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食欲がわかない・食欲不振が続く――考えられる原因と受診の目安

2026年07月28日

食欲がわかない・食欲不振が続く――考えられる原因と受診の目安

「最近、食欲がわかない」「ごはんを見ても、あまり食べたい気持ちにならない」――疲れやストレスが重なったときに、一時的に食が細くなることは誰にでもあります。ただ、これといった心当たりがないのに食欲がない状態が数日〜数週間と続くと、「このまま様子を見ていいのか」「何科に行けばいいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、食欲不振の背景として考えられる原因の分類、注意しておきたいサイン、そして当院でご案内できる検査の流れについてお伝えします。

手つかずの食事と優しい光のイラスト

食欲不振の主な原因を分類で見てみましょう

食欲不振の原因は一つに絞れるものではなく、消化器の病気だけでなく、全身性・内分泌系の病気やこころの状態が関わっていることもあります。国立がん研究センターの解説でも、食欲不振は「原因は一つに限らず、いくつかが重なっていることもあります」とされています [1]。大まかな分類を表にまとめました。

分類 考えられる主な原因(例)
消化器系 胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア(胃もたれ・早期満腹感)、胃がん・大腸がんなど消化管の病気、肝臓・膵臓の慢性的な病気 など
全身性・内分泌系 発熱を伴う感染症、糖尿病など代謝の変化、副腎皮質機能低下症(アジソン病)などホルモンの病気、貧血、がんやがん治療に伴う影響 など
こころ・生活系 うつ状態や強いストレス・不安、加齢に伴う食事量の低下、生活リズムの乱れ・睡眠不足、環境の変化(引っ越し・多忙など) など

消化器系の原因としては、胃の粘膜の炎症や潰瘍のほか、検査で異常が見つからないのに胃もたれや早期満腹感(食べ始めてすぐお腹がいっぱいになる感覚)が続く「機能性ディスペプシア」も少なくありません。日本消化器病学会のガイドでは、胃が食事のときにうまく広がらない状態(胃適応性弛緩の障害)が「早期飽満感(通常の食事量が食べきれずに、すぐにお腹がいっぱいになること)と関連している」と説明されています [4]。「量を食べられなくなった」という形で食欲不振に近い状態を感じる方もいます。

全身性・内分泌系では、副腎皮質機能低下症(アジソン病)のように、初期には食欲不振や倦怠感といったあいまいな症状から始まる病気もあります。難病情報センターの解説では、症状として「食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状、精神症状(無気力、不安、うつ)など様々な症状を訴える」とされています [3]。頻度の高い病気ではありませんが、他の症状(強い倦怠感、体重減少、立ちくらみなど)を伴う食欲不振が続く場合は、こうした可能性も含めて調べておくと安心につながります。

こころ・生活面の要因も見逃せません。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、うつ病について「食欲がでない(食欲低下)・眠れない/起きられない(不眠/過眠)・体がだるい(倦怠感)」といった体の症状が現れる病気であり、「体の症状が目立つため、こころの症状に気づきにくいことがある」と説明されています [2]。「気分の落ち込みは自覚していないけれど、なぜか食べる気になれない」という場合、体の症状の背景にこころの状態が関わっていることもあります。

続く期間・体重減少を伴う場合は、一度立ち止まってみましょう

数日程度で食欲が戻る一時的な食欲不振は、多くの場合、大きな心配はいらないとされています。一方で、これといった理由が見当たらないまま食欲不振が数週間以上続く場合や、食べる量を意識して変えていないのに体重が減ってきた場合は、体のどこかで変化が起きているサインであることがあります。体重減少については、当院の別記事「ダイエットしていないのに体重が減る――考えられる原因と受診の目安」でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。食欲不振と体重減少が同時に見られる場合は、どちらか一方だけを見るよりも、両方をあわせて経過を確認したほうが原因を絞り込みやすくなります。

危険なサイン――このような場合は早めに相談を

次のようなサインを伴う食欲不振は、期間の目安を待たずに一度相談したほうがよい場合があります。当てはまる項目があっても、それだけで重い病気と決まるわけではありません。症状の感じ方には個人差があります。

  • 黒い便やねばりのある便、血便が出ている
  • 吐き気・嘔吐が繰り返し起こり、水分もとりにくい
  • 食べ物が喉や胸のあたりでつかえる感じがある
  • とくに理由がないのに体重が減ってきている
  • 強い腹痛、38度以上の発熱、体や白目が黄色くなる(黄疸)がある
  • 立ちくらみ・動悸など貧血のような症状がある

国立がん研究センターの解説でも、胃がんについて「食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります」と述べられています [5]。食欲不振があるからといって、それだけですぐにがんと決まるわけではありませんが、こうしたサインを伴う場合は、消化器の検査で状態を確認しておくと安心につながります。吐き気を伴う場合は、当院の吐き気・嘔吐が続くときのコラムもあわせてご覧ください。なお、血便・下血や強い腹痛、急な貧血などがある場合、当院では緊急の内視鏡検査に毎日対応していますので、症状が急なときはお電話でご相談ください。

検査の流れ――採血と胃カメラで確認できること

食欲不振の原因を調べる際は、まず問診・診察で経過や随伴症状を確認したうえで、血液検査(血算、肝機能・腎機能などの生化学検査、血糖、必要に応じて甲状腺の検査など)を行い、全身性・内分泌系の要因がないかを確認するのが一般的な進め方です。そのうえで、消化器の病気が疑われる場合には胃カメラで胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、炎症・潰瘍・腫瘍性の変化などがないかを確認します。検査の順番や内容は症状や採血結果によって前後することがあり、実際にどの検査が必要かは診察のうえで個別にご相談します。

当院でできること

横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅きた西口から徒歩3分の内科・消化器内科・婦人科併設のクリニックです。食欲不振のご相談では、採血に加えて、経口・経鼻いずれかを選べる胃カメラ、鎮静剤を使用した検査にも対応しており、検査に不安のある方にも配慮しています。血便・下血、強い腹痛、急な貧血など緊急性の高い症状がある場合の内視鏡検査は毎日対応していますので、「様子を見ていいのか分からない」という段階でも、まずはお電話でご相談ください。詳しい検査内容や当日の流れは内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)のご案内のページもご参照ください。

よくある質問

Q. 食欲不振が2〜3日でおさまりました。それでも受診したほうがいいですか。
A. 数日程度で食欲が戻り、他に気になる症状もない場合は、経過を見ても大きな問題にならないことが多いとされています。ただし、再び食欲不振が繰り返す場合や、他の症状が新たに出てきた場合は、その時点で相談を検討してください。

Q. ストレスが原因だとは思うのですが、念のため検査を受けたほうがいいですか。
A. ストレスや生活リズムの乱れが関わっていることは実際に多くありますが、体の病気が隠れていないかを確認しておくことで、より安心して過ごせるようになります。とくに食欲不振が長引く場合や体重減少を伴う場合は、一度採血などの基本的な検査を受けておくことをおすすめします。

Q. 食欲はふつうにあるのに、体重だけ減ってきている場合はどうですか。
A. 食欲不振を伴わない体重減少もあり、原因の考え方が少し異なります。詳しくは当院の「ダイエットしていないのに体重が減る」のコラムをご参照のうえ、気になる場合はご相談ください。

食欲不振の原因は一つとは限らず、消化器系・全身性/内分泌系・こころや生活の要因が組み合わさっていることも少なくありません。原因がはっきりすることで、安心して次の対応を考えられるようになります。「食欲がないだけで受診していいのか」と迷う段階でも、一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)

参考文献
[1] 国立がん研究センター がん情報サービス. 食欲がない・食欲不振. https://ganjoho.jp/public/support/condition/anorexia/index.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット. 体の不調はうつ病でも現れます かかりつけ医へ相談してみましょう. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-04.html
[3] 難病情報センター. アジソン病(指定難病83). https://www.nanbyou.or.jp/entry/206
[4] 日本消化器病学会. 患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/fd_2023.pdf
[5] 国立がん研究センター がん情報サービス. 胃がんについて. https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/about.html

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