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健診で「胃の粘膜下腫瘍」と言われたら|大きさで決まる次の検査と、放っておかないための目安

2026年09月30日

健診で「胃の粘膜下腫瘍」と言われたら|大きさで決まる次の検査と、放っておかないための目安

秋は、健診やがん検診の結果が届く時期です。結果票に「胃の粘膜下腫瘍の疑い」と書かれていると、「腫瘍」の二文字だけで身構えてしまうかもしれません。胃がん検診ではバリウムか胃カメラが使われますが、その画像で偶然見つかることが多い所見です。ただ、粘膜下腫瘍は胃がんとは出どころが違います。胃がんは胃の内側をおおう粘膜から発生しますが、粘膜下腫瘍は粘膜の下から内側へ押し上げている盛り上がりを指します。この記事では、次に何をするのか、放っておいてはいけないのはどんなときかを整理します。

粘膜下腫瘍とは、粘膜の下から押し上げる盛り上がりのこと

胃や腸の内側は粘膜でおおわれ、その下に筋肉の層があります。この粘膜の下にできたものが内側へ盛り上がって見える状態を、まとめて粘膜下腫瘍と呼びます。中身は一つではありません。良性のものと悪性の可能性があるものが混じっていて、腫瘍のほかに、袋状のもの(嚢胞)や、胃の外にある構造が壁を外から押しているだけ、ということもあります。

胃がんと粘膜下腫瘍は、できる場所が違います

胃がん
胃の内側をおおう粘膜から発生する

粘膜下腫瘍
粘膜の下から粘膜を押し上げる盛り上がり。腫瘍のほか、袋状のもの、胃の外から壁を押しているだけのこともある。GISTは筋肉の層から発生する腫瘍で、この中の一つ

悪性腫瘍の一種として知られるのが、GIST(消化管間質腫瘍)です。筋肉の層から発生して粘膜を押し上げるように育ち、胃や小腸に多く、診断される人は人口10万人あたり6人未満という希少ながんです。とはいえ、粘膜下腫瘍と指摘されたことがそのままGISTの診断という意味ではありません。だからこそ、大きさや見た目を確かめる次の検査が必要になります。なお、粘膜から出るポリープについては胃ポリープの記事に、バリウム検査全般の要精密検査はこちらに書いています。

次の一手は「大きさ」と「見た目」で決まる

日本癌治療学会のGIST診療ガイドライン(2022年)では、バリウムや内視鏡で粘膜下腫瘍が疑われたら、まず内視鏡で生検を行い、腫瘍の大きさを測って方針を決める流れが示されています。この生検は、粘膜から出るがんなどを除外するためのものです。大きさごとの目安を図にしました。

粘膜下腫瘍が疑われたときの流れ(大きさ別の目安)

バリウム・胃カメラで粘膜下腫瘍を指摘
↓
内視鏡で生検(粘膜から出るがん等を除外)と、大きさの測定
↓
2cm未満
半球状・輪郭がなめらか・潰瘍やくぼみなし
→ 年1〜2回の経過観察

2cm以上5cm未満、または気になる所見あり
輪郭の不整・潰瘍やくぼみ・増大
→ CT・超音波内視鏡(EUS)・EUS-FNAで精査

5.1cm以上・症状あり
生検でGISTと診断された場合も含む
→ 手術での切除を考慮

出典:日本癌治療学会 GIST診療ガイドライン2022。実際の方針は、大きさ以外の所見も含めて担当医が判断します。

大きさ・見た目 次に行うこと(ガイドラインの目安)
2cm未満・半球状でなめらか・潰瘍やくぼみなし 年1〜2回の経過観察
2cm以上5cm未満、または輪郭の不整・潰瘍やくぼみ・増大あり CT・超音波内視鏡(EUS)・EUS-FNAで精査
5.1cm以上、症状あり、生検でGISTと診断 手術での切除を検討

日本癌治療学会 GIST診療ガイドライン2022をもとに作成。実際の方針は担当医が判断します。

ここで大事なのは、2cm未満なら何もしなくてよいという意味ではなく、「年1〜2回、変化がないかを見ていく」という意味だという点です。2cm以上5cm未満の場合や、2cm未満でも輪郭が不整だったり潰瘍やくぼみがあったりする場合は、CT、超音波内視鏡(EUS)、超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)で詳しく調べます。5.1cm以上、症状がある、生検でGISTと診断された、という場合は、手術での切除を考えます。2〜5cmでGISTなどの悪性腫瘍が強く疑われるときも、手術が勧められています。

正直に書いておくと、胃のGISTで2cm未満のものは、経過観察が良いのか切除が良いのかを推奨できるだけの根拠が、米国消化器病学会のガイドライン(2023年)でも十分ではないとされています。専門家の間でも意見が分かれるところで、だからこそ担当医と相談しながら決める領域です。

普通の生検では分かりにくい理由と、超音波内視鏡

胃カメラで行う通常の生検は、粘膜の表面から組織を取る検査です。粘膜下腫瘍は粘膜の下にあるため、通常の生検では十分な組織が取れにくく、GISTかどうかを組織で診断するのは容易ではありません。そこで、EUS-FNAのように十分な組織が取れる方法が使われることがあります。生検の一般的な流れは胃カメラの生検についての記事をご覧ください。こうした精密検査や手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介しています。

「経過観察」と言われたら、放置とは違います

経過観察は、何もしないこととは別物です。ガイドラインでは、条件を満たす小さなものは年1〜2回の観察とされています。目的は、大きくなっていないか、潰瘍ができていないか、輪郭が乱れてきていないかを見ることです。これらは悪性を疑う所見として挙げられています。「経過観察」を「異常なし」と受け取って、次の予約を取らないまま何年もたってしまうのが、いちばん避けたい形です。検査間隔の考え方は内視鏡の検査間隔の記事も参考にしてください。

早めに受診したいサイン

GISTを含め、早い段階では症状がないことが多くあります。大きくなると、吐き気、腹痛、出血による真っ黒い便(下血)や血便、貧血などが出ることがありますが、どれもGISTに特有の症状ではなく、症状から早期に見つけるのは難しいとされています。

次の予約を待たず、早めに受診したいサイン

  • 黒い便(下血)、血便
  • 貧血を指摘された
  • 腹痛が続く
  • 吐き気が続く

これらはGISTに特有の症状ではありませんが、原因を調べる目的で受診をご検討ください。

経過観察中にこうした症状が出たら、次の予約日を待たずにご相談ください。詳しくは黒い便・血便の記事と貧血と内視鏡の記事に書いています。

当院でできること

当院では、胃カメラで胃の状態を確認します。鎮静剤を使った検査にも対応しています(鎮静剤での内視鏡)。健診・人間ドックで要精密検査と言われた方は、結果票を受診時にお持ちください。精密検査や手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介します。胃カメラの案内は胃カメラ検査のページからご覧いただけます。

よくあるご質問

粘膜下腫瘍って、胃がんのことですか?
別のものです。胃がんは胃の内側をおおう粘膜から発生するのに対し、粘膜下腫瘍は粘膜の下から粘膜を押し上げる盛り上がりを指します。中身は良性のものと悪性の可能性があるものが混在しているため、大きさや見た目を確認する検査が必要です。

胃の粘膜下腫瘍は、放っておいてもいいの?
自己判断で放っておくのはおすすめできません。ガイドラインでは、2cm未満で半球状・輪郭がなめらか・潰瘍やくぼみがないものは年1〜2回の経過観察とされていますが、これは変化を見続けるという意味です。2cm以上や気になる所見がある場合は、CTや超音波内視鏡などで詳しく調べます。

2cm未満なら切らなくていいって本当?
経過観察が示されているのは、2cm未満で形がなめらかなど条件を満たすものです。ただし胃のGISTで2cm未満のものは、経過観察か切除かを決められるだけの根拠が十分でないとされ、専門家でも意見が分かれます。担当医とよく相談してください。

胃カメラの生検で「がんではない」と言われたら、それで終わり?
そうとは限りません。粘膜下腫瘍で行う生検は、粘膜から出るがんなどを除く目的があり、通常の生検では粘膜の下の組織が十分に取れず、GISTかどうかの診断は容易でないとされています。結果の意味は、担当医に確認してください。

当院へのアクセス(横浜駅から徒歩3分)

横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から300m・徒歩3分(横浜モアーズから徒歩2分)の場所にあります。診療は月曜〜土曜で、日曜・祝日は休診です。横浜駅からの道順はアクセスページで写真つきでご案内しています。胃カメラのご予約・ご相談は胃カメラ検査のページからどうぞ。

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参考文献

  1. 【出典A】国立がん研究センター がん情報サービス「GIST(消化管間質腫瘍)」 https://ganjoho.jp/public/cancer/gist/index.html(2026年9月29日確認)
  2. 【出典B】Hirota S, et al. English version of Japanese Clinical Practice Guidelines 2022 for gastrointestinal stromal tumor (GIST) issued by the Japan Society of Clinical Oncology. Int J Clin Oncol. 2024;29(6). PMID 38609732 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11130037/(2026年9月29日確認)
  3. 【出典C】Jacobson BC, et al. ACG Clinical Guideline: Diagnosis and Management of Gastrointestinal Subepithelial Lesions. Am J Gastroenterol. 2023;118(1):46-58. PMID 36602835 https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000002100(2026年9月29日確認)
  4. 【出典D】国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん検診について」 https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/stomach.html(2026年9月29日確認)

監修

横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医、日本内科学会 認定医)

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