2026年07月26日
健診や人間ドックの胃カメラで「胃ポリープがあります」と言われて、不安な気持ちで当院を受診される方は少なくありません。「ポリープ」と聞くと、大腸のポリープと同じように「放っておくとがんになるのでは」と心配される方も多いのですが、胃にできるポリープは大腸のポリープとは性質が異なるものが多く、種類によって考え方が変わってきます。ここでは胃ポリープの主な種類と、健診で指摘されたときにどう受け止めればよいかを整理します。

胃ポリープには主なタイプがあります
日本消化器内視鏡学会の解説によると、胃ポリープは主に胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、特殊型(炎症性・症候性・家族性など)に分けられ、中でも頻繁にみられるのは胃底腺ポリープと過形成性ポリープとされています [1]。このほか、良性の腫瘍でありながら前がん病変として扱われる腺腫(腺腫性ポリープ)が指摘されることもあります。まずはそれぞれのおおまかな特徴を整理します。
| 項目 | 胃底腺ポリープ | 過形成性ポリープ | 腺腫(腺腫性ポリープ) |
|---|---|---|---|
| 発生しやすい胃の状態 | ピロリ菌感染の影響が少ない、比較的健康な胃粘膜 | ピロリ菌感染による炎症を起こした胃粘膜 | 慢性的な炎症・萎縮が進んだ胃粘膜に多いとされる |
| 見た目の特徴 | 周囲の粘膜と似た色調の小さな隆起 | 赤みの強い隆起 | 白っぽく平坦な隆起であることが多い |
| ピロリ菌との関係 | 関連は乏しいとされる | 関連が強いとされ、除菌でポリープが小さくなる・消えることがある [1] | 直接の関連より、慢性炎症・萎縮性胃炎との関連が指摘される |
| がん化の可能性 | 「極めてまれ」とされる [1] | 10mm以上の大きさのものからがんが発生する頻度は約2%と報告されている [1] | 前がん病変とされ、大きさや異型度によって考え方が変わる |
| 基本的な対応の考え方 | 経過観察で問題ないとされることが多い | 大きさや見た目により経過観察、または生検・切除を検討 | 生検や切除で組織を確認し、方針を相談することが多い |
上の表はあくまで一般的な傾向です。実際の方針は、胃カメラで確認した見た目や生検の結果をもとに医師が判断します。健診結果の記載だけで自己判断をせず、担当医にご相談ください。
「多くは経過観察でよい」けれど、自己判断は危険です
上記のとおり、胃ポリープの多くは、がん化の可能性が低いとされる胃底腺ポリープであることが少なくありません。ただし、「胃ポリープの多くは良性」という情報だけを聞いて、健診結果を確認せずに済ませてしまうのは危険です。ポリープの種類は、見た目・大きさ・数・発生している胃粘膜の状態などから総合的に判断されるものであり、健診結果表の「胃ポリープあり」という記載だけでは、正確なタイプまではわからないことがあります。
同じ「胃ポリープ」という言葉でも、実際には過形成性ポリープや腺腫が混じっている可能性もゼロではありません。「経過観察でよいと言われた気がする」という記憶だけが独り歩きし、次にいつ検査を受ければよいのかがあいまいなまま時間が過ぎてしまうケースもあります。健診で指摘を受けた際は、実際に胃カメラで観察した医師から、種類・大きさ・今後の方針について説明を受けておくことをおすすめします。
ピロリ菌との関係を知っておく
過形成性ポリープは、ピロリ菌感染による炎症を背景に発生しやすいとされ、除菌によって縮小・消失することがあるとされています [1]。一方で胃底腺ポリープは、ピロリ菌感染の影響が少ない胃粘膜に発生しやすいとされ、両者は関連の仕方が異なります。
またピロリ菌は、胃ポリープだけでなく胃がんの危険因子のひとつでもあります。国立がん研究センター がん情報サービスでも「胃がんの発生要因には、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染と喫煙があります」と説明されています [2]。ピロリ菌の除菌によって胃がんの発生リスクは下がるとされていますが、除菌をしてもリスクがゼロになるわけではなく、除菌後も胃内視鏡検査を続けることが大切だとされています [2]。ピロリ菌の検査・除菌治療について詳しくは、当院のピロリ菌の除菌方法についてのコラムもあわせてご覧ください。
胃ポリープの種類は胃カメラでの観察が頼りになります
胃ポリープの多くは自覚症状がなく、健診や人間ドックの胃カメラで偶然見つかることがほとんどです。バリウム検査(胃X線検査)でも大きなポリープの影は分かることがありますが、色調や表面の性状といった、種類を見分けるための細かい情報までは把握しにくいとされています。胃カメラであれば、ポリープの色・形・大きさを直接観察でき、必要に応じてその場で組織の一部を採取する生検を行うこともできます。「経過観察でよいタイプかどうか」を判断する材料は、胃カメラでの観察がもとになることが多いため、健診で指摘を受けた場合は一度胃カメラで確認しておくと安心材料になります。
当院の胃カメラ検査について
横浜駅前ながしまクリニックは、横浜駅から徒歩3分の場所にあります。当院の胃カメラ検査のご案内では、経口・経鼻の両方式に対応しており、口や鼻の状態、これまでの検査経験などに応じて相談しながら選んでいただけます。嘔吐反射が心配な方には、鎮静剤・鎮痛剤を使用し、眠ったような状態で受けていただく方法もご用意しています。
検査自体は5〜10分程度で終わることがほとんどで、鎮静剤を使用する場合は、来院から帰宅までの目安を30分〜1時間程度としています(鎮静剤を使用した場合、当日の自動車・バイク・自転車の運転はできません)。鎮静剤の使用について詳しくは、鎮静剤を使った内視鏡検査についてのコラムもご覧ください。検査中にポリープが見つかった場合は、大きさや性状に応じて生検を行うこともあります。費用の目安については、内視鏡検査の費用まとめ記事でご確認いただけます。
よくある質問
胃ポリープは切除しないといけませんか?
胃ポリープの多くは、がん化の可能性が低いとされる胃底腺ポリープであり、切除をせず経過観察となることが少なくありません。ただし、大きさ・形状・種類によっては生検や切除をおすすめすることもあります。実際の方針は、胃カメラで観察した所見をもとに医師と相談しながら決めることになります。
経過観察の間隔はどれくらいですか?
ポリープの種類や大きさによって異なり、一律の間隔が決まっているわけではありません。健診で指摘された場合は、次にいつ胃カメラを受ければよいか、担当医に確認しておくと安心です。
ピロリ菌の除菌をすれば胃ポリープは消えますか?
過形成性ポリープは、ピロリ菌の除菌によって小さくなる、あるいは消えることがあるとされています [1]。ただし、すべての方に同じ効果があるとは限らず、ポリープの種類によっては除菌が直接影響しない場合もあります。個人差がありますので、除菌後も経過を確認することをおすすめします。
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)
参考文献
[1] 日本消化器内視鏡学会. 胃ポリープにはどんなものがありますか? https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_07
[2] 国立がん研究センター がん情報サービス. 胃がん 予防・検診. https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/prevention_screening.html
