ピロリ菌除菌後も胃カメラが必要な理由
ピロリ菌除菌後も胃カメラが必要な理由
「ピロリ菌の除菌に成功しました」と言われると、多くの方が「これでもう胃がんの心配はなくなった」とほっとされるのではないでしょうか。除菌によって胃がんのリスクが下がることは確かですが、除菌が成功した後も、胃カメラによる定期的な経過観察が推奨されています。
これは、除菌によって胃の中のピロリ菌そのものはいなくなっても、感染していた期間に生じた胃粘膜の変化がすぐには元通りにならないためです。「除菌=ゴール」ではなく、「除菌はスタート地点を変える治療」と捉えていただくのが実情に近いといえます。
ピロリ菌の除菌は、胃がんの発生・再発リスクを下げる有効な手段であることが示されています。国立がん研究センターのがん情報サービスでも、胃がんについてはピロリ菌の除菌によって発生リスクが低下すると説明されています[参考文献1]。
除菌が成功したからといって、胃がんのリスクがなくなるわけではありません。除菌後も胃がんになる人は一定数いるため、胃内視鏡検査を受けることが大切とされています[参考文献1]。
日本消化器内視鏡学会のQ・Aでは、ピロリ菌を除菌した後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生があった場合、胃がんになる危険性はゼロにはならないと説明されています[参考文献2]。つまり、除菌によって菌そのものがいなくなっても、感染していた期間に生じた萎縮性胃炎・腸上皮化生といった胃粘膜の変化は、除菌後もすぐには元に戻らないことが、リスクが残る主な理由です。
萎縮性胃炎・腸上皮化生がどのような所見かについては、当院コラム「胃カメラで見つかる萎縮性胃炎とは」で詳しく解説しています。これから除菌治療について知りたい方は「ピロリ菌の除菌方法について」もご参照ください。
なお、除菌治療後には胃酸の分泌が戻ることで、胸やけなどの症状が一時的に起こることがあると案内されています。多くは一時的で重篤化はまれとされていますが、気になる症状が続く場合はご相談ください[参考文献3]。
検査間隔についての一般的な考え方として、日本消化器内視鏡学会のQ・Aでは、ピロリ菌感染歴があり、萎縮性胃炎や腸上皮化生の所見がある場合、除菌後も含めて2〜3年間隔で内視鏡検査を受けるのがよいと考えられていると説明されています[参考文献2]。
除菌後も同じように定期的な内視鏡検査を受けることが勧められます。ご自身の所見に応じた目安は、直近の胃カメラ結果をもとに医師と相談して決めます。
治療した部位とは別の場所に新たに早期胃がんが発生することがあるため、少なくとも年に1回の胃内視鏡検査が勧められています[参考文献2]。
除菌後は一律に年1回というよりも、萎縮性胃炎・腸上皮化生の有無や程度、がん治療歴の有無によって望ましい間隔は変わります。自治体が行う胃がん検診は、除菌後の個別の経過観察とは目的が異なります。横浜市の胃がん検診は現時点で実施されていないため、除菌後のフォローについては、市の検診を待つのではなく医療機関で相談することをおすすめします。
経口・経鼻いずれの胃カメラにも対応しており、鎮静剤を使用した検査も選べます。
検査自体は5〜10分程度です。鎮静剤を使用する場合は、休憩時間も含めて30分〜1時間程度が目安です。
検査終了後は、撮影した画像をもとに院長が直接結果をご説明します。
直近の胃カメラ所見・除菌歴をふまえて、次回いつ受けるかを診察時にご相談のうえ決めていきます。
除菌が成功したのに、なぜまた胃カメラが必要なのですか。
除菌によってピロリ菌そのものはいなくなっても、感染していた期間に生じた萎縮性胃炎や腸上皮化生といった胃粘膜の変化は、除菌後もすぐには元通りになりません。この変化が残っている場合、胃がんになる危険性はゼロにはならないため、定期的な胃カメラでの経過観察が勧められています。
除菌後は、どのくらいの頻度で胃カメラを受ければいいですか。
萎縮性胃炎や腸上皮化生の所見が残っている場合は、2〜3年間隔での内視鏡検査が一つの目安とされています。過去に早期胃がんの治療歴がある方は、少なくとも年に1回が勧められています。適切な間隔は直近の胃カメラ所見をもとに医師とご相談ください。
除菌すれば、萎縮性胃炎や腸上皮化生は元に戻りますか。
除菌によって炎症の進行は抑えられますが、程度によっては変化が残ることがあります。その場合は除菌後も経過観察が必要です。詳しいメカニズムは当院コラム「胃カメラで見つかる萎縮性胃炎とは」でも解説しています。
除菌治療のあとに、体調の変化はありますか。
除菌が成功した後、胃酸の分泌が戻ることで胸やけなどの症状が一時的に出ることがあります。多くは一時的なもので重篤化はまれとされていますが、気になる症状が続く場合はご相談ください。
自治体の胃がん検診と、除菌後のフォローの胃カメラは同じものですか。
目的が異なります。自治体の胃がん検診は症状のない方を対象とした集団検診で、横浜市では現時点で実施されていません。除菌後のフォローは、ご自身の除菌歴・胃の所見をふまえた個別の経過観察であり、医療機関での相談が基本になります。
何年も前に除菌したきり、その後の検査を受けていません。今からでも意味がありますか。
除菌後にどのくらい経過していても、現在の胃の状態を確認すること自体に意味があります。長期間検査を受けていない場合は、まず一度胃カメラで現在の粘膜の状態を確認するところから始めることをおすすめします。

内科・消化器内科を専門とし、これまで10,000件以上の内視鏡検査・治療に携わってきました。ピロリ菌の除菌に成功された方の定期的な胃カメラも、リスクに応じた間隔でご案内しています。
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平
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