脂肪肝 診断されたらまずすべきこと|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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脂肪肝 診断されたらまずすべきこと

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2025年12月20日

健康診断や検査で「脂肪肝」と言われたら、不安になりますよね。

脂肪肝とは肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態のことで、自覚症状がほとんどなく「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓だけに、見落とされがちな病気です。しかし放置すると将来的に肝機能の悪化や肝硬変、さらには肝臓がんへ進行する可能性が指摘されています。

実は脂肪肝にはアルコールが原因のもの(アルコール性脂肪肝)と、お酒をあまり飲まない人にも起こるもの(非アルコール性脂肪肝:NAFLD)があります。後者のNAFLDは近年増えており、肥満や糖尿病など生活習慣の乱れが主な原因です。お酒の飲み過ぎが肝臓に悪いのはよく知られていますが、脂肪肝の最も多い原因は実は「食べ過ぎ」なのです。

肥満や糖尿病の人はインスリンの働きが低下し、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。つまり脂肪肝は生活習慣病の一つといえます。では、脂肪肝と診断されたら具体的に何をすればよいのでしょうか?ポイントを解説します。

脂肪肝を軽視してはいけない理由

「脂肪肝ぐらい大したことない」と思われがちですが、それは誤解です。非アルコール性脂肪肝でも放っておくと炎症が進んで非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という状態になり、さらに20年ほど経つと肝硬変、30年ほどで肝がんに進展する例も報告されています。肝硬変とは肝臓が線維化して固くなり本来の機能を失った状態で、非常に深刻です。また脂肪肝の人は心筋梗塞など動脈硬化性疾患のリスクも高まることがわかっています。つまり脂肪肝は肝臓だけの問題ではなく、全身の健康に関わる警告サインなのです。現在、脂肪肝そのものを治す特効薬は存在しないため、生活習慣の改善によって進行を食い止めることが何より重要です。

脂肪肝と診断されたらまずすべきこと

脂肪肝と診断されたら、今日からできる生活習慣の改善に取り組みましょう。

以下に具体的な対策を5つ挙げます。どれも難しいことではありませんので、できることから始めてみてください。

アルコールを控える

アルコールは肝臓に大きな負担をかけます。お酒の飲み過ぎで脂肪肝になっている方は、まず禁酒または節酒が最優先です。禁酒することで、軽度の脂肪肝であれば数週間~数か月で改善する場合もあります。お酒を飲む習慣がある方は、この機会に量を大幅に減らすか、思い切って断つようにしましょう。

食生活の見直し(カロリー・糖質の制限)

食べ過ぎによるカロリー過多を是正しましょう。特に脂っこい揚げ物や甘いスイーツ、清涼飲料などの過剰摂取は肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。野菜やキノコ、海藻類など食物繊維の多い食品を積極的に摂り、主食・主菜・副菜が揃ったバランスの良い食事を心がけてください。間食や夜食のとりすぎにも注意が必要です。甘い物や果物の過剰摂取は中性脂肪を増やす原因になるため控えめにしましょう。無理な極端ダイエットは逆効果なので、適度に食事量を減らす「腹八分目」を目安に続けることが大切です。

適度な有酸素運動を習慣に。

運動不足は脂肪肝の大きな原因です。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど自分が取り組みやすい有酸素運動を週に150分程度(1日30分を週5日など)行うのが目標です。いきなりハードルを上げる必要はありません。普段より1日1000歩多く歩く(約10分程度)ことから始めてみましょう。慣れてきたら徐々に運動量を増やし、できれば毎日続けることを目指してください。運動は内臓脂肪を減らし、インスリンの効きを良くして肝臓への脂肪蓄積を防ぐ効果があります。

適正体重の維持・減量

肥満気味の方は減量が脂肪肝改善の近道です。目標は現在の体重の5~10%減を目安に、無理なく徐々に体重を落としていくことです。例えば体重90kgの方なら、まず5~6kg減量してみるイメージです。体重の5%減少で肝臓の脂肪が確実に減り始め7%減で肝臓の炎症が治まり10%減量できれば肝臓の線維化(硬くなる変化)の進行が抑制できると報告されています。急激な減量はかえって肝臓に負担をかける恐れがあるため避け、半年から1年かけてゆっくり減量するつもりで取り組みましょう。

定期的な検査と医師のサポート。 生活習慣を改善しても、効果が現れるまでには時間がかかります。その間も定期的に医師の診察を受け、血液検査や腹部エコー検査などで肝臓の状態をチェックしましょう。脂肪肝の陰にウイルス性肝炎など別の肝疾患が隠れていないか確認することも大切です。また脂肪肝の背景には糖尿病、高血圧、脂質異常症といった他の生活習慣病が潜んでいることが多いので、それらの治療も並行して行う必要があります。必要に応じて専門医を紹介してもらい、栄養指導や薬物療法(例:ビタミンE投与や糖尿病薬の使用など)が検討される場合もあります。自己判断で市販サプリメントに頼るのではなく、必ず医療機関で相談しながら進めましょう。

まとめ

脂肪肝と診断されたら落ち込む必要はありません。適切な生活習慣の見直しによって、脂肪肝は改善・予防することが可能です。実際、生活習慣を見直した多くの方が肝機能の数値改善や肝臓の脂肪減少を経験しています。大切なのは無理をせず継続することです。「できることから少しずつ」を合言葉に、今日から肝臓に優しい生活を始めてみましょう。そして定期的に検査を受け、医師と二人三脚で健康な肝臓を取り戻していきましょう。自分の肝臓を大切にすることが、将来の健康への第一歩です。

参考文献

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