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血便が出たら何科?原因と危険なサインを消化器内科医が解説

2025年08月14日

血便は、痔などの良性の病気が原因であることも多い一方、大腸ポリープや大腸がん(大腸癌)、炎症性腸疾患のサインである場合もあります。血の色や便の状態は出血部位を考える手がかりになり、何科を受診すべきか判断する助けになります。

「トイレの水が赤く染まっていた」というとき、多くの方がまず戸惑うと思います。この記事では、血の色からわかる出血部位の目安、考えられる主な病気、受診の目安、何科に相談すればよいか、大腸カメラでわかることを整理します。

受診の際は、血便に気づいた日時、血の色、量、痛みや下痢の有無をメモしておくと、診察で状況を伝えやすくなります。写真を残せる場合は、無理のない範囲で記録しておくのも一つの方法です。

血便とはどのような状態を指しますか?

血便とは、便に血液が混じった状態や、排便のときに血が出る状態全般を指します。色は真っ赤な鮮血から黒っぽいものまでさまざまで、量も個人差があり、少量だから軽い、大量だから重いと単純に言い切れるものではありません。

血便が出たら何科を受診すればよいですか?

血便は、消化器内科(胃腸科)での相談が基本です。肛門からの出血が疑われる場合は肛門科でも構いませんが、大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患など大腸の奥の病気が隠れていることもあるため、大腸カメラに対応できる消化器内科での相談が安心です。どちらに行けばよいか迷う場合は、まず内科・消化器内科に相談してください。

血の色によって出血部位の見当はつきますか?

はい、血の色や便の状態は出血部位を考える一つの手がかりになります。ただし色だけで原因を確定することはできず、あくまで目安です。

便・血の色 出血部位の目安 考えられる主な原因
鮮やかな赤色(鮮血) 肛門・直腸など、肛門に近い部位 痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、直腸の炎症、大腸ポリープ、大腸がんなど
暗い赤色(暗赤色) 大腸のより奥側、大腸全体 大腸憩室出血、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がんなど
黒色便・タール状の便 胃・十二指腸など上部消化管 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎など

鮮血・暗赤色・黒色便(タール便)にはどのような違いがありますか?

一般に、出血してから便として排出されるまでの時間が短いほど赤く、時間が経つほど黒っぽく変化するとされています。肛門に近い場所からの出血は赤いまま排出されやすく、胃や十二指腸など上部消化管からの出血は、腸内を通過する間にタール状の黒い便になることがあります。ただし出血量が多い場合は上部消化管からの出血でも赤みが残ることがあり、色だけで「軽い」「重い」を判断しないことが大切です。

血便の原因として考えられる病気にはどのようなものがありますか?

血便の原因としては、痔核・裂肛のような良性の病気から、大腸ポリープ、大腸がん(大腸癌)、炎症性腸疾患まで幅があります。以下のような病気が代表的です。

  • 痔核・裂肛:いわゆるいぼ痔・切れ痔です。排便時の痛みを伴うこともあれば、痛みが目立たず出血だけで気づくこともあります。
  • 大腸ポリープ・大腸がん:大腸がんは早い段階では自覚症状に乏しいことがあり、進行してから血便、便が細くなる、便通の変化、貧血などで気づかれることがあります。
  • 大腸憩室出血:大腸の壁にできた小さなくぼみ(憩室)から出血する病気です。突然の下血として気づくことがあります。
  • 虚血性腸炎:大腸への血流が一時的に低下して炎症が起こる病気です。突然の腹痛のあとに血便を伴う下痢が続くことがあります。
  • 感染性腸炎:細菌やウイルスによる腸炎で、下痢や腹痛とともに血が混じることがあります。
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病:腸に慢性的な炎症が起こる病気で、血液に加えて粘液が混じる粘血便、下痢、腹痛などを伴うことがあります。

痔だと思っていたら大腸がんだった、ということはありますか?

血が赤いことから痔だと考える方は少なくありませんが、痔と大腸がんの出血を見た目だけで区別することは容易ではありません。肛門に近い直腸にがんができた場合も、鮮やかな赤い血便として出ることがあるためです。もともと痔がある方は「いつもの痔」と思い込みやすく、受診が遅れる要因になり得ます。市販の痔の薬で出血が落ち着いたとしても、原因が確認できたわけではありません。過度に不安になる必要はありませんが、気になる血便が続く場合は医師にご相談ください。

女性の血便で特に気をつけたいことはありますか?

女性の場合、月経による出血と血便を混同しやすいこと、また検査への抵抗感から受診が遅れやすいことに注意が必要です。月経中や月経周辺の時期は、経血が便に付着して血便のように見えることがあります。判断に迷う場合は、生理中であることを伝えたうえで婦人科・消化器内科いずれかに相談してください。なお、大腸カメラなど大腸の検査についての相談は消化器内科が担当となります。

また、「検査中に下半身を見られるのが恥ずかしい」という理由で受診をためらう女性も少なくありません。大腸カメラでは、大腸内視鏡用の半ズボンタイプの検査着を着用して検査を行うため、下半身が露出することはありません。不安な点は予約時や診察時にご相談ください。

すぐに受診したほうがよい危険なサインは何ですか?

出血量が多い場合や貧血を疑う症状を伴う場合は、早めの受診を検討してください。状態によっては救急受診が必要になることもあります。

状態 目安となる受診のタイミング
大量の出血、繰り返す血便 できるだけ早く医療機関を受診してください
黒色便・タール状の便 上部消化管からの出血の可能性があり、早めの受診が望まれます
めまい、ふらつき、動悸、息切れを伴う 貧血が進んでいる可能性があり、早めの受診が望まれます
強い腹痛や発熱を伴う 早めの受診が望まれます。症状が強い場合は救急受診も検討してください
原因のはっきりしない体重減少がある 血便がおさまっていても、消化器内科での相談をおすすめします
少量の出血が1〜2回だけで、他の症状がない 緊急性は高くないことが多いですが、自己判断で放置せず早めの受診をおすすめします

血便の原因を調べるにはどのような検査が必要ですか?

血便の原因を確認する検査としては、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が基本になります。便潜血検査は症状のない方を対象とした検診で使う検査であり、すでに血便という症状がある場合は、その結果を待たずに大腸カメラを検討することが一般的です。健診で便潜血陽性と言われた場合の考え方については、便潜血陽性と大腸カメラについての記事でも解説しています。抗凝固薬・抗血小板薬など血液をさらさらにする薬を服用している方は、検査や処置に関わることがあるため、自己判断で中止せず事前にお伝えください。

大腸カメラでは何がわかり、その場で治療できますか?

大腸カメラでは、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸粘膜を直接観察します。痔核、大腸ポリープ、大腸がん、憩室出血、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などの診断につながることがあります。検査中にポリープが見つかった場合、適応があればその場で日帰り切除に対応します。ポリープのサイズや性状に応じて、内視鏡的粘膜切除術(EMR)とコールドスネアポリペクトミー(CSP)を使い分けていますが、サイズが大きい、数が多いなどの場合は入院での切除をおすすめすることもあり、方針は検査前の診察でご説明します。

大腸カメラについてさらに詳しくは大腸カメラのご案内ページを、便が細い・残便感が続く症状はこちらの記事を、痔の症状のセルフチェックはこちらの記事をご覧ください。

当院ではこう判断します(血便の場合)

ここまでの一般的な目安に加えて、当院で実際に大腸カメラをおすすめする際に大切にしている考え方を紹介します。

  • 血便がある場合、当院では年齢を問わず大腸カメラをおすすめしています。
  • 痔があるとわかっている方でも、その出血が本当に痔核によるものかを見た目だけで断定することはできないため、当院では全例に大腸カメラをおすすめしています。
  • 貧血症状を伴うなど緊急性が高いと考えられる場合は、日程を調整して速やかに検査を行うことも可能です。

実際の判断は診察のうえで、お一人おひとりの状態に応じて行いますので、気になる血便がある場合はご相談ください。

横浜駅前ながしまクリニックでは血便にどのように対応していますか?

横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅きた西口から徒歩約3分にある内科・消化器内科・婦人科のクリニックです。血便や下血、強い腹痛、急な貧血など、緊急性が疑われる内視鏡検査のご相談は毎日対応しており、当日の大腸カメラも毎日実施しています(院内で下剤を内服する方法は水曜・金曜限定ですが、自宅で内服する方法であれば当日検査にも対応可能です)。ご希望に応じて鎮静剤を使用した検査に対応しており、見つかったポリープは適応があればその場で日帰り切除を行います。検査時は大腸内視鏡用の半ズボンタイプの検査着を着用するため、下半身が露出することはありません。院長は日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本肝臓学会認定 肝臓専門医です。手術や入院が必要な場合は連携する医療機関をご紹介しています。

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よくある質問

血便と下血はどう違いますか?

一般に血便は便に血が混じった状態全般を指し、下血は主に上部消化管からの出血で黒っぽい便が出る状態を指すことがあります。呼び方より、色や量、続く期間を医師に伝えることが大切です。

紙に少し血がつく程度でも受診したほうがいいですか?

量が少なくても、大腸ポリープや大腸がんなどが隠れていないとは言い切れません。初めての血便や繰り返す血便、便通の変化を伴う場合は、量にかかわらず消化器内科での相談をおすすめします。

何日くらいなら様子を見てもよいですか?

明確な日数の基準はありませんが、血便が2〜3日以上続く、または繰り返す場合は受診を検討してください。強い腹痛や貧血症状を伴う場合は、様子を見ずに早めの受診をおすすめします。

市販の痔の薬で出血が止まったら、もう受診しなくてよいですか?

市販薬で症状が落ち着いても、出血の原因が痔だけと確認できたわけではありません。一度でも血便があった場合は、原因を確認しておくと安心です。

生理中なのか血便なのか自分では判断がつきません。どうすればよいですか?

経血と便からの出血は見分けが難しいことがあります。判断に迷う場合は、生理の時期や量とあわせて婦人科または消化器内科にご相談ください。

大腸カメラはつらい検査というイメージがありますが、対応してもらえますか?

当院では、ご希望に応じて鎮静剤を使用した大腸カメラに対応しています。負担を感じにくくなる方が多いですが、感じ方には個人差があります。不安な点は予約時や診察時にご相談ください。

検査当日はどのくらいの時間がかかりますか?

下剤の内服や検査後の休憩を含め、半日程度を見込んでいただくことが多いです。鎮静剤を使用した場合はリカバリールームでの休憩が加わり、当日の自動車・バイク・自転車の運転はできません。

何歳くらいから大腸がんの可能性を考えたほうがよいですか?

大腸がんは年齢を問わず起こり得る病気で、年齢が上がるほど頻度が高まるとされています。若い方でも血便があれば、年齢にかかわらず消化器内科での相談を検討してください。

検査結果はいつ、どのように教えてもらえますか?

当院では、検査結果は電話や郵送ではなく、後日ご来院いただいた際に医師から対面でご説明しています。ポリープ切除後の病理検査結果も、来院時にお伝えします。

監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)

参考文献
[1] 国立がん研究センター がん情報サービス. 大腸がん(結腸がん・直腸がん). https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
[2] 厚生労働省. がん検診. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html
[3] 日本消化器病学会. https://www.jsge.or.jp/

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