2025年05月29日
過敏性腸症候群(IBS)の食事療法では、食べ物を減らし続けるのではなく、症状が出にくい食品と量を見つけることが目標です。低FODMAP食は、腸で吸収されにくい糖質を一時的に減らし、その後に食品を戻して、自分に合う食べ方を探す方法。食後の腹痛、下痢、お腹の張りが軽くなる方がいる一方、全員に同じ効果が出るわけではありません。
玉ねぎを控えたほうがよいのか、キャベツや芋は食べられるのか。判断には食品名だけでなく、食べた量や調理に使った材料も関わります。体によいと思って増やした乳製品やオリゴ糖が合わない場合もあり、普段の食事を振り返ることが出発点です。
| 気になること | 食べ方の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 何を食べればよい? | ご飯、味付け前の肉・魚・卵、にんじんなどを組み合わせる | 主食や野菜を丸ごと抜かない |
| 玉ねぎを食べると張る | フルクタンという糖質が関わる可能性 | スープやソースに入った玉ねぎにも着目 |
| キャベツ・ブロッコリー・芋は? | 種類、部位、食べる量で判断する | 野菜や芋を一律に禁止しない |
| 低FODMAP食を試したい | 制限、再導入、個別化の順に進める | 期限を決め、改善しなければ治療を見直す |
| 食べられるものが減ってきた | 栄養状態と症状を一緒に確認する | さらに制限する前に医師へ相談 |
| 血便や体重減少がある | 食事の影響だけで片付けない | 食事療法より原因の確認を優先 |
低FODMAPの食品でも食べ方によっては不調につながり、高FODMAPでも食べられる量があるため、禁止食品の一覧として使うものではありません。[1–3]
FODMAPとは何か:発酵しやすい糖質とIBSの関係
FODMAP(フォドマップ)は、発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールを指す言葉です。英語のFermentable、Oligosaccharides、Disaccharides、Monosaccharides、and Polyolsの頭文字を組み合わせています。脂質やたんぱく質ではなく、特定の糖質に着目した分類です。
小腸で十分に吸収されない糖質は、腸の中に水分を引き込み、大腸では腸内細菌による発酵の材料になります。その結果生じる水分やガスによる腸の膨らみに敏感な方では、痛みや張り、下痢が出やすくなると考えられています。乳糖や果糖などの吸収の程度には個人差があり、どの糖質も全員が吸収できないという意味ではありません。[2,3]
| 食事 | 吸収されにくい糖質を含む食品を食べる |
|---|---|
| ↓ 小腸 | 吸収されずに残った糖質が水分を引き込む |
| ↓ 大腸 | 腸内細菌が糖質を発酵させ、ガスが生じる |
| ↓ 敏感な腸では | 腸の膨らみを痛みや張りとして感じやすい。便の状態も変わりうる |
FODMAPに含まれる糖質の種類
オリゴ糖には、小麦や玉ねぎ、にんにくに含まれるフルクタン、豆類に多いガラクトオリゴ糖があります。二糖類では牛乳やヨーグルトに含まれる乳糖が対象です。乳製品すべてが同じ量の乳糖を含むわけではなく、製法や種類によって違いがあります。
単糖類では、ブドウ糖に比べて多く含まれる果糖が問題になりやすく、はちみつや一部の果物が例です。ポリオールは糖アルコールとも呼ばれ、ソルビトールやマンニトールなどが該当します。糖アルコールは甘味料として使われるだけでなく、果物や野菜にも自然に含まれる成分です。[3,4]
ガスが多いことだけでIBSとは決まらない
IBSでは、排便に関連する腹痛と、便の形や回数の変化が繰り返されます。下痢型、便秘型、両方がみられる混合型などがあり、腸の動きや痛みの感じ方、脳と腸のやり取りも関わる病気です。検査で目立つ異常がないからといって、症状が気のせいということではありません。[1]
ただし、おならや張りだけでIBSと自己判断するのは避けたいところです。炎症性腸疾患など別の病気でも似た症状が出るため、診断を受けていない方は食事制限を始める前に消化器内科で相談してください。
高FODMAP食品と低FODMAP食品の違い
高FODMAP・低FODMAPは、食品に含まれる対象の糖質と、食べる量による区分です。高い食品が体に悪く、低い食品だけが健康によいという評価ではありません。野菜、果物、豆類にも高FODMAPの食品があり、栄養を確保しながら置き換える必要があります。
次の表は、普段の献立で使う食品の例です。低FODMAP側も量を問わず食べられるという意味ではなく、アレルギーや持病による制限がある場合には、その条件も含めて選びます。[3,5]
| 食品の種類 | 量や頻度を見直す候補 | 置き換えの候補と注意 |
|---|---|---|
| 主食 | 小麦を多く使うパン、麺、菓子 | ご飯、米の麺。米粉パンは小麦・乳成分などの配合も確認 |
| 野菜 | 玉ねぎ、にんにくなど | にんじん、きゅうり、レタス、ズッキーニなど。量と味付けにも注意 |
| 芋 | 種類を区別せず大量に食べる習慣 | じゃがいもは候補。さつまいもなどは種類と量を分けて検討 |
| 果物 | りんご、梨、桃、ドライフルーツなど | キウイ、みかん、オレンジなど。バナナは熟し具合にも注意 |
| 乳製品 | 牛乳、乳糖を含むヨーグルトなど | 乳糖を除いた牛乳、硬いタイプのチーズなど |
| 主菜 | 豆類、大豆を丸ごと使った豆乳、玉ねぎ入りの加工肉など | 味付け前の肉・魚・卵、木綿豆腐など |
| 甘味・間食 | はちみつ、糖アルコール入りの飴やガム | 原材料と食べる量を確認。甘味料を一括りにしない |
豆腐は製造方法で成分が変わるため、木綿豆腐の情報を絹ごし豆腐や豆乳へそのまま当てはめることはできません。肉・魚・卵も、素材ではFODMAPが少なくても、下味やソースに玉ねぎ、にんにく、乳成分が使われれば料理全体の条件が変わります。
小麦を減らすこととグルテン除去は同じではない
小麦にはフルクタンが含まれますが、グルテンはたんぱく質です。パンを減らして楽になったとしても、それだけではグルテンが原因とは決まりません。低FODMAP食とグルテンを除く食事は、着目している成分が異なります。[2,6]
米粉を使った食品にも小麦や乳糖などが入る場合があり、原材料名の確認が必要です。小麦アレルギーなどで除去を指示されている方は別の判断になるため、食事療法の再導入として自己判断で小麦を試さないでください。
玉ねぎ・キャベツ・ブロッコリー・芋は食べられる?
玉ねぎは加熱すればよいとは限らない
玉ねぎはフルクタンを含むため、低FODMAP食の制限期に見直す代表的な野菜です。生で食べたときだけでなく、煮物、カレー、スープ、ドレッシングなどに入っている分も関係します。加熱して柔らかくなったことと、FODMAPが少なくなったことは別です。[2,7]
フルクタンは水に溶ける性質があり、玉ねぎを煮込んだ後で具だけ取り除いても、汁に移った分は残ります。スープを飲む場合、玉ねぎをよけただけでは十分な置き換えになりません。味付けは生姜やハーブ、ねぎの青い部分などを使う方法があります。[7]
玉ねぎを食べると毎回つらい場合も、一生避けると決める必要はありません。症状が落ち着いた後に、再導入の手順に沿って少量から反応を確認する対象です。食べた量だけでなく、同じ食事の乳製品や小麦製品も記録すると、原因を絞る材料になります。
キャベツは一律に除く野菜ではない
キャベツは低FODMAP食でも取り入れられる候補です。研究機関の食品資料では、一般的なキャベツや赤キャベツが一定量で低FODMAPに分類されています。ただし、品種や加工法、量によって条件が異なるため、キャベツという名前だけで大量に食べてもよいとは判断できません。[5]
千切りを大皿で食べた後に張るなら、まず普段の量との違いを見ます。柔らかく調理すると食べやすい方もいますが、加熱したキャベツを小さく盛ったつもりでも、使った葉の量は多いという場合があります。生か加熱かと、もとの量を分けて記録すると比較しやすくなります。
キャベツ料理の後の不調が、キャベツだけによるとは限りません。コールスローの乳成分や玉ねぎ、炒め物の脂肪など、料理に使ったほかの材料も確認対象です。食べられている野菜まで広く除くより、量と組み合わせを見直すほうが食事の幅を保てます。
ブロッコリーは房と茎で扱いが違う
ブロッコリーも、すべてを高FODMAPとして避ける必要はありません。モナッシュ大学の測定では、一般的なブロッコリーは房の部分と茎の部分で果糖の含まれ方が異なり、茎をまとめて多く食べる場合に注意が必要とされています。房を中心に少量から取り入れるのは選択肢です。[8]
茎を食べたら症状が出ると決まっているわけではなく、量への反応には差があります。房と茎を区別して記録し、同時に玉ねぎ入りのソースなどを増やさないほうが判断しやすくなります。
じゃがいもとさつまいもを同じ扱いにしない
じゃがいもは低FODMAP食の食品候補に含まれます。芋だから食べられない、でんぷんだから避ける、と一律に決める必要はありません。さつまいもにも食べられる量がありますが、芋の種類が違えば対象の糖質や量の条件も変わります。[3,5]
じゃがいもの料理でも、揚げ物なら脂肪、クリーム煮なら乳糖、ポテトサラダなら玉ねぎなどが症状に関わる場合があります。素材を確かめたいときは、材料が少ないゆで物や蒸し物のほうが比較しやすい組み合わせです。
きゅうり、にんじん、レタス、ズッキーニも候補ですが、食べる量は別に考えます。トマトも種類や量を確認する食品です。野菜を食べるたびに不安が強くなる場合は、禁止品を増やすより食事全体を医師や管理栄養士に確認してもらう必要があります。
低FODMAP食のやり方:制限・再導入・個別化
低FODMAP食は、減らす段階だけで終える食事法ではありません。期間を決めて置き換え、症状の変化を見て、食べられるものを戻すまでが一連の流れです。最初に困っている症状と、どの時点で効果を判断するかを決めておくと、制限だけが長引くのを避けられます。[6,9]
| 段階 | 行うこと | 次へ進む判断 |
|---|---|---|
| 1.制限期 | 高FODMAP食品を低FODMAPの食品と量へ置き換える | 症状が軽くなったかを確認。変化が乏しければ治療を見直す |
| ↓ 2.再導入期 | 糖質の種類ごとに食品を試し、量を変えて反応をみる | どの食品をどれだけ食べられるかを記録する |
| ↓ 3.個別化・維持期 | 食べられた食品を戻し、つらくなる条件だけ調整する | 栄養と食事の楽しみを保てる食べ方へ |
制限期は食事を抜かず、食品を置き換える
制限期の目安は、モナッシュ大学の手順では2〜6週間です。米国消化器病学会(AGA)の専門家助言でも、厳しい制限は4〜6週間を超えて続けない方針が示されています。終了時点をあらかじめ決め、反応がないのに期間だけを延ばす方法は勧められていません。[6,9]
朝食のパンを抜くのではなくご飯に替える、牛乳が合わない場合は乳糖を除いたものを検討する、といった置き換えが基本です。野菜や果物をすべてやめる必要はなく、食べられる種類を残すことが前提になります。低FODMAP食は体重を減らすための食事法ではありません。
痛みや便通の波を記録し、評価する時期は担当者と共有してください。食事量が減って体重が落ちる、疲れやすい、便秘が強くなる場合は、予定期間を待たず相談が必要です。
再導入では種類と量を分けて試す
制限で症状が軽くなったら、食べられる範囲を探す段階に進みます。普段の食事を低FODMAPのまま保ち、乳糖、果糖、フルクタンなど、試したい糖質の種類に合う食品を選んで少しずつ戻す方法です。食品の選び方や増やす量は、低FODMAP食に詳しい医師や管理栄養士と決めます。[9]
パン、牛乳、果物を同時に戻すと、不調が出たときにどれが関係したのか分かりにくくなります。試す食品の間には症状が落ち着く時間を置き、量と反応を確認することが基本です。少量で平気でも多量で張る場合、記録する答えは食べられない食品という名前だけでなく、食べられた量になります。
症状が強くなったら、その食品を増やす試みを中断し、担当者に相談してください。体調や緊張の影響もあるため、一度の不調だけで永久に禁止するとは限りません。アレルギーが疑われる症状を確認するための自己テストとは区別が必要です。
個別化では制限を必要な範囲まで減らす
食べてもつらくならなかった食品は、長く続ける食事へ戻します。多めだと張る食品なら量を調整し、少量で強く症状が出る食品は控えるなど、反応に応じた食べ方です。食べられる量は時間とともに変わりうるため、以前合わなかった食品も体調を見ながら再評価します。[9]
食事日記・献立・外食で確認すること
食事日記は食品名だけで終えない
同じキャベツ料理でも、量や味付けが違えば条件は同じではありません。食事日記には食べた時刻、材料、量、痛みや張り、便の状態を残すと、診察で話しやすくなります。細かな栄養計算が負担なら、料理の写真と短いメモからでも十分に手がかりを得られます。
- 食事:食べた時刻、主な材料、茶碗や皿で見たおおよその量
- 症状:腹痛・張りが出た時刻、強さ、排便との関係
- 便:回数、硬い・普通・泥状・水様などの状態、血の有無
- その日の条件:睡眠、緊張する予定、薬やサプリの変更
昼食後にお腹が痛くなっても、直前の食品だけが原因とは限りません。記録を数日分並べると、同じ食品で繰り返すのか、大量に食べた日に限るのか、食事と関係なくつらいのかを見分ける材料になります。調子がよかった日も残すと、食べられる組み合わせを見つけやすくなります。
献立は主食・主菜・野菜を残して考える
献立の一例は、ご飯に塩味の焼き魚、にんじんやじゃがいもの付け合わせを組み合わせる形です。別の食事では卵や木綿豆腐を主菜にし、食べられる量の野菜を添えるなど、同じ食品だけに偏らない工夫ができます。これは組み立て方の例であり、誰にでも症状が出ない献立の指定ではありません。
外食やコンビニでは、材料が把握しやすい料理から選ぶと調整しやすくなります。おにぎりも具や調味料、肉料理も下味やソースを確認する対象です。煮込み料理や混ぜご飯は材料が多いため、症状が出ても一つの食品に原因を決めにくい面があります。
低FODMAPの食品を選んでも不調が残る場合には、食事全体の量や組み合わせも検討します。ただし、食品を複数組み合わせること自体が問題なのではありません。症状が落ち着いている方まで、毎食の糖質を細かく足し算して制限する必要はないとされています。[10]
下痢型と便秘型では気をつけたい点が違う
下痢型では、食べるとトイレに行きたくなるため、外出前の食事を抜く習慣がつく方がいます。欠食の後にまとめて多く食べる、脂っこい料理やコーヒー、飲酒で悪化するなど、FODMAP以外の条件も確認が必要です。規則的な食事や睡眠、続けられる運動も治療の土台になります。[1,2]
便秘型では、制限のために食物繊維や食事量まで不足しないよう注意が必要です。水溶性食物繊維は治療の選択肢ですが、種類や増やし方によっては張りがつらい方もいます。便が硬い、いきむ、残便感があるなどの悩みは、便秘型IBSと食事療法の記事でも扱っています。[6]
低FODMAP食の効果と、続ける際の限界
低FODMAP食には臨床研究の裏付けがあります。オーストラリアで行われた無作為化比較試験では、通常のオーストラリア食と比べ、低FODMAP食で腹痛や張り、ガスなどが軽減したと報告されています。一方、便の回数などの変化はIBSの型によって異なり、すべての症状に同じ効果があるという結果ではありません。[11]
日本消化器病学会の診療ガイドラインでも、食事指導・食事療法は治療の選択肢です。ただし、低FODMAP食の研究は欧米が中心で、日本の食生活での有効性や取り入れやすさには検討が必要とされています。海外の効果をそのまま個人の改善率として当てはめることはできません。[2]
食事を制限する前に相談したい方
診断されたIBSがあり、食事に関連する痛みや張りが残る方では、低FODMAP食を期間を決めて試す余地があります。一方、すでに食べる食品が極端に少ない方、体重が減っている方、栄養不足が心配な方には、さらに制限を増やす方法が向かない場合があります。[6]
食べることへの不安が強い、食事を避ける範囲が広がる、体重や食事へのこだわりで生活が苦しいときは、その点も医師に伝えてください。持病で食事制限を受けている方も、食品一覧だけでさらに厳しい制限を加えるのは避ける必要があります。
厳しい制限を続けると、栄養の偏りだけでなく、食べる楽しみや外出の機会まで失いやすくなります。腸内細菌の構成が変わる可能性もあり、対象の糖質を長く減らし続けること自体を目標にはしません。長期的な食べ方は、症状と栄養の両方を見て調整します。[6,9,12]
変化がないときは食品をさらに減らし続けない
決めた期間に改善が乏しければ、食事療法が合っているか、IBS以外の原因がないかを見直す段階です。食べ方が悪いと自分を責める必要はありません。腸の動きや知覚、ストレス、薬の影響など、食事だけでは対応できない要素もあります。[1,6]
整腸剤などの薬物療法や生活習慣の調整と、食事療法は組み合わせて考えます。処方薬を食事療法に置き換えるために自己判断で中止せず、処方医に相談してください。ストレスとの関係は、脳と腸の関係を扱ったIBSの記事も参考になります。
受診の目安:早めに受診・近いうちに相談・様子を見てよい場合
血便、発熱、意図しない体重減少は、IBS以外の病気も考えるサインです。過去にIBSと診断されていても、新しく出た症状まで同じ病気だと決めないでください。[1]
| 区分 | 症状の目安 | 行動 |
|---|---|---|
| 早めに受診 | 血便・黒い便、発熱を伴う下痢、意図しない体重減少、いつもと違う腹痛 | 食事制限より診察を優先。強い持続痛、大量の出血、ふらつき、水分が取れない状態なら救急を受診してください |
| 近いうちに相談 | 腹痛や便通異常が続く、食べられる食品が減る、仕事や外出に支障がある | 食事・便の記録を持参し、消化器内科で相談してください |
| 様子を見てよい目安 | 症状が軽く一時的で改善しており、血便・発熱・体重減少がなく、食事と水分が取れる | 食事量などを見直して経過を観察。改善しない、繰り返す場合は受診してください |
IBSを疑う人すべてに、胃カメラと大腸カメラの両方が必要とは限りません。症状の経過、年齢、家族歴、診察や検査の所見から必要性を判断します。血便や便通の変化を調べる大腸カメラ検査と、胃痛や胃もたれなどで検討する胃カメラ検査では、確認する場所が異なります。[1]
よくある質問
ヨーグルトはIBSによいのに、低FODMAP食では控えるの?
乳酸菌などの働きを期待することと、食品に含まれる乳糖への反応は別の話です。ヨーグルトが合う方もいれば、乳糖や加えられた甘味料などで張りや下痢が出る方もいます。特定のヨーグルトがすべてのIBSに合うとは言えず、量と症状を見ながら判断する食品です。[1–3]
桃やバナナ、果物は少量なら食べられる?
桃は低FODMAP食の制限期に量を見直す果物の一つですが、食べられる範囲は人によって違います。バナナも熟し具合や量で評価が変わるため、果物名だけで決められません。キウイや柑橘類などを候補にし、ジュースやドライフルーツを生の果物と同じ量感で取らないことも判断材料になります。[3,5]
飴やガムも控えたほうがいいですか?
飴をすべて禁止する必要はありません。ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコールを含むものは、食べる量によって下痢や張りにつながる場合があります。砂糖不使用という表示だけで判断せず、原材料と食べた数を見ることが手がかりです。[13]
食品一覧やPDFだけで始めてもよい?
一覧は買い物の助けになりますが、量や再導入の手順が省かれた資料だけでは、制限が長引きやすくなります。参考文献の学会ガイドPDFではIBSの診断と治療の考え方を確認できます。食品量の確認に使う研究機関の資料やアプリもありますが、一般的な分類と自分の症状への反応は分けて考える必要があります。[1,3]
食事だけで良くならないときは、どこで相談する?
腹痛、下痢、便秘、張りが続く場合の相談先は消化器内科です。低FODMAP食に関する具体的な支援を希望する場合は、制限期だけでなく再導入までの相談を希望していると伝えてください。相談先ごとに栄養指導の体制は異なるため、医師の診察と管理栄養士による支援は分けて確認する必要があります。
横浜駅前ながしまクリニックでの相談
当院の消化器内科では、問診や症状をもとに診察を行い、必要に応じて血液検査、腹部エコー、胃カメラ・大腸カメラなどで原因を確認します。食後の腹痛や便通の変化がある方は、消化器内科の診療案内から受診・予約の案内をご確認ください。
相談の際には、いつから症状があるか、減らした食品、試した期間、体重の変化、服用中の薬を伝えてください。以前の検査結果も、経過を伝える材料になります。食べられるものを増やすための相談は、厳しい制限を続ける前から始められます。
参考文献
- [1] 日本消化器病学会.患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023.
- [2] 日本消化器病学会.機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)改訂第2版.
- [3] Monash University.About FODMAPs and IBS.
- [4] Muir JG, et al. Measurement of short-chain carbohydrates in common Australian vegetables and fruits by high-performance liquid chromatography (HPLC). J Agric Food Chem. 2009.
- [5] Monash University.Low FODMAP Shopping List.
- [6] Chey WD, et al. AGA Clinical Practice Update on the Role of Diet in Irritable Bowel Syndrome: Expert Review. Gastroenterology. 2022.
- [7] Monash University.Cooking with onion and garlic: myths and facts.
- [8] Monash University.FODMAP content of broccoli and Broccolini: an update.
- [9] Monash University.The 3 steps of the FODMAP diet.
- [10] Monash University.FODMAP Stacking Explained.
- [11] Halmos EP, et al. A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome. Gastroenterology. 2014.
- [12] Staudacher HM, et al. Fermentable carbohydrate restriction reduces luminal bifidobacteria and gastrointestinal symptoms in patients with irritable bowel syndrome. J Nutr. 2012.
- [13] Monash University.What are polyols?.
医学監修:横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)
更新日 2026-10-16
