2026年10月18日

健診や胃カメラの結果に「食道カンジダ」とあり、「カビ」という言葉に驚いて検索された方も多いと思います。珍しい所見ではなく、慌てる必要はありません。ただ、放っておいてよいかは別の話です。何が起きているのか、治療はどうなるのかを整理します。
食道カンジダとは、どんな状態か
カンジダはカビ(真菌)の一種で、これが食道の粘膜で増えた状態を食道カンジダと呼びます。胃カメラでは、食道の壁に白〜黄色っぽい付着物として見えるのが典型です[3]。
どのくらいの人に見つかるのか。日本の病院で内視鏡を受けた80,219人のうち、1.7%に食道カンジダがありました[1]。ただ、この病院はHIV診療の拠点で、一般の健診とは受診者の層が違います。健康な人が受ける韓国の健診では、88,125人中281人(0.32%)でした[2]。
食道カンジダが見つかりやすくなる要因(報告より)
| 要因 | 報告の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ステロイド(吸入を含む) | 3つの研究で関連が挙がっている | [1][2][3] |
| 抗菌薬 | 韓国の健診受診者で関連 | [2] |
| 年齢が高いこと | 年齢が上がるほど関連 | [1] |
| 免疫が落ちる病気・臓器移植 | HIV感染、臓器移植を受けた経験で関連 | [1][3] |
| 大量飲酒 | 韓国では関連、日本の調査では関連なし | [2]/[1] |
| 胃酸を抑える薬(PPI) | 日本は関連なし、米国は関連あり(結論が分かれる) | [1]/[3] |
出典:Takahashi Y, et al. PLoS One. 2015 [1]/Yonsei Med J. 2013 [2]/Kimchy AV, et al. 2023 [3]。対象や調査方法が異なるため、数字どうしの比較はできません。
どんな人に見つかりやすいのか
上の表のとおり、報告で関連が挙がっているのは、年齢が高いこと、ステロイドの使用、抗菌薬、免疫が落ちる病気や臓器移植を受けた経験などです[1][2][3]。米国の調査では、内服や点滴だけでなく吸入のステロイドも含めて集計したうえで、ステロイドとの関連が示されています[3]。日本の調査では、使う量が多いほど関連が強い傾向でした[1]。
健診で見つかった281人のうち76.2%は、明らかな原因が見当たりませんでした[2]。
胃酸を抑える薬(PPI)との関係は、研究によって結論が分かれています。日本の調査では関連なし[1]、米国の調査では関連あり[3]でした。薬を自己判断でやめるのではなく、気になる場合は胃薬の長期使用の記事も読んだうえで、処方した医師に相談してください。
症状は? 実は半分以上が無症状
韓国の健診では、58.0%が無症状でした[2]。のどのつかえ、飲み込むときの痛み、胸の不快感といった「らしい」症状があったのは11.7%だけで、最も多かった症状は胸やけに近い呑酸(21.7%)です[2]。逆流性食道炎が同時に見つかる人も17.4%いました[2]。症状が軽いまま、検査で初めて分かることが多い所見です。
治療と、その後の経過
海外の感染症学会のガイドラインは、食道カンジダには飲み薬などの全身に作用する抗真菌薬が必要としており、内服を14〜21日(2〜3週間)続けるのが第一選択です[4]。
韓国の健診で見つかった281人のうち、抗真菌薬が処方されたのは約半数でした[2]。症状がなく軽い場合にどうするかは、カンジダの程度、症状、背景にある病気や使っている薬をみて、医師が判断します。見つかったら、結果を持って相談してください。
治療のあとに内視鏡を受け直した83人のうち、20人はカンジダが残っていました[2]。1回の治療で終わらない人もいる、ということです。
似た所見との区別は、内視鏡と生検で
食道の白っぽい変化やつかえ感は、別の病気でも起こります。たとえば好酸球性食道炎や逆流性食道炎です。見た目で迷うときは、組織を採って調べる生検で確かめます。
受診の目安
次のような場合は、胃カメラで相談する段階です。
□ 飲み込むときに痛みがある
□ 体重が減ってきた
□ ステロイド(吸入を含む)を使っている
□ 以前に食道カンジダと言われ、症状が繰り返している
飲み込みにくさや痛みがある、体重が減ってきた、ステロイドを使っている、といった方は早めにご相談ください。胃カメラの流れは初めての胃カメラの記事、眠った状態での検査は鎮静の記事で説明しています。ご案内は胃カメラ検査のページにあり、当日胃カメラの案内もあります。痛みが中心の症状は、腹痛の原因を部位別に解説したガイドも役に立ちます。
10〜12月は胃カメラ・大腸カメラの予約が混みやすく、12月分は11月に埋まり始めます。年末年始の休診は12月29日から1月3日です。年内に受けたい方は、早めに日程をご相談ください。
よくある質問
食道カンジダって、治療しないとだめ?
一律に決まっているわけではありません。海外のガイドラインは飲み薬の抗真菌薬を2〜3週間としていますが[4]、韓国の健診では処方されたのは約半数でした[2]。程度や症状、背景をみて医師が判断します。
胃薬を飲んでいるせいですか?
研究によって結論が分かれています(日本の調査は関連なし[1]、米国の調査は関連あり[3])。原因が見当たらない人も多く、胃薬のせいとは決めつけられません。
治療したあと、また胃カメラは必要?
再検査をした83人のうち20人はカンジダが残っていました[2]。再検査の要否や時期は、症状や最初の程度をみて医師と決めます。
当院へのアクセス(横浜駅から徒歩3分)
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から300m・徒歩3分(横浜モアーズから徒歩2分)の場所にあります。診療は月曜〜土曜で、日曜・祝日は休診です。横浜駅からの道順はアクセスページで写真つきでご案内しています。胃カメラのご予約・ご相談は胃カメラ検査のページからどうぞ。
参考文献
- Takahashi Y, Nagata N, Shimbo T, et al. Long-Term Trends in Esophageal Candidiasis Prevalence and Associated Risk Factors with or without HIV Infection: Lessons from an Endoscopic Study of 80,219 Patients. PLoS One. 2015. PMID: 26208220. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26208220/
- Choi JH, Lee CG, Lim YJ, et al. Prevalence and risk factors of esophageal candidiasis in healthy individuals: a single center experience in Korea. Yonsei Med J. 2013. PMID: 23225813. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23225813/
- Kimchy AV, Ahmad AI, Tully L, et al. Prevalence and clinical risk factors for esophageal candidiasis in non-human immunodeficiency virus patients: A multicenter retrospective case-control study. World J Gastrointest Endosc. 2023. PMID: 37397972. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37397972/
- Pappas PG, et al. Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2016. PMID: 26679628. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26679628/
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医、日本内科学会 認定医)
