の話は萎縮性胃炎の記事や腸上皮化生の解説をご覧ください。除菌後に胃カメラを受ける間隔は、胃の状態をみながら医師と相談して決めます。

受診の目安

次のようなときは、胃カメラで相談する段階です。

早めにご相談ください
胃の不快感が続く/「鳥肌胃炎」と指摘されたが、ピロリ菌の検査をまだ受けていない
気になる場合は相談を
症状はないが、結果の意味が分からず不安がある

胃の不快感が続いている、健診や胃カメラで鳥肌胃炎と言われたがピロリ菌の検査をまだ受けていない、という方は一度ご相談ください。胃カメラの流れは初めての胃カメラの記事、眠った状態での検査は鎮静の記事、組織を採る検査は生検の記事で説明しています。貧血を指摘されている場合は、貧血と内視鏡の記事も参考になります。胃カメラのご案内は胃カメラ検査のページにあります。なお、痛みが中心の症状は、腹痛の原因を部位別に解説したガイドも役に立ちます。

10〜12月は、がん検診や健診の結果が届く時期で、当院でも内視鏡の予約が混みやすくなります。年内に受けたい方は、年内に内視鏡を受けるならの記事をご覧ください。

よくある質問

鳥肌胃炎と言われたら、胃がんがあるということ?

そうではありません。ただ、ピロリ菌に感染している674人を調べた報告では、鳥肌胃炎の人に見つかった胃がん6人がすべてびまん型(未分化型)でした[2]。小規模な過去の記録を振り返った研究で、断定できる段階ではありませんが、気にかけておく所見です。ピロリ菌の確認から始めましょう。

症状がなくても、除菌したほうがいいの?

報告では、鳥肌胃炎は除菌治療の対象になりうるとされています[2]。保険で除菌できる条件などは、診察の際にご説明します。ピロリ菌陽性と分かったあとの流れはこちらの記事にまとめています。ご自身の場合は、診察でご相談ください。

除菌したら、粒は消える? もう胃カメラはいらない?

除菌で粒が目立たなくなった人は、報告では18人中12人でした[3]。粒が消えたかどうかと、その後の胃カメラが要るかどうかは別の話です。除菌後の経過観察については除菌後のフォローのページをご覧ください。

当院へのアクセス(横浜駅から徒歩3分)

横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から300m・徒歩3分(横浜モアーズから徒歩2分)の場所にあります。診療は月曜〜土曜で、日曜・祝日は休診です。横浜駅からの道順はアクセスページで写真つきでご案内しています。胃カメラのご予約・ご相談は胃カメラ検査のページからどうぞ。

参考文献

  1. Miyamoto M, Haruma K, et al. Nodular gastritis in adults is caused by Helicobacter pylori infection. Dig Dis Sci. 2003;48(5):968-75. https://link.springer.com/article/10.1023/A:1023016000096
  2. Nishikawa I, Kato J, et al. Nodular gastritis in association with gastric cancer development before and after Helicobacter pylori eradication. JGH Open. 2018. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6207053/
  3. Kim JW, et al. Nodule Regression in Adults With Nodular Gastritis. Gastroenterology Res. 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5051029/
  4. Romero-Flores JL, et al. Diagnostic accuracy of nodular gastritis for H. pylori infection. Ther Clin Risk Manag. 2017. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5179200/
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん 基礎知識」. https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/about.html
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん 予防・検診」. https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/prevention_screening.html

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監修

横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医、日本内科学会 認定医)

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