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飲みすぎ・食べすぎのあとの激しい腹痛――急性膵炎を見逃さないために

2026年09月16日

飲みすぎ・食べすぎのあとの激しい腹痛――急性膵炎を見逃さないために

食べすぎや飲みすぎのあとにお腹が痛くなることは、誰にでもあります。ほとんどは一過性の胃もたれで、数日で落ち着きます。ただ、そのなかに、様子を見ずに急いで検査を受けたほうがよい腹痛が混ざっていることがあります。今回は、その見分け方のひとつとして急性膵炎という病気を取り上げます。

急性膵炎とはどんな病気か

急性膵炎は、膵臓に炎症が起きる病気です。日本肝胆膵外科学会によると、原因としてもっとも多いのはアルコールと胆石の2つとされています。症状の中心は上腹部の強い痛みですが、痛みが背中まで広がることもあり、嘔吐や発熱などの症状が出ることもあります。状態が悪化すると、意識がぼんやりしたり血圧が下がってショック状態になったりすることもあるとされています。

診断は血液検査と造影CTによって行われ、そのうえで重症度の判定が行われます。お酒の量や普段の食生活、これまでに胆石を指摘されたことがあるかといった問診の情報も手がかりになりますが、最終的な診断は採血と画像の結果で判断されます。

難病情報センターの調査研究班がまとめた資料によると、2011年の全国調査では、1年間に急性膵炎で医療機関にかかった患者数は63,080人と推定され、10年間でおよそ1.8倍に増えていました。男女比は1.9対1で男性に多く、平均年齢は60.9歳だったとされています。

急性膵炎の原因の内訳(2011年の全国調査に基づく推計)
アルコール33.5%

胆石26.9%

特発性(原因不明)16.7%

出典:難病情報センター(難治性膵疾患に関する調査研究班)「重症急性膵炎」(2011年の全国調査に基づく推計)

痛みの強さでは重症度がわからない

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。難病情報センターの資料によれば、急性膵炎の初発症状としては腹痛がもっとも多いのですが、痛みの程度には個人差が大きく、痛みの強さと膵炎の重症度は相関しないとされています。「そこまで痛くないから大丈夫」と自分で判断できる性質のものではない、ということです。

もう一つ注意したいのが嘔吐です。上腹部痛の次に多い症状が嘔気・嘔吐で、何時間も続くことがあります。ただ、吐いたからといって痛みが軽くなるわけではありません。市販の吐き気止めで様子を見ているうちに時間が経ってしまう、という流れは避けたいところです。

一方で、軽症の急性膵炎であれば、数日間の絶食と点滴による補液だけで、合併症なく回復するとされています。重症例はおよそ2割程度を占め、その中には命に関わる経過をたどる方もいます。発症してすぐの段階では軽症で済むかどうかを見分けにくいため、医療機関では常に重症化を念頭に置いて、最初の2〜3日間は全身的な管理と治療を行うとされています。

こんなときは早めに受診を
  • みぞおちや上腹部の強い痛みが続く
  • 痛みが背中に抜ける
  • 嘔吐が何時間も続き、吐いても痛みが軽くならない
  • 発熱を伴う
  • ぐったりする・意識がはっきりしない(この場合は救急対応が必要です)

出典:日本肝胆膵外科学会/難病情報センター

自分の飲酒量を数字で見てみる

急性膵炎の2大原因のひとつがアルコールである以上、自分がふだんどれくらい飲んでいるかを一度数字にしてみるのは意味があります。厚生労働省のガイドラインでは、純アルコール量(g)は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8」という式で計算できるとされています。たとえばビール500ml(度数5%)なら、500×0.05×0.8で20gになります。

連休や集まりが続くと、ふだんより缶を1本、2本と多く空けてしまうこともあります。厚生労働省のガイドラインには病気ごとにリスクが上がる飲酒量の目安も示されていますが、飲酒による影響には個人差があり、それより少ない量なら病気にならないとまでは言えないとされています。自分の量を把握したうえで、痛みが続くようなときは、量の多い少ないにかかわらず受診の判断材料にしていただければと思います。

痛みは軽いのに、すっきりしないまま長引くとき

一方で、もう一つ別のパターンもあります。強い痛みというより、「なんとなく胃が重い」「みぞおちのあたりが数日すっきりしない」といった軽い不調が長引くケースです。こうした場合は、暴飲暴食による急性胃炎や胃潰瘍、あるいは胆石など、急性膵炎とは別の病気が背景にあることも考えられます。胃痛・みぞおちの痛みについて詳しく知りたい方は、そちらの記事もあわせてご覧ください。

こうした軽い不調がどこから来ているのかを確かめる手段が胃カメラです。粘膜を直接観察することで、胃炎や潰瘍の有無を確認できます。痛む場所によって考えられる原因も変わってくるため、迷うときは腹痛の原因を部位別に解説|考えられる病気と受診の目安も参考にしてください。

受診の目安と、当院での対応

まとめると、痛みが強く背中に抜けるような感覚がある、嘔吐が何時間も止まらない、発熱を伴う、といった状態が続くときは、外来の予約を待たずに早めに医療機関を受診していただきたいと思います。診断には血液検査と造影CTが必要になるため、そうした検査ができる医療機関を選んでください。夜間や休日に強い症状が続く場合は、救急を受診することも選択肢に入れてください。

一方、食べすぎ・飲みすぎたあと、強い痛みではなく胃の重さや違和感が数日続くという場合は、胃炎や胃潰瘍の可能性を考えて胃カメラで確認することができます。当院は横浜駅から徒歩3分で、胃カメラは経鼻・経口の両方に対応し、鎮静剤を使った検査も可能です。大腸カメラも実施しており、こちらも鎮静剤に対応しています。当日の胃カメラ・大腸カメラにも対応していますが、大腸カメラは事前の下剤準備が必要なため、ご希望の際は一度ご相談ください。

覚えておきたいこと
  • 痛みの強さと重症度は必ずしも一致しない
  • 2大原因はアルコールと胆石
  • 軽症では数日の絶食と補液で回復するとされる
  • 軽い不調が長引くときは別の原因も考えて検査を

出典:日本肝胆膵外科学会/難病情報センター

よくある質問

急性膵炎の主な原因は何ですか。
日本肝胆膵外科学会によると、急性膵炎の2大原因はアルコールと胆石です。2011年の全国調査に基づく推計では、アルコールが33.5%、胆石が26.9%、原因がはっきりしない特発性が16.7%とされています。

お腹の痛みがそれほど強くなければ、様子を見ても大丈夫ですか。
急性膵炎では痛みの程度に個人差が大きく、痛みの強さと重症度は相関しないとされています。みぞおちや上腹部の痛みが続く、痛みが背中に抜ける、嘔吐が何時間も続く、発熱を伴うといった場合は、自己判断で様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。

強い痛みではなく、胃の重さや違和感が数日続く場合はどうすればよいですか。
急性胃炎や胃潰瘍、胆石など、急性膵炎とは別の病気が背景にあることも考えられます。胃炎や潰瘍の有無は、胃カメラで粘膜を直接観察して確認できます。当院の胃カメラは経鼻・経口の両方に対応し、鎮静剤を使った検査も可能です。


監修

横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科認定医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医)

参考文献

  1. 一般社団法人 日本肝胆膵外科学会「急性膵炎と慢性膵炎」
  2. 難病情報センター(難治性膵疾患に関する調査研究班)「重症急性膵炎」概要(2011年の全国調査に基づく推計)
  3. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」

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