脂肪肝の食事療法初級編|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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脂肪肝の食事療法初級編

脂肪肝の食事療法初級編|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2026年01月10日

健康診断で「脂肪肝」と指摘されたら、まず何をすればよいのでしょうか?脂肪肝(特にアルコールが原因ではない NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患)は、自覚症状がほとんどなく進行する「沈黙の臓器」の病気です。最近は MASLD(代謝関連脂肪性肝疾患)という新しい名称も提案されており、肥満・糖尿病など代謝異常を少なくとも一つ伴う脂肪肝を指します。NAFLD/MASLDは肥満や糖尿病、高血圧などメタボリックシンドロームと深く関係し、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。日本では成人の約25%前後が該当するとされ、決して珍しいものではありません。放置すると一部は肝炎(NASH)や肝硬変に進行しうるため、早めに生活習慣を見直すことが大切です。

なぜ「食事」が最も大事なのか

脂肪肝の改善には食事の見直しが最優先です。肝臓に脂肪がたまる主な原因は「エネルギー過多」つまり食べ過ぎにあります。摂取カロリーが消費を上回ると、余った糖分や脂肪分が肝臓で中性脂肪に合成され蓄積してしまいます。特に甘い物や脂っこい物の摂りすぎ、運動不足が重なると肝臓への脂肪蓄積が進み、脂肪肝を招きます。反対にいえば、食事内容と量を適正化することが脂肪肝の治療の基本となります。実際、各国のガイドラインでも生活習慣(食事・運動)の改善がNAFLD治療の第一選択とされています。

特に減量による効果は科学的にも証明されています。食事療法と運動療法により体重を7~10%減らすことで、脂肪肝の肝機能値や肝臓組織所見の改善が期待できると報告されています。このため医師からも「まずは体重を落としましょう」と指導されることが多いでしょう。ただし過激なダイエットは不要です。ゆるやかな減量でも肝臓内の脂肪は減少し始めますし、何より継続できる生活改善が大切です。また脂肪肝に対する特効薬はまだ確立されておらず(糖尿病治療薬などが一部併用される場合はありますが)、結局は食事管理こそが根本的な治療となるのです。

初心者がまず守るべき食事の3原則

初めて脂肪肝の食事改善に取り組む方は、以下の「3原則」を意識してみましょう。

規則正しくバランスの良い食事をとる
まずは1日3食を規則正しく食べましょう。食事を抜いた反動でドカ食いしたり、夜遅くにまとめて食べたりしないことが大切です。朝・昼・夕のリズムを整え、毎食で主食・主菜・副菜をバランス良く揃えるよう心がけます。野菜やきのこ、海藻類などから食べ始めると血糖値の急上昇を抑えられ、満腹感も得やすくなります。ゆっくり噛んで食べることで食べ過ぎ防止にもつながります。まずは「きちんと3食、ゆっくりバランス良く」が基本です。

適切なエネルギー量(カロリー)で体重管理
脂肪肝改善には適度な減量が有効です。目安として現在の体重の5~10%減を目標に、無理のないペースで減量しましょう。1週間に0.5kg程度のペースが負担少なく続けやすいと言われます。総摂取カロリーの目安は、個人差はありますが「適正体重(身長[m]^2×22)×25~30 kcal」程度に抑える方法がよく用いられます。例えば身長170cmで適正体重約63.6kgの場合、約1600~1900 kcal/日が目安となります。過度に厳しいカロリー制限は続かないので、まずは間食や夜食を減らす、一度に盛るご飯の量を少し減らすなど、できる範囲で摂取エネルギーを減らす工夫を始めましょう。ゆるやかでも確実に体重を減らせれば、肝臓には確実に良い変化が起こり始めます。

「糖質」と「脂質」の質・量に気をつける
エネルギーの中でも特に余分な糖質と悪い脂肪を控えることが重要です。お菓子やジュースなど糖分の多い食品・飲料はできるだけ減らしましょう。清涼飲料水などに含まれる果糖は肝臓で脂肪に変換されやすく、脂肪肝を悪化させる一因となります。また揚げ物やバター、脂身の多い肉など飽和脂肪酸の多い食品も肝臓に脂肪を溜めやすくするため控えめに。特にトランス脂肪酸を含むマーガリンや菓子類は避けた方が無難です。その代わり、良質なたんぱく質(魚や脂肪の少ない肉、大豆製品など)食物繊維(野菜・海藻・キノコ・全粒穀物)をしっかり摂りましょう。青背の魚に含まれるオメガ3系脂肪酸やオリーブオイルなどの不飽和脂肪は、適量をとれば肝臓や心血管に良い影響をもたらします。甘い物は果物で代用する、乳製品は低脂肪のものを選ぶ、といった小さな工夫も効果的です。「糖質は控えめ、脂質は質を選ぶ」という意識で食材を選んでみましょう。

脂肪肝にやさしい食材 vs 避けたい食品

では具体的に、脂肪肝に良い食材と控えたい食品にはどのようなものがあるでしょうか。下表に「おすすめ食品」と「要注意食品」の例を挙げます。

野菜・きのこ・海藻類

食物繊維やビタミンが豊富な野菜(ブロッコリー、ホウレンソウ、ニンジンなどの緑黄色野菜)や、きのこ(シメジ、エノキ等)、海藻(ワカメ、昆布等)は毎食たっぷり摂りたい食品です。食物繊維には満腹感を得やすくする効果があり、血糖値の急上昇を抑えて肝臓への脂肪蓄積を防ぎます。ビタミンやミネラルも肝機能を助け、抗酸化作用で肝臓の炎症を抑える効果が期待できます

良質なたんぱく質(魚介類・脂肪の少ない肉・大豆製品)

肝臓の修復に必要なたんぱく質は不足しがちなので、魚(特にサバ・イワシなどの青魚)脂肪の少ない肉(例:皮なしの鶏むね肉・ささみ)、そして大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など)からしっかり摂りましょう。これらは高たんぱくで低脂肪な食品群であり、肝細胞の再生を助け基礎代謝の維持にも有用です。調理法も揚げ物は避け、茹でる・蒸す・焼くなど油を控えめにできる方法がおすすめです。

果物(適量)

果物はビタミンや食物繊維が摂取できるヘルシーなおやつですが、糖分(果糖)が多いものもあるため食べ過ぎは注意です。例えばベリー類(ブルーベリー等)は抗酸化物質が豊富で肝臓の炎症軽減に役立つ一方、糖分も控えめなので適量ならおすすめです。果物全般は1日あたり適切な量に留め、間食として取り入れる場合はバナナ1本やリンゴ1/2個程度にするなど量を調整しましょう(※特に果汁100%ジュースは糖分過多になりがちなので控えめに)。

穀物類(全粒穀物)

主食には玄米や雑穀米、全粒パンなど精製度の低い穀物を選ぶと良いです。白米や白いパンよりも食物繊維を多く含み、食後血糖値の上昇を緩やかにして少量でも満腹感が得られやすくなります。精製された炭水化物の過剰摂取は脂肪肝リスクを高めるため、主食は適量に控えつつ栄養のある全粒穀物で置き換えると効果的です。

飲み物(無糖飲料)

普段の飲み物はお茶(緑茶、麦茶など)ブラックコーヒーなど糖分を含まないものが基本です。緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり肝臓の負担軽減が期待できます。また、コーヒーは肝臓の線維化リスクを低減させるとの研究もあり(脂肪肝発症リスクを約29%低減)、砂糖やクリームを入れないコーヒーであれば適量の摂取は有用です。ただし飲み過ぎに注意し、夕方以降はカフェインレスコーヒーにするなど工夫しましょう。炭酸飲料や加糖ジュースは避け、どうしても甘みが欲しい場合はノンカロリー甘味料入りの飲料を少量に留めます。

良質な油脂類

オリーブオイルえごま油・亜麻仁油など植物由来の油には一価・多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、動物性脂肪に比べて肝臓への負担が少ない良い油です。調理の際はバターやラードの代わりにオリーブオイル等を使い、ナッツ類(アーモンドやクルミ等)に含まれる油も適量なら肝臓にプラスになります。ただし油そのものも高カロリーなので、1日大さじ1杯程度までを目安に控えめに使用しましょう。良質な脂肪を適量摂ることで、満足感を保ちつつ肝臓に必要な脂肪酸を補給できます。

・ヘルシーなおやつ

おやつを摂る場合は無塩のナッツ一握りやプレーンヨーグルト、先述の果物少量などがおすすめです。これらはビタミンや良質なたんぱくを補給でき、一般的なお菓子に比べて肝臓への負担が少ないです。どうしても甘みが欲しい時はハチミツを少量かけたヨーグルトや寒天ゼリーなど低糖質の手作りおやつにすると良いでしょう。間食をとらないのがベストですが、どうしてもという時は質と量を工夫することがポイントです

砂糖・スイーツ類

砂糖を多く含むお菓子やケーキ、菓子パンなどは脂肪肝を悪化させる代表格です。過剰な糖分は余剰エネルギーとして中性脂肪に変換され肝臓に蓄積します。特に果糖を含む甘い菓子やジュースは肝臓への負担が大きいため避けましょう(例えば清涼飲料水や果汁飲料は絶対NGです)。どうしてもデザートが欲しい場合は果物を少量食べるか、カロリーオフの寒天デザートなどで代用してください。

清涼飲料水・アルコール飲料: 糖入りの飲み物(炭酸飲料、エナジードリンク、甘いコーヒー飲料等)

大量の砂糖を含み、飲み物という意識の低さから過剰摂取につながりがちです。これらは日常的に水やお茶に置き換え、甘味飲料は極力控えます。またアルコールは種類を問わず肝臓に大きな負担をかけ、脂肪肝を直接悪化させる要因となります。脂肪肝と診断されたら禁酒が理想で、どうしても飲む場合も医師と相談しつつ適量にとどめ、休肝日(週に2~3日)は必ず設けましょう。代替としてアルコールゼロのビールやカクテルなどノンアルコール飲料を利用するのも手ですが、糖分が含まれていない種類を選んでください。

脂質の多い食品(揚げ物・高脂肪の肉・乳製品)

揚げ物(天ぷら、フライドポテト、唐揚げなど)は調理に大量の油を使っておりカロリー過多になりやすい上、酸化した油脂が肝臓に悪影響を及ぼします。また、脂身の多い肉(バラ肉やベーコン、ソーセージ等の加工肉)や、バター・生クリームなど動物性脂肪分の多い食品も控えてください。飽和脂肪酸を多く含むこれらの食品は肝臓への脂肪蓄積を促進し、脂肪肝を進行させる恐れがあります。揚げ物やこってりした肉料理の代わりに、先述の蒸し料理や赤身肉・魚料理を選ぶようにしましょう。乳製品も生クリームや脂肪分の多いチーズは避け、摂るなら低脂肪牛乳やカッテージチーズなどを少量に留めます。

スナック菓子・インスタント食品

ポテトチップスやスナック菓子、カップラーメンなどの加工食品も脂質や塩分が非常に多く、添加物も含まれるため肝臓に負担をかけます。これらはトランス脂肪酸や過剰なナトリウムを含み、肝機能のみならず生活習慣病全般の悪化要因です。脂肪肝の改善には、加工度の低い自然な食品を選ぶことが大切です。おやつは上記のヘルシーな選択肢に置き換え、インスタント麺やスナック菓子は極力避けましょう。どうしても利用する場合は頻度を減らし、野菜を追加する・スープは残すなど工夫してください。

過剰な塩分

塩分の摂りすぎそのものは直接脂肪肝の原因ではありませんが、高塩分食は高血圧を招きメタボリックシンドロームの一因となります。高血圧や肥満は脂肪肝を合併しやすいため、塩辛い漬物や加工食品(ハム・干物・インスタント食品など)にも注意が必要です。味付けは出汁や香辛料・ハーブを活用して減塩し、市販のソースやドレッシングも低塩分のものを選ぶと良いでしょう。

※上記は一例です。糖分・脂肪分の多い加工食品やファストフードは総じて控えめにし、食物繊維やタンパク質中心の素材を増やすのがポイントです。特に砂糖を多く含む清涼飲料水やお菓子類は、肝臓内で脂肪合成を促し脂肪肝を悪化させる原因となるため注意しましょう。その一方で、魚や野菜、大豆製品などはビタミン・ミネラルも豊富で満腹感も得られるため、積極的に活用してください。

飲み物は水やお茶を基本にし、どうしても甘い飲料が欲しいときは無糖の炭酸水にレモンを入れる等の代替で工夫しましょう。なお、近年の研究ではコーヒーが肝臓の線維化進行を抑制する可能性も報告されています。砂糖やクリームを入れないブラックコーヒーであれば適量(1日2~3杯)楽しんでも問題ありません。

ただしアルコールは「非アルコール性脂肪肝」であっても全く無関係ではありません。少量なら大丈夫という説もありますが、基本的には肝臓の負担になるため禁酒・節酒が望ましいとされています。休肝日を設ける、飲む量を減らすなど心がけましょう。

実践できる1日の食事例とコツ

最後に、初心者でも取り組みやすい1日の食事改善例を紹介します。下の表は、従来の食生活の一例を「改善前」とし、脂肪肝にやさしいメニューに置き換えた「改善後」との比較です。

改善前

菓子パン2個、砂糖入りコーヒー

改善後

全粒粉トースト1枚、ゆで卵1個、野菜たっぷりスープ、ブラックコーヒー

改善前

ラーメン大盛り、唐揚げ、炭酸飲料

改善後

魚の塩焼き定食(焼き魚、ひじき煮、小鉢野菜)、麦茶

改善前

白米どんぶり山盛り、豚バラ肉の生姜焼き、ポテトフライ、ビール2缶

改善後

雑穀米お茶碗1杯、鶏むね肉と野菜の炒め物(油控えめ)、冷やっこ、ノンアルコールビール

改善前

クッキー・チョコレートなど甘いおやつ

改善後

素焼きナッツ一握り、無糖ヨーグルト+果物少々

最後に、食事療法を続けるためのコツをいくつか挙げます。

・野菜から先に食べる

主食より先にサラダやおひたし等の野菜を食べると満腹感が得られやすく、血糖値の上昇も緩やかになります。

ゆっくり噛んで腹八分目

食事に20分以上かけ、よく噛むことで満腹信号が出やすくなり食べ過ぎ防止に。お腹いっぱいになる前に箸を置く習慣を。

調理法を工夫

揚げ物より茹でる・蒸す・焼く調理を基本に。肉の脂身や皮はあらかじめ取り除き、油は敷きすぎないようにします。余分な油はキッチンペーパーで吸い取るだけでもカロリーダウンに。

買い置きを見直す

自宅にお菓子やジュースを置かないようにすると自然と口にする機会が減ります。代わりにカット野菜や果物、するめや昆布など低カロリーおやつを常備すると◎。

夜遅くに食べない

寝る直前の食事は肝臓に脂肪がたまりやすくなるため控えましょう。どうしても遅くなる場合は汁物やサラダなど消化の良い軽めのものにします。

無理なく続ける

完璧を目指しすぎず、まずは「ジュースは飲まない」「週に○日は休肝日」など具体的で達成しやすい目標から始めてみましょう。習慣化すればこちらのものです。

また、適度な運動も取り入れると一層効果的です。ウォーキングや軽いジョギングなど有酸素運動を週3~4回、1回30分程度行うと脂肪燃焼が促進されます。筋力トレーニングも併せて行うと基礎代謝が上がり、減量と脂肪肝改善の助けになります。食事療法と運動療法はセットで考えると理想的です。

脂肪肝は生活習慣の改善で良くなる可能性が十分にあります。最初は大変に感じるかもしれませんが、今日紹介したポイントの中からできそうなことを一つずつでも実践してみてください。継続するうちに少しずつ体重や血液検査の数値に変化が表れ、肝臓も元気を取り戻していくはずです。無理のない範囲で、できることからコツコツと始めてみましょう。あなたの肝臓はきっと応えてくれます。健康的な食生活への第一歩を、ぜひ今日から踏み出してみてください。

参考文献・サイト

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