2026年07月24日
健康診断で「血糖値が高い」「HbA1cが高め」と言われても、体調は普段と変わらない——。30〜60代の方にとって、糖尿病はこうして”静かに”始まることが少なくありません。糖尿病は初期に症状がほとんど出ない場合が多い一方、高血糖が続くと血管が傷み、心臓・脳・目・腎臓・神経に影響が及ぶこともあります。

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糖尿病とは、すい臓でつくられるインスリンが「足りない」、あるいは「効きにくい」ために、ブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなり、血糖値が慢性的に高い状態が続く病態です。ブドウ糖は本来エネルギー源ですが、血液中に多い状態が続くと血管を傷つけ、動脈硬化を進め、脳卒中や心筋梗塞の原因になり得ます。
糖尿病の種類
糖尿病は大きく「1型」「2型」「その他の特定の機序・疾患によるもの」「妊娠糖尿病」に分類されます。2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性がゆっくり進み、早期は症状が目立ちにくいことがあるため、気づきにくさの主役になりやすいタイプです。
糖尿病の初期症状
教科書的に覚えやすい初期症状は、口渇(のどの渇き)・多飲・多尿・体重減少・だるさ(倦怠感)です。視界がかすむ、傷が治りにくい、手足のしびれなどが気づきの糸口になることもあります。
ただし、血糖の上昇が軽いと自覚症状がないことがあり、逆に血糖が著しく高いと口渇や多尿などがはっきり出る、という”強弱”があります。年齢が高い方では「疲れやすい」「ぼんやりする」など、日常の不調として片づけられやすい訴えで現れることもあります。
なぜ糖尿病は気づきにくいのか
2型糖尿病は血糖の上がり方が緩やかで、早い段階では典型症状が軽く、本人が「糖尿病の症状だ」と気づきにくいとされています。
国立国際医療研究センター糖尿病情報センターの解説でも、「症状がなく糖尿病になっていることに気がついていない方も多くいます。糖尿病では、かなり血糖値が高くなければ症状が現れません」と説明されています [2]。同センターは、糖尿病はある日突然発症するのではなく、血糖値が少しずつ高くなっていく中で進行していくものだとも述べています [3]。つまり、自覚症状のない期間にも体の中では変化が進んでいる可能性がある、ということです。
糖尿病を放置した場合のリスク
糖尿病を放置して高血糖が続くと、動脈硬化が進み、他の生活習慣病、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まります。加えて、糖尿病の「3大合併症」(網膜症・腎症・神経障害)は、失明や透析につながることがあります。足の血流障害や神経障害が重なると足潰瘍や壊疽(えそ)から切断に至る場合もあり、日常生活への影響が大きくなります。
目のかすみや足のしびれなど”合併症の症状”をきっかけに、初めて糖尿病が判明することもあります。合併症は出てからの回復が難しい場合もあるため、症状がないうちに把握しておきたいところです。
早期発見の重要性と対策
糖尿病は初期に症状が乏しいことが多いため、健康診査で血糖値やHbA1cを定期的に確認しておくことが勧められます。日本糖尿病学会の診断基準では、血糖値とHbA1cの数値によって「正常型」「糖尿病型」の目安が示されています [1]。
| 区分 | 空腹時血糖値 | 75gOGTT 2時間値 | HbA1c |
|---|---|---|---|
| 正常型の目安 | 110mg/dL未満 | 140mg/dL未満 | ― |
| 糖尿病型の目安 | 126mg/dL以上 | 200mg/dL以上 | 6.5%以上 |
出典:日本糖尿病学会「糖尿病診断基準」 [1]。随時血糖値200mg/dL以上も糖尿病型の判定基準の一つとされています。正常型・糖尿病型のいずれにも当てはまらない場合は「境界型」と呼ばれ、生活改善や経過観察の対象になることがあります。あくまで目安であり、実際の診断は医療機関での確認検査を踏まえて行われます。
HbA1cは直前の食事の影響を受けにくく、概ね過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する指標として使われます。
生活面の基本は、摂取エネルギーをとり過ぎない、体を動かす、飲酒を控える、禁煙、野菜・大豆製品・海藻・きのこなどを増やす、といった”積み上げ”です。急に完璧を狙うより、「できることを、続く形で」が現実的です。一人で調整するのが難しいと感じる場合は、一般内科で相談しながら進める方法もあります。
セルフチェック――こんなサインがあれば、一度相談を
次のような項目に心当たりがある方は、一度医療機関で相談してみてください。当てはまる項目があっても、それだけで糖尿病と診断されるわけではありません。感じ方には個人差があります。
- 喉が渇きやすく、水やお茶を飲む量が増えた
- トイレ(尿)の回数が以前より増えた
- 食事量を変えていないのに、体重が少しずつ減ってきた
- なんとなく疲れやすい、だるさが続く
- 健診で血糖値やHbA1cを「要再検査」「要精密検査」と言われたことがある
- 目のかすみや、手足のしびれ、傷の治りにくさが気になる
まとめ
糖尿病とは、高血糖が続くことで血管が傷み、将来の合併症につながり得る病態です。特に2型糖尿病はゆっくり進むため、症状がないまま見過ごされることがあります。糖尿病は生活習慣病のひとつでもあり、高血圧や脂質異常症などと合わせて管理していくことも少なくありません。気になる健診結果がある方は、放置せず一度確認し、医療機関で相談してください。
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食事の見直しは、オンラインでも相談できます
糖尿病の予防や治療で大きな柱になるのが、毎日の食事です。とはいえ、「通院の時間がなかなか取れない」「対面の栄養指導は少しハードルが高い」と感じる方もいらっしゃると思います。当院では、管理栄養士によるオンライン栄養指導を導入しており、ご自宅からビデオ通話で食事のご相談が可能です。検査結果や生活リズムに合わせて、現実的に続けられる方法を一緒に考えていきます。詳しくは生活習慣病外来のページをご覧ください。
監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科)
参考文献
[1] 一般社団法人日本糖尿病学会. 糖尿病診断基準. https://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=10
[2] 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター. 糖尿病とは. https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html
[3] 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター. 糖尿病は早く見つけましょう. https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/030/010/01.html
