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クローン病とは?症状・原因・検査をわかりやすく解説

2026年07月29日

クローン病とは?症状・原因・検査をわかりやすく解説

「もう1ヶ月以上、お腹の痛みと下痢が続いている」「学校や仕事を休みがちだけど、たかがお腹の調子と思って我慢している」――20代前後の方から、そんな相談を受けることがあります。慢性的な下痢や腹痛はストレスや食生活の乱れによることも多いですが、なかにはクローン病のような炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)が背景にあるケースも含まれます。ここでは、クローン病がどのような病気か、どんな症状に注意したいか、当院でどのように向き合っていけるかを整理します。

腸を優しく守るイメージのイラスト

クローン病とは―原因不明の炎症性腸疾患

クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起こりうる病気で、特に小腸と大腸に炎症が生じやすいとされています [1][3]。厚生労働省の指定難病(指定難病96)のひとつで、難病情報センターによると患者数は44,245人(令和元年度)とされています [1]。原因ははっきりとわかっておらず、遺伝的な要因や腸内細菌、環境要因などが複雑に関わり、体の免疫反応に異常が起こることで発症すると考えられています [1][3]。

日本消化器病学会の解説でも「若い人に発症することが多い」とされており [3]、10代後半から20代で診断されることが少なくありません。進学や就職といった生活の変化と重なりやすい時期でもあり、「忙しいから」「ストレスのせいだろう」と自己判断で見過ごされがちな病気のひとつです。

主な症状―こんなサインに注意したい

クローン病でよくみられる症状として、次のようなものが挙げられます [1][3]。

  • 腹痛(右下腹部に出やすいといわれます)
  • 繰り返す下痢
  • 血便・粘血便
  • 体重減少
  • 発熱・倦怠感
  • 肛門周囲の痔ろう(膿が出る穴を伴う痔)

これらの症状がすべて同時にそろうわけではなく、腹痛と下痢だけが目立つ方もいれば、体重減少や発熱のほうが先に気づかれる方もいます。日本消化器病学会のガイドでも、クローン病の患者さんは肛門周辺に痔ろうを合併し、膿がたまって痛みが出たり膿が出てきたりすることがあると説明されています [3]。「切れ痔だと思って様子を見ていた」という肛門のトラブルの裏に、クローン病が隠れていることもあるため、繰り返す症状は見逃さないようにしたいポイントです。

潰瘍性大腸炎との違い

クローン病と同じ炎症性腸疾患(IBD)の代表として、当院のコラムでも取り上げている潰瘍性大腸炎があります。どちらも原因がはっきりとしない慢性の腸の炎症性疾患ですが、炎症が起こる場所や性質には違いがあります [1][2][3]。

項目 クローン病 潰瘍性大腸炎
炎症の起こる場所 口から肛門まで消化管のどこにでも起こりうる(特に小腸・大腸) 大腸(主に直腸)に限られ、直腸から連続的に広がる
炎症の性質 腸壁の深い層まで及ぶ炎症で、狭窄・瘻孔・膿瘍を伴うことがある 粘膜・粘膜下層にとどまる炎症が中心
中心となる症状 腹痛・下痢・体重減少・発熱、肛門部の痔ろうなど 血便・粘血便、下痢が中心
発症しやすい年代 若い世代に多いとされます 30歳以下の成人に多いとされますが、幅広い年代でみられます

あくまで一般的な傾向であり、実際には症状の出方に個人差があります。初期の段階では両者の鑑別が難しいケースもあり、経過をみながら診断していくこともあります [2]。

放置するリスクと早期受診の意義

クローン病は、症状が落ち着く寛解期と悪化する活動期を繰り返すことが多い病気です [3]。診断や治療が遅れると、腸の狭窄や瘻孔、膿瘍といった合併症が進んだ状態で見つかることもあり、その場合は入院治療や手術が必要になることもあります [3]。一方で、早い段階で気づいて治療につながれば、生活への影響を抑えながら経過をみていける可能性が高まります。

日本消化器病学会のガイドでは、近年の治療薬の開発によって、これまでコントロールが難しかった患者さんでも症状を管理できるようになってきたと説明されています [3]。学業や仕事を続けながら通院している方も多く、寛解を維持しながら日常生活を送れる方は少なくないとされています [3]。ただし経過や治療方針には個人差があり、必要な治療は病状によって異なるため、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。

検査について―大腸カメラから始まる「気づく入口」

クローン病かどうかを確定するには、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)に加え、必要に応じて小腸の内視鏡検査、血液検査、CT・MRIなどの画像検査を組み合わせた専門的な評価が必要です [3]。当院の大腸カメラ検査では、血便や腹痛といった症状があるときの原因検索のひとつとして、潰瘍性大腸炎やクローン病、痔核、憩室出血、虚血性腸炎などの可能性を確認することができます。

当院で行っているのは、まず内視鏡検査で炎症の有無や範囲を確認し、クローン病が疑われる場合には、より専門的な精密検査や治療を行っている医療機関と連携してご案内するという「気づく入口」としての役割です。診断の確定やクローン病そのものの専門治療は、消化器内視鏡専門医や大学病院・専門施設と連携しながら進めていきます。

当院での対応・ご案内

「学生の頃からずっとお腹の調子がよくない」「血便が続いているけれど痔だと思って様子を見ていた」という場合も、まずは一度大腸カメラで腸の状態を確認してみることをおすすめします。当院の緊急血便外来(当日相談・消化器内科)では、血便がある方の当日相談にも対応しており、必要に応じて血液検査や内視鏡検査をご案内しています。また、意図せず体重が減ってきた場合は、ダイエットしていないのに体重が減る――考えられる原因と受診の目安のコラムもあわせてご参照ください。

よくある質問

Q. クローン病は遺伝しますか?
A. 遺伝的な要因が発症に関わっている可能性は指摘されていますが [1][3]、それだけで発症が決まるわけではなく、環境要因や腸内細菌なども複雑に関係していると考えられています。家族にクローン病の方がいるからといって発症するとは限りません。気になる場合は消化器内科にご相談ください。

Q. 症状が軽ければ様子を見ても大丈夫ですか?
A. 腹痛や下痢が数日で改善する場合は他の原因であることも多いですが、1ヶ月以上続く・繰り返す・体重減少や血便を伴うといった場合は、自己判断で様子を見続けず、一度検査を受けることをおすすめします。早い段階で状態を確認しておくことが、その後の見通しにつながりやすいとされています [3]。

Q. 診断されたら普通の生活は難しいって本当?
A. 症状が落ち着いている寛解期には、日常生活や仕事・学業に大きな制限がないことも多いとされています [3]。ただし薬の飲み忘れや自己判断での中断は再燃のきっかけになることがあるため、通院を続けながら体調に応じて過ごし方を調整していくことが大切です。なお、クローン病では喫煙が症状悪化のリスクを高めるとされ、禁煙が勧められています [3]。

監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(消化器内科)

参考文献
[1] 難病情報センター. クローン病(指定難病96). https://www.nanbyou.or.jp/entry/219
[2] 難病情報センター. 潰瘍性大腸炎(指定難病97). https://www.nanbyou.or.jp/entry/218
[3] 日本消化器病学会(編)、日本消化管学会・日本大腸肛門病学会(協力). 患者さんとご家族のための炎症性腸疾患(IBD)ガイド2023. 2023年. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/ibd_2023.pdf

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