2026年08月01日
「お尻の悩みは誰にも相談しづらい」――そう感じて、症状があっても受診をためらっている方は少なくありません。排便のときに血がついた、肛門のあたりが痛む、何か触れる気がする。そうした変化に気づいても、「痔くらいで病院に行くのは恥ずかしい」「そのうち自然に落ち着くかもしれない」と様子を見てしまいがちです。痔にはいくつかのタイプがあり、相談先や注意すべき症状も少しずつ異なります。
痔の主な3タイプ早見表
ひとくちに「痔」といっても、実際にはいくつかのタイプに分かれます。日本大腸肛門病学会の市民向け情報をもとに、代表的な3タイプの特徴を表にしました。あくまで一般的な目安であり、実際にどのタイプに近いかはご自身で判断せず、診察で確認することをおすすめします。

| タイプ | 正式名・別名 | 主な症状・特徴 |
|---|---|---|
| いぼ痔 | 痔核 | 肛門の血管や粘膜のクッション組織がゆるんで脱出したもの。排便後に鮮やかな赤い出血がある、肛門から柔らかいものが触れる・脱出する、腫れや痛みを伴うことがあるとされています [1] |
| 切れ痔 | 裂肛 | 硬い便を無理に出すことで肛門の皮膚が切れるもの。排便時だけでなく排便後もしばらく続く強い痛みと、紙に付く程度の少量の出血が特徴とされています [2] |
| 痔ろう(あな痔) | 痔瘻・肛門周囲膿瘍 | 肛門の奥の小さなくぼみから細菌が入り込み化膿するもの。膿瘍の段階では痛み・腫れ・発熱を伴うことがあり、痔ろうに移行するとしこりや分泌物、かゆみなどがみられるとされています [3] |
セルフチェックリスト――こんな症状はありませんか
次のような症状があるときは、一度相談を考える目安になります。当てはまる項目があっても、それだけで特定の病気と決まるわけではありません。症状の感じ方には個人差があります。
- 排便のときに紙やお湯に鮮やかな赤い血が付く、またはポタポタと出血する
- 排便後も肛門にズキズキした痛みが続く
- 肛門から柔らかいものが触れる、または外に出てくる感じがある
- 肛門の周りにしこりや腫れがあり、熱っぽさや強い痛みを伴う
- 下着に分泌物が付着する、肛門まわりがかゆい・湿った感じがする
- 排便のたびに痛みが強く、我慢したり排便を避けたりしてしまう
こうした症状はいぼ痔・切れ痔・痔ろうのいずれでも起こりうるため、症状だけで自己判断することは難しい面があります。市販薬で一時的に楽になっても、原因がそのままであれば繰り返すこともあるため、気になる場合は自己判断で様子を見続けるより相談していただくほうが安心につながることがあります。
何科を受診すればいい?――肛門内科という選択肢
外来でも、「痔かもしれないけれど、何科に行けばいいのかわからない」という相談は少なくありません。痔の症状は肛門内科で相談できます。当院の肛門内科では、痔核・裂肛・痔ろうのほか、肛門周囲膿瘍、肛門湿疹、便秘症なども含めて幅広く対応しており、デリケートな部位であるために人に相談しにくく受診を後回しにしがちな症状こそ、プライバシーに配慮した環境の中でご相談いただけるよう努めています。「恥ずかしいから」という理由だけで受診を先延ばしにせず、気になる症状があれば早めにご相談ください。
注意――「痔だと思ったら」別の病気のこともあります
出血の色や量がいつもと違う、出血が繰り返される、便そのものに血が付着している(表面の出血だけでなく便全体に混ざっているように見える)といった場合は、痔以外の病気が隠れていることもあります。国立がん研究センターのがん情報サービスでも、血便や腹痛、便の性状の変化がある場合は健診の結果を待たず速やかな医療機関の受診が勧められています [4]。「痔だから」と自己判断で市販薬による様子見を続けることは、他の病気の発見を遅らせるリスクにもつながりかねません。
出血を伴う症状について詳しくは血便が出たらどうする?色や原因、考えられる病気を解説もあわせてご覧ください。また、いぼ痔による出血であっても大腸カメラでの確認が検討されるケースについては痔核出血に大腸カメラは必要か?で解説しています。
治療の考え方――保存的治療が基本
痔の治療は、いきなり手術を検討するわけではなく、生活習慣の見直しや軟膏・坐薬、内服薬などによる保存的治療から始めることが基本とされています。切れ痔では便秘対策と軟膏・坐薬でほとんどの方が改善するとされ [2]、いぼ痔でも症状の程度に応じて保存的治療、ゴム輪結紮療法、硬化療法(ALTA療法)、手術療法などが選択肢となります [1]。一方で痔ろうは自然治癒がまれで、基本的には手術が必要とされており [3]、症状のタイプによって方針が異なる点も、自己判断より診察をおすすめする理由のひとつです。
当院の対応
横浜駅前ながしまクリニックの肛門内科では、痔核・裂肛・痔ろうをはじめとする肛門周囲の症状について、内科的な視点も含めて相談いただけます。出血が続く、繰り返す、色や量がいつもと違うなど気になるサインがある場合は、胃カメラ・大腸カメラによる確認をご案内することもあります。「いぼ痔だと思うけれど念のため確認しておきたい」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
痔だと思うのですが、婦人科・皮膚科・内科のどれに行けばいいですか?
痔の症状は肛門内科でご相談いただけます。当院では消化器内科的な視点も含めて診察していますので、「痔かどうかはっきりしないけれど気になる」という段階でもご相談いただけます。
市販の痔の薬だけで様子を見ても大丈夫?
軽い症状であれば市販薬で一時的に楽になることもありますが、原因が改善されないままだと繰り返すことがあります。特に出血が続く場合や、いつもと違う出血がある場合は、自己判断で様子を見続けるより早めのご相談をおすすめします。
出血がある場合、痔が原因と決まっているのでしょうか?
出血の原因が痔であることは多いものの、それだけで判断することはできません。血便の色や量がいつもと違う、繰り返す、便に血が付着しているように見える場合は、大腸の病気が関わっていることもあるため、気になる場合は検査による確認を検討してください。
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監修
横浜駅前ながしまクリニック 院長 長島周平(内科・消化器内科)
参考文献
[1] 一般社団法人 日本大腸肛門病学会. 痔核についてのQ&A.
[2] 一般社団法人 日本大腸肛門病学会. 裂肛.
[3] 一般社団法人 日本大腸肛門病学会. 痔瘻(じろう,あな痔)ってなに?肛門周囲膿瘍ってなに?.
[4] 国立がん研究センター がん情報サービス. 大腸がん検診.
