ノロウイルス、家庭内でうつさないために――嘔吐後の片づけと受診の目安|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

〒221-0835神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-11-8 4階

045-534-8147

Instagram 予約はこちらから LINE

ノロウイルス、家庭内でうつさないために――嘔吐後の片づけと受診の目安

2026年09月14日

ノロウイルス、家庭内でうつさないために――嘔吐後の片づけと受診の目安

冬本番を迎える前の、まだ余裕のある今のうちに知っておきたいのが、ノロウイルスをはじめとするウイルス性の胃腸炎です。厚生労働省のQ&Aでは、ノロウイルスによる急性胃腸炎は毎年11月ごろから2月の間に流行するとされ、食中毒としての発生件数も11月ごろから増えはじめ、12月から翌1月にピークを迎える傾向があるとされています。胃腸炎そのものはこちらで総論的にまとめていますので、今回は「家庭内で誰かが感染したとき、次に何をするか」に絞ってお話しします。

潜伏期間と症状の経過

感染してから発症までの潜伏期間は24〜48時間とされています。主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度にとどまることが多いようです。通常は1〜2日で治まり、後遺症も残らないとされています。感染しても症状が出ない場合や、軽い風邪程度で済む場合もあり、気づかないまま周囲にうつしてしまうこともあるようです。

家で誰かが吐いたら、まず何をするか

家庭内で誰かが嘔吐した場面では、何から手をつければよいか迷うものです。厚生労働省と横浜市の案内をもとに、片づけの手順を整理すると次のようになります。

図1: 家族が吐いたときの片づけ手順
  1. まず窓を開けるなどして換気する
  2. 使い捨ての手袋・マスク・エプロン(ガウン)を着ける
  3. ペーパータオルなどで、ウイルスが飛び散らないように静かに拭き取る
  4. 塩素系漂白剤を薄めた液で拭く
  5. そのあとに水拭きをする
  6. 使ったペーパータオル等はビニール袋に密閉して捨てる
  7. 最後に石けんと流水で手を洗う

出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」/横浜市「感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)」

処理の最中も、終わったあとも、十分に換気を続けてください。

手洗いと消毒の基本

手洗いは、石けん自体がウイルスを直接失活化するわけではないものの、汚れを落とすことでウイルスが剥がれやすくなるとされ、石けんと流水でのこまめな手洗いが基本です。消毒用エタノールは、すぐに手を洗えない場面の補助にはなりますが、石けんと流水による手洗いの代用にはならないとされています。

嘔吐物やふん便で汚れた床、廃棄物の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを薄めた液を使います。厚生労働省のQ&Aでは床の拭き取りに塩素濃度約200ppm、廃棄袋に入れる際は約1,000ppmが望ましいとされ、横浜市の施設向けの案内では、嘔吐物の処理に0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを用いるとされています。濃度と薄め方は、お使いの塩素系漂白剤の製品表示とお住まいの自治体の案内に従ってください。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させ、生地を漂白する性質があるため、消毒後は薬剤をしっかり拭き取り、「使用上の注意」も確認しておくと安心です。

表:場面別の消毒・加熱の目安
場面 案内されている方法 出典
手指 石けんと流水で洗う。消毒用エタノールは手洗いの代用にはならない 厚生労働省
汚れた床の拭き取り後 次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように拭き、その後に水拭き 厚生労働省
使用済みペーパータオル・おむつ ビニール袋に密閉。廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(約1,000ppm)を入れることが望ましい 厚生労働省
嘔吐物の処理(横浜市の施設向け案内) 0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを用い、消毒薬を浸したペーパータオルなどで周囲を消毒する 横浜市
リネン・衣類 下洗いのあと、85℃・1分間以上の熱水洗濯 厚生労働省
加熱が必要な食品(二枚貝など) 中心部が85〜90℃で90秒以上 厚生労働省・横浜市

濃度や薄め方の表記は案内元によって異なります。実際に使うときは、製品表示とお住まいの自治体の案内をご確認ください。

リネン・共有物、そして症状が治まったあとも続く排出期間

意外と知られていないのが、症状が治まったあとの話です。横浜市の案内では、症状が治まったあとも1週間から1か月程度、便と一緒にウイルスが排出されるとされています。感染している方とは食器やタオルの共用を避け、お風呂のお湯は毎日入れ替え、浴槽や洗い場の床、洗面器、椅子なども清潔に保ってください。

リネン類は下洗いのあと85℃・1分間以上の熱水洗濯が望ましいとされ、すぐ洗えない布団などはよく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的なようです。二枚貝など加熱が必要な食品は、中心部が85〜90℃で90秒以上になるよう加熱してください。

こんなときは早めに受診を

ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、通常は対症療法で経過をみます。水分と栄養をこまめに補うのが基本で、脱水がひどい場合は輸液などの治療が必要になることもあります。いわゆる下痢止め薬は、かえって回復を遅らせることがあるとされ、使用しないほうが望ましいとされています。

こんなときは早めに受診を
  • 水分がとれない
  • 尿がほとんど出ていない
  • ぐったりしている
  • 高齢者や乳幼児で症状が強い
  • 血便が出る
  • 下痢や腹痛が2週間以上続く

脱水への注意は厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」をもとにしています。そのほかの項目は一般的な受診の目安です。

とくに高齢の方や乳幼児は脱水が進みやすいため、様子を見すぎずに早めに医療機関へ相談してください。水分がとれない、ぐったりしているといった状態のときは、発熱外来など、症状に応じた窓口をご利用ください。

職場や保育所・学校への確認

「症状が落ち着いたら、いつから仕事や登園・登校を再開してよいか」というご質問もよくいただきます。学校や保育所、職場によって規定が異なるため、それぞれの指示に従ってください。とくに調理や食品を扱う仕事の方は、症状が治まったあとも便の中にウイルスが排出されるため、事業所の指示をあらためて確認しておきましょう。

経過が「いつもと違う」と感じたとき

ノロウイルスによる胃腸炎は、通常1〜2日で症状が落ち着くとされています。ここから外れる経過、たとえば下痢や腹痛が2週間以上続く、血便が出る、体重が減ってきている、同じような症状を繰り返す、といった場合は、感染性胃腸炎とは別の病気が隠れていることがあります。クローン病のような炎症性腸疾患や虚血性腸炎、大腸ポリープ・大腸がんなどが考えられ、下痢が続く場合の原因としても挙げられます。体重の減少血便が気になる方は、それぞれの記事もご覧ください。経過が典型的なパターンから外れているときは、大腸カメラで大腸の中を直接確認しておくと安心材料になります。

当院での検査対応

当院は横浜駅から徒歩3分の場所にあり、内視鏡検査として胃カメラ・大腸カメラのいずれにも対応しています。胃カメラは経鼻・経口の両方に対応し、大腸カメラとあわせて鎮静剤を使った検査も可能です。ポリープが見つかった場合、適応があればその場で日帰り切除に対応しますが、サイズや数、形によっては入院での切除をおすすめすることもあります。当日の胃カメラ・大腸カメラにも対応していますが、大腸カメラは事前の下剤準備が必要なため、ご希望の際は一度ご相談ください。鎮静剤を使用した日は、お車やバイク、自転車の運転はできませんのでご了承ください。

覚えておきたいこと
  • 潜伏期間は24〜48時間、症状は通常1〜2日で治まる
  • 症状が治まっても1週間〜1か月は便にウイルスが残ることがある
  • 消毒用エタノールは石けんと流水での手洗いの代用にはならない
  • 下痢止め薬は使用しないほうが望ましいとされている
  • 経過が典型から外れたときは、別の原因も考えて検査を

出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」/横浜市「感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)」(最後の項目を除く)

よくある質問

ノロウイルスは、症状が治まればもう人にうつりませんか。
横浜市の案内では、症状が治まったあとも1週間から1か月程度、便と一緒にウイルスが排出されるとされています。トイレのあとの手洗いを続け、食器やタオルの共用を避けてください。仕事や登園・登校の再開は、職場や学校・保育所の指示に従ってください。

嘔吐物で汚れた床は、どうやって消毒すればいいですか。
使い捨ての手袋・マスク・エプロンを着け、ペーパータオルなどで静かに拭き取ったあと、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を薄めた液で拭き、その後に水拭きをします。厚生労働省のQ&Aでは床の拭き取りに塩素濃度約200ppmが示されています。濃度と薄め方は、製品表示とお住まいの自治体の案内に従ってください。

ノロウイルスで下痢が続くとき、下痢止め薬を飲んでもいいですか。
厚生労働省のQ&Aでは、いわゆる下痢止め薬は回復を遅らせることがあるため、使用しないほうが望ましいとされています。水分と栄養をこまめに補うのが基本です。水分がとれない、ぐったりしている、下痢や腹痛が2週間以上続く、血便が出るといった場合は、早めに医療機関へ相談してください。


監修

横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科認定医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医)

参考文献

  1. 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
  2. 横浜市「感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)」

関連記事(当院ブログ)

TOP