2026年08月13日
健診で便潜血検査が陽性となり、その紙を鞄の奥にしまったまま夏を迎えた、という方は少なくありません。仕事が落ち着かず「そのうち」と先延ばしにしているうちに、気づけば数ヶ月が過ぎていた――外来でもよく聞く話です。大腸カメラは前処置に半日近くかかり、鎮静剤を使えばその日のうちに仕事へ戻ることもできません。だからこそ、まとまった休みが取れる夏休みやお盆は、検査の予定を組める数少ない機会になります。

なぜ夏休み・お盆が大腸カメラに向いているのか
大腸カメラは、下剤で腸の中をきれいにする前処置に半日ほどかかる検査です。当院では朝9時に来院いただき、自宅で下剤を内服したうえで午後から検査を行う流れが基本になっています。この半日をまるまる平日に確保するのは、働きながらだと意外と難しいものです。加えて鎮静剤を使用した検査を選んだ場合、効果が切れるまでの間は自動車やバイク、自転車の運転ができず、そのまま職場に戻ることも現実的ではありません。検査から結果の説明までを一度の来院でまとめて終えられることを考え合わせると、まとまった休みの中に組み込むのが一番無理のない選択になります。
休みの"いつ"に入れるか──逆算スケジュール
休みに入った初日にすぐ、ではなく、休みの前半から中盤にかけて検査日を設定しておくことを私はおすすめしています。理由は単純です。検査中にポリープが見つかり日帰りで切除した場合、その後しばらく生活面での制限が生じるためです。休みの後半に検査を入れてしまうと、制限期間のうちに休みそのものが終わり、注意事項が残ったまま仕事に復帰する日を迎えることになりかねません。事前の診察でおおよその流れを確認したうえで、逆算して日程を組んでおくと安心です。
旅行・帰省・お酒の予定と重ならないように
お盆や夏休みは、旅行や帰省、久しぶりに顔を合わせる方との会食など、お酒の席が重なりやすい時期でもあります。日帰りでポリープ切除を行った場合、飲酒や激しい運動、長距離の移動は一定期間控えるよう案内されるのが一般的です。日本消化器病学会の大腸ポリープ診療ガイドライン2020でも切除後の生活上の注意が示されていますが、実際にどれくらいの期間控えるべきかはポリープの大きさや切除方法によって変わります。数日で構わない場合もあれば、もう少し慎重にみる場合もあるため、当院の指示に従っていただくのが一番確実です。旅行や帰省の予定がある場合は、検査前の診察で伝えておくと日程を合わせやすくなります。同じ休みのうちに胃カメラもまとめて受けておきたいという方は、一度の下剤・鎮静剤で両方済ませられることもあるので、あわせてご相談ください。
便潜血が陽性だった方は、この夏のうちに
大腸がん検診は40歳から年に1回、2日分の便を採取する便潜血検査で行われており、ここで陽性となった場合の精密検査は、一般的に大腸カメラ(全大腸内視鏡検査)とされています。大腸がんは2023年の罹患数が154,039例、2024年の死亡数は54,416人と、決して少なくない病気です。症状がないからと自己判断せず、陽性の結果が出ている方は、休みのうちに検査の予定を入れておくことをおすすめします。腹痛など他の症状も気になる方は「腹痛の原因は部位別チェックガイド」もあわせてご覧ください。
- 健診で便潜血検査が陽性だった
- 過去に大腸ポリープを指摘されたことがある
- 家族に大腸がん・大腸ポリープの方がいる
- 血便や便通の変化が続いている
- 40歳を過ぎてから一度も大腸カメラを受けたことがない
当院での受け方
当院では、なるべく早く検査を受けたいという方には当日検査にも対応しており、午前9時にご来院いただければ、自宅で下剤を内服したうえで午後から検査を行うことができます。下剤を院内で内服したい方は、水曜・金曜に限り対応しています。鎮静剤を使用した場合、当日は自動車・バイク・自転車の運転ができませんので、公共交通機関でのご来院をお願いしています。検査中にポリープが見つかった場合は、多くのケースでそのまま日帰り切除ができ、検査終了後は撮影した画像を見ながら院長が直接結果をご説明します。お盆期間中の診療体制については変更が生じる可能性がありますので、詳しい日程は当院までお問い合わせください。詳しくは内視鏡検査のご案内もご覧ください。
監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科認定医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医)
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」(2024年9月20日更新)
- 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
- 国立がん研究センター がん統計「大腸」
- 日本消化器病学会「大腸ポリープ診療ガイドライン2020」
- 日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」
