脂肪肝の食事療法上級編|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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脂肪肝の食事療法上級編

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2026年01月12日

脂肪肝(NAFLD/MASLD)の概要と食事療法の重要性

脂肪肝とは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積した状態で、特にアルコールが原因ではないものを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びます。最近では代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)とも呼ばれ、肥満や糖尿病など代謝異常と深い関わりがあることが強調されています。

脂肪肝は放置すると肝炎(NASH)や肝線維化・肝硬変、さらには肝癌に進行する可能性があるため注意が必要です。現時点で脂肪肝そのものを直接治す承認薬はなく、食事を含む生活習慣の改善が最も有効な治療手段です。実際、適切な減量と栄養バランスの取れた食事によって肝臓内の脂肪や炎症が改善しうることが多数の研究で示されています。基本的な食事療法に既に取り組んでいる上級者の方は、さらに一歩進んだ栄養戦略を取り入れることで、肝機能の改善や合併症予防につなげることが期待できます。

推奨される栄養素と避けたい食材

脂肪肝改善には地中海式食事に代表されるバランスの良い食事パターンが有効です。地中海食はオリーブオイルや魚介類に含まれる一価・多価不飽和脂肪酸(オメガ3など)野菜・果物由来の食物繊維やポリフェノール豆類や全粒穀物など良質な炭水化物を豊富に含むことが特徴です。ビタミンやミネラルが多く、抗酸化作用を持つポリフェノール類も摂取できます。また、精製糖質や飽和脂肪の摂取が抑えられるため、肝臓への負担軽減につながります。各国のガイドラインでも脂肪肝の食事療法として地中海式を含む“質の高い食事パターン”が推奨されています。以下に積極的に摂りたい食品控えたい食品の例を挙げます。

積極的に摂りたい食品例

オリーブオイルなど植物油、不飽和脂肪酸の多い魚(青魚など)、脂肪分の少ない肉(鶏ささみ等)や大豆製品、野菜、海藻、きのこ、果物(※ジュースではなく丸ごとの果実)、全粒穀物(玄米や全粒パン)、豆類、ナッツ・種子類。これらは食物繊維や抗酸化物質が豊富で肝臓の脂肪蓄積を減らしやすくします。特に魚介類に含まれるオメガ3系脂肪酸は肝脂肪の蓄積予防や抗炎症作用が報告されています。

・控えるべき食品例

バターやラードなど飽和脂肪酸の多い油脂、脂身の多い肉(ベーコン、ソーセージなどの加工肉や霜降り肉)、揚げ物やスナック菓子、ケーキ・クッキー・アイスクリーム等の菓子類、清涼飲料水・果糖を多く含むジュース類。これらは飽和脂肪や精製糖質が多く、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。特に果糖(フルクトース)を含む加糖飲料の過剰摂取は脂肪肝発症の大きな要因であり、摂取量を減らすだけで数週間以内に肝脂肪が減少することが示されています。同様に赤身肉や加工肉の多量摂取も脂肪肝悪化と関連するため控えめにしましょう。

さらにコーヒーについて補足すると、ブラックコーヒーを日常的に飲む人は肝線維化の進行が遅い傾向が報告されており、米国肝臓学会では脂肪肝患者に1日3杯程度のコーヒー摂取を推奨しています。これは観察研究の結果に基づくものですが、カフェインの有無にかかわらず適量のコーヒーは肝臓に有益な可能性があります。ただし糖分たっぷりのカフェオレやフレーバーラテでは効果が期待できないため、できれば無糖のコーヒーを楽しみましょう。

減量目標と適切なエネルギー調整(BMI・体脂肪率との関係)

脂肪肝改善には減量(体重管理)が最も重要な鍵です。特に肥満傾向(BMI25以上)の方では、体重の7〜10%減少を目標にすると肝臓の炎症や脂肪沈着が大きく改善することが報告されています。例えば体重80kgの方なら約5〜8kgの減量が一つの目安です。5%程度の減量でも肝臓内の脂肪は減少し始めるため、無理のない範囲で段階的に体重を落としていきましょう。減量による効果は「多いほど良い」傾向があり、10%以上の減量が達成できれば肝線維化の改善も期待できるとされています。

興味深いことに、BMIが正常範囲(日本人では18.5〜24未満)であっても内臓脂肪型肥満の方は脂肪肝を発症する場合があります。このような「痩せ型脂肪肝」の方でも3〜5%程度のわずかな減量で肝臓の脂肪蓄積が解消するケースが報告されており、食事内容の見直しと適度な運動によりウエスト周囲径(腹囲)を減らすことが有効です。腹囲は内臓脂肪の指標であり、わずかな縮小でも内臓脂肪減少を反映しているため、継続的にウエストを測り変化を確認すると良いでしょう。

減量ペースは急ぎすぎず、例えば1週間に0.5〜1kg程度の緩やかなペースが推奨されます。総摂取カロリーを今よりも毎日500kcal程度マイナスにするだけでもこのペースの減量が可能です。具体的には間食や甘い飲み物を控えたり、調理に使う油やドレッシングを減らす、小麦製品や白米の量を少しずつ減らし野菜やタンパク質を増やす等の工夫でエネルギー調整していきます。重要なのは継続できる方法を選ぶことです。世の中には「◯◯ダイエット」が多数ありますが、研究では糖質制限でも低脂肪食でも、カロリーを減らせば体重減少効果に大差はないことが示されています。つまり、自分に合った無理のない食事法で総摂取カロリーを適正化することが肝要です。

食事頻度・タイミングと肝機能への影響

「何を食べるか」に加えて、「いつ・どのくらい食べるか」も脂肪肝に影響しうるポイントです。人の体は概日リズム(サーカディアンリズム)に従って代謝機能が変動しており、食事のタイミングや頻度がその調整に関与します。最近の研究では、食事回数が極端に少ない(1日2〜3回以下)生活を送る人は、1日4〜5回に分けて食事をする人より脂肪肝リスクが高いことや、夜の夕食から朝食までの絶食時間が長すぎる(14時間以上)人は脂肪肝になりやすいことが報告されました。言い換えると、規則正しく適度な頻度で食事を摂り、長時間の空腹状態を避ける方が肝臓にとって良い可能性があります。実際、12週間の臨床試験では1日3食に加えて健康的な間食を3回とる群が、朝食抜きや夕食抜きなどで1日3食以下だった群に比べて肝臓の脂肪蓄積や肝酵素値が有意に改善しました。逆に朝食を抜く生活では空腹時間が延びるだけでなく血糖コントロールも悪化し、肝臓への負担が増える可能性があります。

以上より、脂肪肝の方には毎日規則正しく3食を基本に、必要に応じて間食も取り入れることをおすすめします。ただし間食するときはポテトチップスやケーキではなく、無塩ナッツや無糖ヨーグルト、果物少量など質の良いものを選びましょう。また夜遅い時間のドカ食いは避けるべきです。一般に就寝前の重い食事は肝臓に脂肪がたまりやすくなるため、夕食は就寝2〜3時間前までに済ませ、どうしても空腹で眠れない場合は温かい牛乳や具だくさんのスープ程度に留めると良いでしょう。昨今話題の断続的断食(いわゆる「16時間断食」など)については、一部で肝機能改善に有効とも言われますが、現時点の臨床研究では肝臓脂肪への特別な有益効果は確認されていません。むしろ前述のように空腹時間が長すぎる生活は逆効果の恐れもあります。極端な断食よりも一日の総摂取エネルギー管理と食事内容の質を優先しましょう。

実践メニュー例・継続のコツ

最後に、上級者向けの食事療法を日々実践するための一日のモデルメニュー継続のコツを紹介します。地中海式食事の原則を取り入れつつも、日本人の食卓に合わせた例です。

朝食(例): 全粒パン1〜2枚にアボカドやトマトをのせたオープンサンド+ゆで卵1個、無糖ヨーグルトにブルーベリーひと握りを添えて。
ポイント: 食物繊維とタンパク質を含む朝食で一日をスタートさせます。果物はジュースではなく食物繊維ごと摂れる生のものを。

昼食(例): 雑穀ご飯または玄米ご飯少なめ1杯+サバの塩焼きまたはサーモンのグリル(魚でオメガ3脂肪酸を補給)+たっぷり野菜の味噌汁+冷やっこ(しょうがとネギを添えて)。副菜にほうれん草のおひたしやひじき煮など野菜料理。
ポイント: 和食スタイルでも肉の代わりに青魚や大豆製品を使うことで地中海食と共通するヘルシーさが得られます。汁物や副菜で野菜や海藻をかさ増しし、白米の量を調整しましょう。

夕食(例): 鶏むね肉のオリーブオイル焼きまたは豆腐ハンバーグ+彩り野菜のサラダ(オリーブオイルと酢醤油ドレッシング)+雑穀入り玄米少量。野菜スープやきのこのソテーを添えて満足感をアップ。
ポイント: 動物性脂肪を控えた高たんぱく・低脂肪のメインディッシュに、オリーブオイルを使った副菜を組み合わせます。ご飯やパンなど主食は控えめにし、その分野菜料理でお腹を満たします。調理法は揚げ物ではなく焼く・蒸す・茹でるを基本に。

間食(例): 午前と午後にそれぞれ1回ずつ、小腹が空いたら無塩のミックスナッツ一握りや無糖ヨーグルト、小さめの果物1個(みかんやリンゴなど)を。夜食は基本NGですが、どうしても空腹ならホットミルクや具だくさん野菜スープで温まりましょう。

継続のコツ: 食事療法は「続けること」が何より大切です。飽きない工夫として季節の食材やハーブ・スパイスを活用し、味のバリエーションを持たせましょう。また完璧を目指しすぎず80点主義でOKと考えてください。例えば外食時は揚げ物を避けつつも楽しみ、自宅で調整すれば問題ありません。体重や腹囲の変化を定期的に記録し、達成度合いを確認することもモチベーション維持に役立ちます。地中海食のエッセンスをすべて取り入れるのが難しい場合でも、一部を取り入れるだけでも効果は期待できます。自分の文化や嗜好に合わせて無理なくアレンジし、家族や友人と協力して取り組むと長続きしやすいでしょう。健康意識の高い皆さんの上級者向け食事療法で、脂肪肝の改善と健やかな生活をぜひ実現してください。

参考文献・サイト

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