膵臓がん(膵癌)とはどんな病気?|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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膵臓がん(膵癌)とはどんな病気?

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2025年10月04日

膵臓がんは、膵臓に発生する悪性腫瘍(がん)のことで、診断と治療の非常に難しいがんです。膵臓は胃の後ろ側、体の深部に位置し、長さ15〜20cmほどの細長い臓器です。食べ物の消化を助ける膵液(消化酵素)や血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを作る重要な役割を担っています。日本における膵臓がんの死亡数は年々増加しており、肺がん・胃がん・大腸がんに次いで4番目に多い状況です。残念ながら発見時にはすでに進行しているケースが多く、手術で切除できるのは患者全体のごく一部にとどまります。また、治療成績も厳しく、5年生存率(診断から5年後まで生存できる割合)は数%程度と非常に低い難治のがんです。

膵臓がん(膵癌)の症状

膵臓がんは初期にはほとんど症状がありません。膵臓が体内で最も奥、胃の裏側に位置するため、がんが小さいうちは自覚症状が出にくく早期発見は簡単ではありません。しかし病気が進行すると、さまざまな症状が現れ始めます。代表的な症状には腹痛食欲不振、お腹が張るような腹部膨満感、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などがあります。膵臓がんによる腹痛はみぞおち(上腹部)のあたりで感じ、背中まで響くように痛むケースもあります。また、原因不明の体重減少がみられることもあります。さらに、急に糖尿病を発症したり、もともとの糖尿病が悪化したりする場合は膵臓がんが隠れていることがあります。ただし、これらの症状は他の病気でも起こりうるため、「腹痛がある=膵臓がん」と直結するわけではありません。それでも、胃カメラ検査や大腸カメラ検査で異常がないのに腹痛が続く場合や、黄疸・体重減少など明らかな体調の変化がある場合には、医療機関で詳しい検査を受けることが大切です。

膵臓がんの検査・診断(胃カメラや大腸カメラ(大腸内視鏡検査)との違い)

膵臓がんが疑われる場合、診断のためにさまざまな検査が行われます。一般的な血液検査に加えて、腹部の画像診断が中心です。具体的には腹部超音波検査(エコー)や造影CT検査MRI検査といった画像検査で膵臓の状態を詳しく調べます。また、内視鏡を使った検査として超音波内視鏡検査(EUS)があります。EUSは先端に超音波装置が付いた特殊な内視鏡(胃カメラ(上部消化管内視鏡))を使い、胃や十二指腸から膵臓を近接して観察する方法です。これらの検査によって腫瘍の有無や位置、大きさ、他臓器への広がりなどを確認し、がんの診断を行います。必要に応じて、超音波内視鏡を使用した穿刺検査(EUS-FNA)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)という検査で膵液や細胞を採取し、病理検査(細胞・組織検査)を行うこともあります。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)や大腸カメラ(大腸消化管内視鏡検査)では膵臓を直接見ることはできません。膵臓は胃や大腸より奥に位置しており通常の内視鏡では届かないため、膵臓がんの診断にはこれらの内視鏡検査は用いられないのです。腹痛の原因検索で胃カメラ・大腸カメラに異常がなく、なお膵臓がんが疑われる場合には、前述した超音波検査やCT・MRI・EUSなどの画像検査が重要になります。

膵臓がんの治療と予後

膵臓がんの治療法には外科的な手術抗がん剤による化学療法があり、がんの進行度によって選択されます。早期(ステージI〜II)で発見できれば手術で腫瘍を切除し根治を目指します。しかし早期発見できる例は多くなく、診断時にすでに手術が難しい進行期(ステージIII〜IV)となっている場合がほとんどです。この場合は主に抗がん剤による全身療法(必要に応じて放射線療法の併用)を行います。手術で腫瘍を取り切れた場合でも再発リスクが高く、膵臓がん全体の5年生存率は数%という厳しい現状があります。

こうした膵臓がんの予後が厳しい最大の理由は、やはり早期に見つけにくいことにあります。近年の研究では、膵臓がんが体内で発生してから遠隔転移を起こすまでに10年以上かかる可能性があると報告されています。つまり理論的には長い「早期発見のチャンス」が存在するわけですが、症状が乏しく検査も難しいため、実際には見つけられないのです。現状では有効な膵臓がんの検診(スクリーニング)は確立されていません。喫煙歴や慢性膵炎、糖尿病など膵臓がんのリスク因子がある方は定期的に専門医の診察を受け、腹痛や黄疸など気になる症状が続く場合は放置せず早めに受診しましょう。早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、生存率の向上も期待できます。膵臓がんについて正しい知識を持ち、必要なときに適切な検査を受けることが、この「沈黙の臓器」の病気に対抗する第一歩です。

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