2026年07月26日
「吐き気がずっと続いている」「なんとなくムカムカする日が何日も続く」――そうしたご相談で来院される方は少なくありません。一時的な胃の疲れであることも多い一方、吐き気・嘔吐の裏には消化器の病気だけでなく、めまいや頭痛、ストレスなどさまざまな要因が隠れていることがあります。この記事では、続く吐き気・嘔吐で考えられる主な原因と、すぐに受診を検討したほうがよいサイン、検査で確認できることについて整理しました。

続く吐き気・嘔吐、考えられる主な原因
吐き気・嘔吐の原因は一つとは限らず、消化器の病気だけでなく、消化器以外の要因が関わっていることもあります。以下は代表的な原因の例ですが、実際にどれに当てはまるかは検査をしてみないとわからないこともあります。
| 分類 | 原因の例 | 特徴・関連しやすい症状 |
|---|---|---|
| 消化器系 | 急性胃炎 | 暴飲暴食、ストレス、薬剤(解熱鎮痛薬など)がきっかけになることがあります。一時的な胃痛・吐き気を伴うことが多いとされています |
| 消化器系 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | ピロリ菌感染や薬剤が関与することがあります。みぞおちの痛みとともに吐き気が生じることがあります |
| 消化器系 | 逆流性食道炎(GERD) | 胃酸が食道へ逆流することで胸やけ・呑酸などが生じる病気で、吐き気を伴う方もいます [2] |
| 消化器系 | 機能性ディスペプシア(FD) | 胃カメラなどで調べても明らかな異常が見つからないのに、慢性的な胃もたれや心窩部痛が続く状態です [3] |
| 消化器系 | アニサキス症 | 生の魚介類を食べた後に急な胃の激痛・嘔吐が起こることがあります。詳しくはアニサキス症についての記事で解説しています |
| 消化器系 | 胃がんなど | 早期には自覚症状が乏しいことが多いとされますが、胃の痛み・不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振などが出ることがあります [1]。詳しくは胃がんの初期症状についての記事もご覧ください |
| その他 | 感染性胃腸炎(ウイルス性・細菌性) | 下痢や発熱を伴うことが多く、周囲で同様の症状が流行していることもあります |
| その他 | めまい(乗り物酔い、良性発作性頭位めまい症など) | めまいに伴って吐き気が生じることがあります |
| その他 | 片頭痛 | 頭痛の悪化とともに吐き気を伴うことがあります |
| その他 | 妊娠(つわり) | 妊娠初期に吐き気・嘔吐が続くことがあります |
| その他 | ストレス・自律神経の乱れ、薬の副作用など | 精神的な負担や服用中のお薬が関係していることもあります |
このように吐き気・嘔吐の原因は幅広く、症状だけで判断することは難しい面があります。続く場合は自己判断で様子を見続けるより、一度医療機関に相談しておくほうが安心につながることがあります。
危険なサイン――このような場合はすぐに受診を
吐き気・嘔吐の多くは経過をみてよい場合もありますが、なかには早めの受診が必要なサインもあります。次のような症状がある場合は、様子を見ずに医療機関の受診、場合によっては救急受診を検討してください。
- 吐いたものに血が混じる、コーヒーの残りかすのような黒っぽいものが混じる [4]
- 黒い便(タール状の便)が出る [1][4]
- 我慢できないほどの激しい腹痛を伴う
- 立ちくらみ、目の前が暗くなる、冷や汗、顔色が悪いなど、出血性ショックを疑わせる症状がある [4]
- 水分がまったく摂れない、尿の量が減っているなど脱水が疑われる
- 高熱を伴う嘔吐が続く
吐血やコーヒー残渣様の嘔吐、黒色便は消化管からの出血を示すサインとされ、大量出血の場合は数時間から数日のうちに血圧低下やショック状態へ進むこともあるとされています [4]。当てはまる症状がある方は、時間をおかず医療機関にご連絡ください。
検査(胃カメラ)で確認する意義
吐き気・嘔吐が続く場合、症状だけで原因を特定することは難しく、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で胃や食道の粘膜を直接観察することで、炎症・潰瘍・アニサキス・腫瘍性の病変の有無などを確認できます。日本消化器病学会のガイドでも、嘔吐を繰り返す場合や体重減少、発熱を伴う場合、治療をしても症状が改善しない場合などには、胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの病気を除外する目的で胃カメラ検査を行うことがあるとされています [3]。
当院では、血を吐いた・黒い便が出た・強い腹痛や急な貧血を伴うなど、緊急性が高いと判断される内視鏡検査については毎日対応できる体制を整えています。また、ご希望があれば胃カメラの当日検査にも対応していますので、症状が急に強くなった場合はお早めにお電話でご相談ください。
当院の対応
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から徒歩3分の立地で、経口・経鼻いずれの胃カメラ検査にも対応しています。嘔吐反射やえずきがつらい方には、うとうと眠ったような状態で受けていただける鎮静剤を使った内視鏡検査という選択肢もあります。検査の流れや当日の注意点は内視鏡検査のご案内ページをご覧ください。「続く吐き気が気になるけれど、どのタイミングで受診すればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
吐き気が2〜3日続いています。様子を見てもいいですか?
症状の感じ方には個人差がありますが、吐き気が数日以上続く場合や、食事・水分がとりにくい状態が続く場合は、自己判断で様子を見続けるより医療機関にご相談いただくことをおすすめします。血が混じる、黒い便が出る、激しい腹痛を伴うなどのサインがあれば、早めの受診をご検討ください。
吐き気とあわせて激しい腹痛や血が混じる嘔吐がある場合はどうすればいいですか?
消化管からの出血などが疑われるサインです [4]。様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。当院では緊急性が高いと判断される内視鏡検査に毎日対応できる体制を整えていますので、症状が強い場合は事前にお電話でご相談いただくとスムーズです。
吐き気があるときでも胃カメラは受けられますか?
症状や体調によって検査を受けられるタイミングは異なりますので、まずは診察でご相談ください。嘔吐反射が心配な方には、鎮静剤を使った検査や経鼻内視鏡など、負担を軽減できる方法もご案内しています。詳しくは鎮静剤を使った内視鏡検査についての記事もあわせてご覧ください。
監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)
参考文献
[1] 国立がん研究センター がん情報サービス. 胃がん 症状. 更新日 2026年01月13日.
[2] 日本消化器病学会(協力学会:日本消化管学会・日本食道学会). 患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023. 2023年.
[3] 日本消化器病学会(協力学会:日本消化管学会・日本神経消化器病学会). 患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023. 2023年.
[4] 日本臨床外科学会. 市民のみなさまへ「吐血・下血」. 2019年6月3日更新(日本赤十字社医療センター大腸肛門外科).
