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健診でピロリ菌陽性・ABC検診で引っかかったら|除菌の前に胃カメラが必要な理由

2026年08月29日

健診でピロリ菌陽性・ABC検診で引っかかったら|除菌の前に胃カメラが必要な理由

健診・人間ドックでピロリ菌陽性、またはABC検診でB群以上などの結果を受け取っても、それだけですぐに深刻な病気があるという意味ではありません。ただし、放置してよいわけでもありません。除菌治療を保険診療で行うには、その前に胃カメラで胃の状態を確認することが原則です。この記事では、陽性判定を受けてから何をすべきかを整理します。

健診のピロリ菌検査結果と胃カメラでの確認を表す結果票と胃のイラスト

「ピロリ菌陽性です」「ABC検診でB群でした」――健診結果の通知を見て、次に何をすればよいのか分からず不安になる方は少なくありません。除菌の方法や薬について調べる前に、まず知っておきたいのは、除菌治療を保険診療で受けるには内視鏡検査(胃カメラ)で胃の状態を確認することが前提になっているという点です。この記事では、健診・人間ドックでピロリ菌陽性やABC検診の要精査判定を受け取った方に向けて、次に取るべき行動を消化器内科の視点から整理します。除菌方法そのものの詳しい解説や、除菌後のフォローアップについては本文中でご案内する関連記事をあわせてご覧ください。

健診でピロリ菌陽性・ABC検診で引っかかったら、まず何をすべきですか?

まずは消化器内科など、胃カメラに対応した医療機関を受診し、胃の状態を確認することが基本的な流れです。

健診・人間ドックの血液検査(抗体検査)やABC検診で分かるのは、あくまで「ピロリ菌に感染しているかどうか」「感染や胃粘膜の萎縮が疑われるかどうか」までです。ABC検診(ABC分類)は胃がんそのものを診断する検査ではありません。実際に胃の粘膜がどのような状態か、慢性胃炎の程度、萎縮性胃炎や胃潰瘍、まれに胃がんなどの病変がないかは、胃カメラで直接観察しなければ分かりません [1]。除菌治療を検討する場合も、保険診療で行うには胃カメラでの診断が前提となるため、結果を持って早めに受診することをおすすめします [4]。症状がない場合でも受診の必要性は変わりません。

ABC検診の判定(A群〜D群)はどういう意味ですか?

ABC検診は、血液検査でピロリ菌抗体とペプシノゲン(胃粘膜の状態を反映するとされる項目)を組み合わせて調べ、感染や萎縮の有無・程度によって分類する健診方法です。一般に、感染も萎縮の所見もない場合をA群とし、感染や萎縮の程度が進むにつれて他の区分に分類される、という考え方で運用されている健診機関が多いとされています。

判定区分 一般的な考え方(目安)
A群 感染・萎縮の所見がない、またはごく軽度とされることが多い区分
B群 ピロリ菌感染がみられるとされる区分
C群 ピロリ菌感染に加え、胃粘膜の萎縮がみられるとされる区分
D群 胃粘膜の萎縮がより進んでいるとされる区分

判定の具体的な基準や呼び方(3群・4群などの表記を含む)は、実施する健診機関によって異なります。この表はあくまで一般的な目安であり、ご自身の結果票に書かれている判定の意味は、健診機関または受診先の医療機関でご確認ください。

陽性と言われてから、どのような流れで進みますか?

結果票を持って医療機関を受診し、胃カメラで胃の状態を確認したうえで、必要に応じて保険診療での除菌治療に進む、という流れが一般的です。

ステップ 内容
1 健診・人間ドックでピロリ菌陽性、またはABC検診で要精査の判定を受け取る
2 消化器内科など、胃カメラに対応した医療機関を受診する
3 胃カメラで胃の状態(慢性胃炎・萎縮性胃炎・潰瘍などの有無)を確認する
4 診断がついた場合、保険診療で除菌治療(内服)を行う
5 除菌判定検査で除菌が成功したかを確認する
6 除菌後も、状態に応じて定期的な胃カメラで経過をみる

実際にどのステップに時間がかかるか、どの検査が必要かは、胃カメラの所見や個々の状態によって医師が個別に判断します。除菌治療の具体的な薬の組み合わせや期間については、ピロリ菌の除菌方法についての記事で詳しく解説しています。

除菌の前に胃カメラが必要なのはなぜですか?

血液検査などでの陽性反応は、ピロリ菌に感染している可能性が高いかどうかを調べる検査であり、胃の粘膜そのものの状態を確認する検査ではないためです。

ピロリ菌の診断方法には、胃カメラを使う迅速ウレアーゼ試験・鏡検法・培養法・核酸増幅法と、胃カメラを使わない尿素呼気試験・抗体法・糞便中抗原測定があります [1]。健診・人間ドックの血液検査は多くの場合、胃カメラを使わない方法にあたります。胃カメラでは、感染の有無だけでなく、慢性胃炎の程度や萎縮性胃炎の進み具合、胃潰瘍やまれに胃がんなどの病変がないかを直接観察して確認します。この胃の状態確認が、除菌治療の要否や保険適用の判断に必要な情報になります。

除菌治療は保険がききますか?

胃潰瘍・十二指腸潰瘍、または内視鏡検査(胃カメラ)で確認されたピロリ菌感染による慢性胃炎などの診断がついている場合に、除菌治療を保険診療で受けられます。

厚生労働省の通知では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などについて内視鏡検査または造影検査で確定診断がなされた患者を保険適用の対象としており [4]、その後の制度改正でヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(慢性胃炎)の診断がついた患者にも除菌治療の保険適用が広がっています [1]。健診・人間ドックの血液検査などで陽性と分かっただけの段階では、まだこの診断の条件を満たしていないため、胃カメラを受けずに除菌治療のみを希望される場合は自費診療になることがあります。保険適用の詳しい条件や費用の目安は、診察で個別にご説明します。

放置するとどうなりますか?

ピロリ菌感染は自然に治ることがほとんどないとされ、感染が続くと慢性的な炎症が長期間続き、胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)が進行することがあります。

萎縮性胃炎は胃がんのリスク要因の一つとされています。国立がん研究センターの解説では、ピロリ菌の除菌によって胃がんの発生リスクは確実に低下するとされている一方、除菌をしても胃がんになる可能性がゼロになるわけではないとも説明されています [3]。具体的なリスクの程度は、感染していた期間や萎縮の進み具合など個人差が大きいため、詳しくは胃カメラの結果をもとに診察でご説明します。萎縮性胃炎そのものについては、萎縮性胃炎についての記事もあわせてご覧ください。

除菌が終われば、もう心配いらないのですか?

いいえ、除菌が成功した後も、状態に応じた定期的な胃カメラでの経過観察が勧められています。

除菌前から萎縮性胃炎が進行していた場合、その萎縮はすぐには元に戻らず、除菌後もがんのリスクが一定期間残ると考えられています [2]。また、除菌が成功した時点で、検査では見つけられないごく小さな病変がすでに存在している可能性もあるとされています [2]。除菌に安心して検診をやめてしまうケースが問題視されており、特に萎縮性胃炎がある場合は定期的な内視鏡検査が重要とされています [2]。除菌後にどのくらいの間隔で胃カメラを受けるとよいかについては、除菌後のフォローアップについてのページで詳しく解説しています。

横浜駅前ながしまクリニックでは、陽性判定後どのように対応していますか?

横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅きた西口から徒歩約3分にある内科・消化器内科・婦人科のクリニックです。健診・人間ドックでピロリ菌陽性やABC検診で要精査の判定を受けた方に対し、まず問診でこれまでの経緯や症状の有無を確認したうえで、胃カメラによる胃の状態確認をご案内しています。胃カメラは経口・経鼻、鎮静剤の使用にも対応しており、検査中に組織を採取して調べる必要がある場合(生検)にも対応可能です。胃カメラで慢性胃炎などの診断がついた場合は、保険診療での除菌治療についてもあわせてご説明します。院長は日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医です。

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よくある質問

ピロリ菌陽性でも症状がなければ、様子を見てもよいですか?

症状がない場合でも、ピロリ菌感染そのものが自然に治ることはほとんどないとされています。症状の有無にかかわらず、まずは胃カメラで胃の状態を確認することをおすすめします。

ABC検診でA群と判定されました。それでも受診は必要ですか?

A群は感染・萎縮の所見がない、またはごく軽度とされることが多い区分ですが、判定基準は健診機関により異なります。結果票の内容や受診の要否について気になる場合は、健診機関または医療機関にご確認ください。

除菌治療の薬はどのくらいの期間飲みますか?

一般的には、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を1週間連続して内服します。詳しい薬の組み合わせや注意点は、ピロリ菌の除菌方法についての記事で解説しています。

除菌治療は1回で必ず成功しますか?

1回目の除菌(一次除菌)で成功しない場合もあり、その際は薬の組み合わせを変更した二次除菌を行います。二次除菌までは保険診療の範囲内で対応できます。

バリウム検査で異常なしでしたが、ピロリ菌検査は受けた方がよいですか?

バリウム検査(胃部X線検査)と血液のピロリ菌抗体検査は調べている内容が異なるため、バリウム検査で異常がなくてもピロリ菌の感染有無は別途確認が必要です。気になる場合は医療機関にご相談ください。

会社の健診と人間ドックで判定基準が違うのはなぜですか?

ABC検診の判定の具体的な基準は、実施する健診機関によって異なることがあります。同じ表記の判定でも機関によって意味合いが異なる場合があるため、結果票の見方に迷ったら実施機関または当院にご確認ください。

胃カメラが苦手なのですが、経鼻検査や鎮静剤は選べますか?

当院では経口・経鼻いずれの胃カメラにも対応しており、鎮静剤を使用した検査もご相談いただけます。

除菌治療にはどのような副作用がありますか?

下痢や軟便、味覚異常などが起こることがあります。気になる症状が出た場合は自己判断で中止せず、医療機関にご連絡ください。

家族にピロリ菌感染者がいます。自分も検査を受けた方がよいですか?

ピロリ菌は主に幼少期の家庭内感染などで広がると考えられており、家族に感染者がいる場合は感染している可能性があります。気になる場合は検査についてご相談ください。

監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科/日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医)

参考文献
[1] 日本消化器内視鏡学会. 市民の方へ「ピロリ菌感染は内視鏡検査でわかりますか?」. https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_05
[2] 日本消化器内視鏡学会. 市民の方へ「ピロリ菌を除菌しましたが、その後胃カメラ検査を受ける必要がありますか?」. https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_06
[3] 国立がん研究センター がん情報サービス. 胃がん 予防・検診. https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/prevention_screening.html
[4] 厚生労働省. 「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」の一部改正について(平成22年6月18日保医発0618第1号). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6283&dataType=1&pageNo=1

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