胆汁性下痢とは?原因・症状・検査・治療をわかりやすく解説|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

〒221-0835神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-11-8 4階

045-534-8147

Instagram 予約について

胆汁性下痢とは?原因・症状・検査・治療をわかりやすく解説

胆汁性下痢とは?原因・症状・検査・治療をわかりやすく解説|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2025年10月03日

長引く下痢に悩んでいませんか?その原因の一つとして「胆汁性下痢」という状態が知られています。胆汁性下痢は、胆汁に含まれる胆汁酸が関与して起こる慢性的な下痢です。この記事では、胆汁性下痢とは何か、その原因や症状、検査方法や治療法について、一般の方にも理解しやすいように解説します。

胆汁性下痢とは

胆汁性下痢とは、胆汁酸という消化液が小腸で十分に吸収されず大腸まで過剰に届くことで起こる下痢です。胆汁酸は本来、食事の脂肪を消化吸収するために必要ですが、大腸に大量に流れ込むと腸粘膜を刺激して水分分泌と腸の蠕動運動を活発にし、水様性の下痢を引き起こします。その作用の強さから「体内の下剤」とも呼ばれ、過剰な胆汁酸が大腸に達すると食事内容に関係なく下痢が起こります。

医学的には「胆汁酸性下痢症」「胆汁酸吸収不良症候群」などとも呼ばれます。原因により、手術や腸疾患に伴う「続発性(または二次性)胆汁酸性下痢症」と、明らかな誘因がない「原発性胆汁酸性下痢症」に分類されます。

胆汁性下痢の原因

胆汁性下痢の主な原因として、小腸末端(回腸)の病変や手術後(例:回腸切除術・クローン病)および胆嚢摘出術後が挙げられます。そのほか、胃腸の感染症からの回復期や一部の薬剤の影響、慢性膵炎などによる消化不良、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)、大腸の微小な炎症(顕微鏡的大腸炎)、骨盤への放射線治療後など、さまざまな要因が胆汁性下痢の誘因となる場合があります。

近年、原因不明とされていた慢性下痢(過敏性腸症候群など)の中に、この胆汁性下痢が隠れているケースもあることがわかってきました。実際、海外の研究では下痢型過敏性腸症候群(IBS)患者の約3割に胆汁酸の異常が認められたとの報告もあります。

胆汁性下痢の症状

主な症状は水様性の下痢が慢性的に続くことです。食事のたびに強い便意を催してトイレに急ぐ必要があり、特に朝食後や脂肪分の多い食事の後に悪化しやすい傾向があります。便が黄緑色っぽくなったり、油分を含んでギトギトした脂肪便になることもあります。

また、お腹の張り(膨満感)や腹痛を伴うこともあります。便意が突然強くなって我慢しにくく(便意切迫)、時にはトイレに間に合わず失禁したり、夜間に下痢で目が覚めることもあります。

胆汁性下痢の検査・診断

慢性的な下痢の原因を調べるため、消化器内科で以下の検査が行われます。他の疾患を除外したうえで胆汁性下痢が疑われる場合、特殊な検査や診断的治療が検討されます。

  • 血液・便検査:炎症の有無、栄養状態、感染症や消化管出血の有無などを確認します。
  • 画像・内視鏡検査:腹部エコー(超音波)やCT検査、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)・大腸カメラ(大腸内視鏡検査)で腸の炎症や腫瘍の有無を詳しく調べ、慢性下痢の器質的原因を除外します。
  • 胆汁酸の特殊検査:胆汁酸の吸収能を評価するSeHCAT試験や血液中の胆汁酸関連マーカーの測定がありますが、日本ではこれらは一般的に行われていません。
  • 診断的治療:異常所見がない場合、試験的に胆汁酸吸着薬を内服し、下痢の改善状況を確認します。

胆汁性下痢の治療

治療では、原因疾患があればその治療を行ったうえで、胆汁酸による下痢を抑える対症療法を行います。主な治療法は次の通りです。

  • 薬物療法:胆汁酸吸着薬(コレスチミドなど)の内服が第一選択で、腸内で胆汁酸を吸着して下痢を改善します。必要に応じてロペラミド(止瀉薬)を併用し、下痢の回数や便意の緊急度を抑えることもあります。
  • 食事・生活指導:脂肪分の多い食事を控えると症状が軽減する場合があります。下痢を悪化させやすい食品を避けるなど生活面の工夫も有効です。ただし極端な制限は栄養不足につながるため注意しましょう。

まとめ

胆汁性下痢は、胆汁酸の異常によって起こる慢性下痢です。適切に診断されれば、薬物療法と生活改善によって症状の改善が期待できます。長引く下痢に悩んでいる場合は、自己判断をせず専門医に相談して必要な検査を受けてみましょう。適切な治療によって、つらい下痢症状をコントロールできる可能性があります。

関連ブログ

TOP