2026年10月14日

食べ物が胸のあたりでつかえる。そう感じたとき、まず食道がんを心配される方は少なくありません。見逃したくない病気であることは確かですが、つかえの原因はそれだけではありません。そのひとつが好酸球性食道炎です。この病気は、胃カメラで見た目が正常でも、組織を調べて初めて分かることがあります。食道がんの症状や検査については食道がんの初期症状の記事に譲り、ここでは「がん以外のつかえ」に絞って整理します。
好酸球性食道炎とはどんな病気か
食道の粘膜に、好酸球という白血球の一種が集まってくる病気です。国の指定難病である好酸球性消化管疾患の一つに数えられています[1]。症状として挙げられているのは、飲み込みにくさ、つかえ感、食べ物が食道に引っかかって動かなくなる食物嵌頓(かんとん)、胸焼けなどです[1]。
成人では、食べ物のつかえや飲み込みにくさが、この病気の診断と強く関連するとされています[3]。男性に多く(約3対1)、思春期から増えて若い成人でピークを迎えること、家族に患者がいるとリスクが上がることも報告されています[3]。喘息やアトピーなどアレルギーの病気を併せ持つ人が多い点も特徴です[3]。
胸焼けが主な症状の場合は、胃酸の逆流が原因のことも多いので、まず胸焼けの記事も参考にしてください。ただ、胃食道逆流症や食道がん、アカラジアなど、飲み込みにくさを起こす別の病気とは区別して診断する必要があります[1]。
見た目が正常でも、診断には組織検査が必要
好酸球性食道炎の食道には、縦に走る溝、白い点、輪っか状の収縮といった特徴的な所見が見られることがあります[3]。一方で、組織検査で診断が確定した患者さんの7〜17%は、内視鏡で見た目が正常だったと報告されています[3]。このため英国のガイドラインでは、飲み込みにくさやつかえのある成人は、食道が正常に見えても組織を採るよう強く推奨されています[3]。
診断の流れをまとめると、次のようになります[2]。
好酸球性食道炎が診断されるまで
出典:Dellon ES, et al. Gastroenterology. 2018 [2]/Dhar A, et al. Gut. 2022 [3]
胃カメラは、食道の状態を直接見て、必要なら組織を採ることができる検査です。当院の胃カメラは経鼻・経口を選べ、鎮静剤を使った検査にも対応しています。生検(組織検査)については生検の記事、鎮静については鎮静の胃カメラの記事で説明しています。
治療には、胃酸を抑える薬(PPI)、飲み込むタイプの局所ステロイド、食事療法などがあります[3]。放置して炎症が続くと食道が狭くなることがあり、少なくとも10%で狭窄が起こるとされます[3]。狭くなった場合は内視鏡で広げる治療が行われます[3]。
受診の目安
実は、同じ「つかえ」でも急ぎ方は大きく違います。
赤枠の根拠:Dhar A, et al. Gut. 2022 [3]
食べ物が詰まって動かない状態について、英国のガイドラインは、状況によっては緊急の内視鏡も含めて急いで消化器内科で対応するよう勧めています[3]。唾液も飲み込めないほどであれば、外来の受診を待たずに、救急(119番)や内視鏡のできる病院に連絡してください。
一方、つかえが繰り返す、飲み込みにくさが続くといった場合は、胃カメラで相談する段階です。胃カメラのご案内は胃カメラ検査のページと内視鏡検査のご案内にあります。なお、痛みが中心の症状は、腹痛の原因を部位別に解説したガイドも役に立ちます。
よくある質問
食べ物がつかえるけれど、食道がんでなければ放っておいていい?
おすすめしません。好酸球性食道炎のように、がん以外にも飲み込みにくさを起こす病気があります[1]。食べ物が詰まる経験を繰り返したり、炎症が続いたりすると、食道が狭くなることもあります[3]。原因を調べるために、一度胃カメラで相談してみてください。
胃カメラで異常なしと言われたら、好酸球性食道炎ではない?
そうとは限りません。診断が確定した人の7〜17%は、内視鏡で見た目が正常だったと報告されています[3]。つかえなどの症状が続く成人では、見た目が正常でも組織を調べることが推奨されています[3]。症状が続くときは、その旨を検査の際にお伝えください。
診断の基準になる「好酸球の数」はいくつ?
基準によって数字が異なります。国際的なコンセンサスでは、食道の生検で高倍率1視野あたり15個以上が目安です[2]。国の指定難病の申請書式では20個以上とされています[1]。数字だけで決まるわけではなく、症状とほかの原因の除外も合わせて判断されます[2]。
当院へのアクセス(横浜駅から徒歩3分)
(横浜駅から徒歩3分)
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から300m・徒歩3分(横浜モアーズから徒歩2分)の場所にあります。診療は月曜〜土曜で、日曜・祝日は休診です。横浜駅からの道順はアクセスページで写真つきでご案内しています。胃カメラのご予約・ご相談は胃カメラ検査のページからどうぞ。
参考文献
- 厚生労働省. 指定難病 臨床調査個人票「098-2 好酸球性消化管疾患(小児-成人)」. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001135338.pdf
- Dellon ES, et al. Updated International Consensus Diagnostic Criteria for Eosinophilic Esophagitis: Proceedings of the AGREE Conference. Gastroenterology. 2018. PMID 30009819. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6174113/
- Dhar A, et al. BSG/BSPGHAN joint consensus guidelines on the diagnosis and management of eosinophilic oesophagitis in children and adults. Gut. 2022. PMID 35606089. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9279848/
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医、日本内科学会 認定医)
