腹痛の原因は!?部位別チェックガイド|図でわかる原因疾患と受診の目安|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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腹痛の原因は!?部位別チェックガイド|図でわかる原因疾患と受診の目安

腹痛の原因は!?部位別チェックガイド|図でわかる原因疾患と受診の目安|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2025年5月16日

腹痛は誰にでも起こりうる身近な症状ですが、「お腹が痛い」と一口に言っても、その痛む場所や痛み方によって原因はさまざまです。実は胃や腸など消化器内科系の病気だけでなく、心臓や血管系、尿路系、婦人科系の病気でもお腹の痛みとして感じられることがあります。そこで本記事では、腹部を上・中・下、さらに左右の部位別に、考えられる代表的な腹痛の原因と特徴、随伴症状についてわかりやすく解説します。加えて、危険なサインや受診の目安、症状に応じた検査(胃カメラ・大腸カメラなどの内視鏡検査)の重要性についても述べます。幅広い年代の方が参考にできるガイドとして、ぜひお役立てください。

腹部は一般に、図のように上腹部・中腹部・下腹部、さらに右側・中央(真ん中)・左側のブロックに分けて考えます。この部位区分により、「痛みの出ている場所=どの臓器に由来する痛みか」の推測がある程度可能です。例えば、みぞおち(上腹部中央)の痛みは胃や十二指腸、胆嚢、膵臓など上腹部の臓器からくる痛みが集中しやすく、特に胃痛が原因であることが多い傾向があります。一方、下腹部の痛みでは、へその周り(中腹部)の痛みは小腸など腸のトラブルが多く、右下腹部なら典型的には虫垂炎(いわゆる盲腸)、左下腹部なら大腸の病気が疑われます。さらに、下痢を伴う場合は腸炎(胃腸炎)など感染症を考えますし、その他にも泌尿器系(腎臓・尿管)や婦人科系(卵巣・子宮)の病気が隠れている可能性もあります。

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上腹部の痛み:みぞおち・右上・左上の場合

上腹部は肋骨の下あたりからみぞおちにかけての領域です。この部分が痛む場合、主に消化器(胃・十二指腸・胆のう・膵臓など)や場合によっては心臓の疾患が関与します。それぞれ痛む場所(右寄り・中央・左寄り)ごとに、どんな原因が考えられるのか特徴を見てみましょう。

みぞおち(上腹部中央)の痛み

みぞおちがキリキリと痛む、シクシクと鈍く痛むといった症状は、まず胃や十二指腸の不調を疑います。急性胃炎では胃もたれや胸やけを伴う鈍い痛みが多く、慢性胃炎でもお腹の不快感が続くことがあります。胃酸の影響で粘膜がただれる胃潰瘍では、食後しばらくしてからチクチクとした痛みが出るのが典型的です。逆に十二指腸潰瘍では空腹時に痛み、食事をすると和らぐ傾向があります。こうした潰瘍はピロリ菌感染が原因のことも多く、放置すると出血して黒いタール状の便(黒色便)が出たり、穿孔して激痛を起こす危険があります。吐血や黒色便が見られる場合は消化管出血の疑いがあるため消化器内科をすぐ受診してください。また、胃・十二指腸潰瘍や胃炎は内視鏡検査(胃カメラ)で直接患部を観察すれば確実に診断できます。みぞおちの痛みが長引くときは早めに胃カメラ検査を検討しましょう。

一方、みぞおちの奥がキューっと締め付けられるように痛む場合、膵臓の病気も考えられます。特に急性膵炎は激しい上腹部痛が突然起こり、背中まで響くような痛みとなります。膵炎では吐き気や嘔吐を伴い、重症化すると血圧低下や意識障害を起こすこともある危険な疾患です。アルコールの多量摂取や脂っこい食事が誘因となることが多く、発症が疑われる場合は緊急入院の上で点滴治療が必要です。また膵炎ほど急性ではなくとも、慢性的な膵臓の炎症や膵臓がんでも上腹部から背部にかけて鈍い痛みが続くことがあります。膵臓は胃カメラや大腸カメラでは直接見えませんが、超音波検査やCT検査、必要に応じて内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの特殊な検査で診断します。いずれにせよ上腹部中央の激しい痛みは要注意で、特に脂汗が出るような強烈な痛みやふらつき症状がある場合は一刻も早く医療機関を受診してください。

さらに見逃せないのが、心臓由来の痛みです。狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患では典型的に胸の痛みを感じますが、人によってはみぞおち周辺や上腹部の痛みとして自覚されることがあります。胃の痛みと紛らわしいため注意が必要で、特に息苦しさや冷や汗、胸部圧迫感を伴う場合は心臓発作の可能性もあります。こうした症状が出現したら「ただの胃痛だろう」と自己判断せず、ただちに専門医を受診してください。

右上腹部(肋骨右下あたり)の痛み

右上腹部が激しく痛む場合、まず疑われるのは胆のう胆管のトラブルです。脂っこい食事を摂った後などに右上腹部が差し込むように痛み、背中や右肩甲骨の方まで痛みが放散する場合は胆石症(胆のう結石)による胆石発作の可能性があります。胆石が小さいうちは無症状でも、大きくなると胆のうの出口に詰まり激痛を引き起こします。胆石発作では脂汗が出るほどの痛みで七転八倒しますが、じっと安静にしていると数時間で治まることもあります。ただし繰り返すうちに急性胆のう炎(胆のうの細菌感染)に発展すると発熱、ひどい場合には黄疸が現れます。また胆のうだけでなく総胆管に石が詰まった場合は胆管炎となり、高熱や黄疸、さらには敗血症ショック(感染による血圧低下の危険状態)につながる危険もあります。右上腹部痛に加え発熱や皮膚や目の黄染(黄疸)があるときは緊急性が高いため、迷わず病院へ行きましょう。

右上腹部には肝臓も位置しています。肝臓そのものは痛みを感じにくい臓器ですが、急性肝炎になると肝臓の腫れによって右上腹部に重苦しい痛みや圧痛を感じることがあります。ウイルス性肝炎では全身のだるさや食欲不振、黄疸が伴いやすいです。また大量飲酒によるアルコール性肝炎でも右季肋部(右肋骨の下)を押すとギューっと痛むことがあります。肝炎は血液検査で肝機能異常(ALTやASTの高度上昇)が確認されますので、思い当たるフシがある場合は採血検査を受けることが大切です。

さらに、右側の腎臓・尿管の通り道に結石ができた場合にも右脇腹から背中にかけて痛みを生じることがあります(右上腹部の少し後ろ寄りの痛み)。尿路結石の痛みは突然襲ってくる激痛で、じっとしていられず思わずのたうち回るような発作痛が特徴です。特に尿管結石が右側の上部~中部尿管にあるときは痛みを右脇腹や右背中あたりに感じます。尿管結石発作では血尿(尿が赤く濁る)がよく見られるので、一度でも尿が赤くなったことがあるなら泌尿器科で検査してください。エコー検査やCTで結石の有無が分かり、比較的小さい石であれば薬で自然排石を促し、大きな結石では衝撃波で砕く治療などを行います。

左上腹部(肋骨左下あたり)の痛み

左上腹部は右側に比べて痛みの原因となる臓器が限られますが、いくつか重要な疾患があります。まず考えられるのは胃・十二指腸潰瘍慢性膵炎など、みぞおちの項で述べた病気が左上方に痛みを感じさせているケースです。実際、急性膵炎では左上腹部から左背部にかけての痛みが出ることがありますし、慢性膵炎や膵臓がんでも左寄りの鈍痛が続くことがあります。胃潰瘍も痛みの感じ方によっては左側寄りに感じる人がいます。

また、左上腹部には脾臓(ひぞう)という臓器があります。脾臓の病気自体は多くありませんが、伝染性単核症(EBウイルス感染症)などで脾臓が腫れると左季肋部に圧痛を感じることがあります。極めてまれに脾臓が破裂する(外傷や血液疾患による脾破裂)と急激な腹痛と腹腔内出血を来しますが、これは特殊なケースでしょう。

左胸の下あたりが痛む場合は、心臓由来の痛みも念頭に置きます。狭心症では必ずしも左胸だけが痛むとは限らず、みぞおちや左上腹部に違和感を覚えるケースもあります。特に高齢の方や動脈硬化の危険因子(高血圧・糖尿病・喫煙など)がある方で、運動時や興奮時に左上腹部の痛みを感じる場合は、念のため循環器内科で狭心症の検査(心電図や負荷心エコーなど)を受けてもよいでしょう。

その他、左側の腎臓・尿管結石でも右側と同様に左背部〜左脇腹にかけて激痛が発生します。左右どちらであっても、突然の脇腹の激痛と血尿があれば尿路結石を強く疑います。また左上腹部の裏側には肺の一部も位置するため、左肺炎左胸膜炎でも痛みを左上腹部に感じることがあります。咳や発熱を伴うときは呼吸器の病気にも注意しましょう。

中腹部の痛み:おへその周囲・右脇腹・左脇腹の場合

おへその高さを中心として中腹部(お腹の真ん中あたり)が痛む場合、小腸をはじめとする消化管のトラブルが多くみられます。ただし痛みが体の右側・中央・左側のどこに強く出ているかで原因の見当がつくこともあります。ここでは中腹部の痛みを「おへその周囲(中央)」と「右の側腹部」「左の側腹部」に分けて説明します。

おへその周り(中腹部中央)の痛み

へそ周辺が痛む場合、小腸大腸など消化管全般のトラブルがまず疑われます。代表的なのは胃腸炎や食あたり(感染性腸炎)で、ウイルスや細菌が胃腸に感染すると下痢・嘔吐を伴いながらお腹全体がキリキリ痛むことがあります。特にウイルス性胃腸炎(いわゆるお腹の風邪)は冬場に流行し、突然の嘔吐で始まりその後下痢が続くのが典型的です。発熱を伴うケースもありますが、多くは数日以内に改善します。ただし下痢が長引くときは脱水症状に注意し、水分と塩分補給を心がけてください。

腸閉塞(イレウス)も臍周囲の痛みとして現れる重要な疾患です。腸閉塞になると食べ物や消化液が先に進めず腸管がパンパンに膨らむため、お腹が強く張って激しい腹痛と吐き気・嘔吐を引き起こします。手術歴がある人では術後の腸の癒着が原因となることが多く、他にも腫瘍による腸管の閉塞や、腸がねじれる腸捻転大腸の一部が腸管内に入り込む腸重積など原因は様々です。お腹が張って便やガスも出ない場合は腸閉塞が疑われ、緊急入院の上での処置が必要になります。

虫垂炎(いわゆる盲腸炎とみなさまが言われるものです)も初期の段階ではおへその近くが痛むことがあります。典型例ではその後右下腹部へ移動する痛みが特徴的です。虫垂炎では手術の適応になることもあります。

おへその少し上あたりが脈打つように痛い場合は、大動脈瘤の破裂を疑うことがあります。腹部大動脈瘤は動脈硬化などでお腹の中の大動脈がこぶ状に膨らんだ病気で、高齢の方に多いものです。瘤が破裂すると突然の激痛と血圧低下(失神など)を招き、緊急手術が必要な危険な状態です。滅多に起こることではありませんが、高齢で高血圧の方が「おへその奥がズキズキ痛む」と訴えるときは注意が必要です。

また、漠然とお腹全体が痛い、場所が特定できないという場合は腹膜炎も念頭に置きます。腹膜炎とはお腹の中の膜(腹膜)が全体に炎症を起こした状態で、胃潰瘍の穿孔(穴あき)や虫垂炎の放置による腹膜刺激、肝硬変に伴う細菌性腹膜炎など様々な原因で生じます。腹膜炎になるとお腹全体がカチカチに板のように硬くなり(板状硬)、動くと激痛が走るのが特徴です。高熱が出て意識がもうろうとすることもあり、放置すれば命に関わります。お腹全体が強く痛む、触ると硬い、発熱があるといった場合は迷わず救急受診してください。

右側腹部(右の脇腹)の痛み

中腹部の右側、いわゆる右わき腹周辺が痛む場合には、前述の尿路結石が原因のことが少なくありません。特に右の尿管結石では右側腹部〜右下腹部にかけて痛みが放散しやすく、突然の激痛が走ります。加えて発熱や悪寒がある場合は結石により腎臓が細菌感染を起こす腎盂腎炎を合併している可能性があります。腎盂腎炎では腰痛や背中の痛み、38℃を超える高熱、尿の濁りや排尿時痛を伴うことが多く、早めの抗菌薬治療が必要です。

消化器系では、結腸の炎症が右側腹部痛の原因となることがあります。例えば潰瘍性大腸炎クローン病といった炎症性腸疾患では、大腸の広い範囲にびらんや潰瘍ができ腹痛と下痢が慢性的に続きます。クローン病は小腸の下部〜大腸(特に回盲部)に好発するため、右下寄りの腹痛や下痢が起こりやすいです。一方、右側の横行結腸に炎症や憩室(腸の壁の小さな袋状構造)の炎症が起こった場合も、右側腹部に痛みを感じることがあります。ただし大腸の右側(上行結腸)は便の内容物がまだ液状なため、炎症があっても下痢など軽微な症状で経過し気づきにくいことがあります。原因不明の長引く腹痛や下痢・血便がある場合は消化器内科で大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受け、炎症やポリープの有無を確認すると安心です。

左側腹部(左の脇腹)の痛み

左側の脇腹が痛む場合も、右側と同様に尿管結石腎盂腎炎が候補に挙がります。左の尿管結石発作では左脇腹から下腹部にかけて激痛が放散し、血尿が出現します。腎盂腎炎を併発すれば高熱と背中の痛みを伴い、入院が必要なケースもあります。

消化器では、左側腹部には下行結腸(大腸の左側の部分)が通っています。したがって大腸炎症状が左側にある場合、左腹部〜左下腹部に痛みが出ることがあります。代表的なのは大腸憩室炎で、特に欧米型の食生活の日本化に伴い近年左側のS状結腸に憩室が多数できる人が増えています。憩室自体は小さな袋で無害ですが、そこに便が詰まって炎症を起こすと左下腹部を中心に圧痛と発熱が生じます。軽症なら保存的治療(抗生剤と安静)で改善しますが、悪化すると膿が溜まったり腹膜炎に進展する恐れもあるため油断できません。

また左側の大腸には便が溜まりやすいため、便秘が続くと左脇腹〜下腹部にかけて張るような痛みが出ることがあります。ご高齢の方で普段から便秘傾向が強い場合、腹痛とともに食欲低下や血便があるなら虚血性腸炎も鑑別に挙がります。これは便秘後に一気に下痢をしたときなど腸の血流が一時的に途絶えて大腸粘膜にただれや出血が起こる病気です。多くは自然治癒しますが、念のため大腸カメラで腸内の状態を確認することがあります。

左側腹部の痛みであっても、範囲が広かったり場所がはっきりしない場合は前述の腸閉塞や腹膜炎など全腹部に関わる病態の可能性があります。痛みが移動したり、お腹の張り具合、発熱の有無など全体像を観察して判断することが大切です。

下腹部の痛み:右下・下腹部中央・左下の場合

おへそより下、いわゆる下腹部の痛みも頻度の高い症状です。特に右下腹部痛は虫垂炎(盲腸)が有名で、左下腹部痛は大腸の病気(憩室炎や便秘など)が多い傾向にあります。また下腹部には膀胱や子宮・卵巣といった泌尿器・婦人科の臓器も存在するため、それらのトラブルでも下腹部痛が起こります。ここでは右下、中央(下腹部全体)、左下の順に代表的な原因を見ていきましょう。

右下腹部の痛み

右下腹部が痛む原因で真っ先に思い浮かぶのは急性虫垂炎でしょう。一般に「盲腸」と呼ばれる虫垂炎では、典型的にはおへそのあたりの痛みから始まり(心窩部~臍周囲)、半日ほどして痛みが右下腹部に移動してきます。食欲不振や吐き気を伴うことも多く、虫垂炎が悪化すると発熱や腹膜炎の所見(歩くと響く痛み、お腹の筋肉の硬直など)が現れます。思い当たる症状がある場合、痛みが軽いうちに消化器外科または消化器内科を受診しましょう。初期なら抗生剤で治せることもありますが、基本的には外科手術(虫垂の切除)が根本的治療です。

右下腹部には大腸の一部(盲腸や上行結腸)もあります。そのため大腸の病気でも右下腹が痛むことがあります。例えば大腸憩室炎は左側に多い病気ですが、もともと右側に憩室がある人では上行結腸憩室炎を起こし右下腹部に圧痛と発熱を来します。また潰瘍性大腸炎クローン病など炎症性腸疾患でも、炎症部位が盲腸付近の場合には右下腹痛や下痢・血便がみられます。さらに、盲腸や上行結腸に大腸がんができた場合にも、初期には軽い違和感程度でも進行すると腹痛や腸閉塞症状が現れることがあります。とくに右側の大腸がんは便に血が混じりにくく気づかれにくいため、原因不明の体重減少や貧血を指摘された場合は要注意です。

消化器以外では、右の卵巣・卵管や腎尿路系の病気も右下腹部痛の原因となります。女性の場合、卵巣のう腫(嚢胞)が大きくなっていたり捻じれる(茎捻転)と下腹部の激痛を生じることがあります。また卵管や卵巣の急性炎症(付属器炎)でも下腹部痛と発熱、帯下(おりもの)の増加などが起こります。妊娠の可能性がある方では子宮外妊娠により卵管が破裂しかけているケースも危険です。月経周期や妊娠状況も考慮して鑑別する必要があります。

男性で右下腹部が痛む場合、尿管結石による痛みが下腹部に放散している可能性があります。また若い男性なら精巣捻転(睾丸のねじれ)という病気も稀にあり、これは急激な下腹部〜鼠径部の痛みとともに睾丸が腫れて非常に強い痛みを感じます。いずれにせよ、急な右下腹部痛は虫垂炎を含め放置できない原因が多いので、早めの受診が望ましいでしょう。

下腹部全体(下腹部中央)の痛み

下腹部中央、いわゆるおへその下あたりが全体的に痛む場合、まず考えるのは尿路系と婦人科系のトラブルです。男女共通で起こりうるのは膀胱炎やその進行した腎盂腎炎で、下腹部の痛みとともに排尿時の痛み・違和感や尿の混濁、発熱を伴います。放置すると腎臓にまで波及し重症化するため、排尿痛や頻尿を伴う下腹部痛は早めに泌尿器科を受診しましょう。

女性の場合、下腹部中央の痛みとして子宮や卵巣の病気がよく見られます。例えば子宮筋腫子宮内膜症では、生理の時に下腹部に強い痛みや圧迫感が生じます。月経時以外でも慢性的な鈍い痛みが続く場合は婦人科検診で一度チェックを受けると安心です。またセックスや経膣分娩の経験がある女性では、骨盤臓器脱(子宮や膀胱が下がってくる状態)でも下腹部の違和感や痛みを訴えることがあります。

さらに男女問わず注意したいのは、便秘による下腹部痛です。大腸の中でもS状結腸と直腸は下腹部中央に位置し、便が長く滞留するとお腹が張って痛みます。慢性的な便秘の人が「お腹が苦しい、張る感じがする」というときは、食物繊維や水分を十分に摂取し、必要に応じて便秘薬の使用も検討しましょう。便秘がちの人は普段から定期的な大腸カメラ検査を受けておくと、大腸ポリープやがんの早期発見にもつながります。

なお、下腹部全体がカチカチに張って激痛がある場合は、前述の腹膜炎を疑います。特に吐いても吐いてもおさまらない嘔吐や38℃以上の高熱、意識の低下などを伴う場合には緊急性が高いサインです。救急車を呼んででも早急に医療機関を受診すべき状況と言えます。

左下腹部の痛み

左下腹部が痛む代表的な原因は大腸憩室炎です。S状結腸という大腸の左下部に憩室(小さな袋状の突出)ができ、それ自体は症状がありませんが、炎症を起こすと左下腹部に鋭い痛みと発熱、圧痛が現れます。特に便秘傾向の方がある方が下痢、腹痛・血便を起こした場合、虚血性腸炎かこの憩室炎かを考えます。軽症なら外来で抗生剤治療が可能ですが、痛みが強く食事が摂れないような時は入院して絶食・点滴治療が行われます。

左下腹部には下行結腸や直腸が位置するため、大腸ポリープ・大腸がんなどがあっても痛みの原因となることがあります。特に進行した下行結腸がんS状結腸がんでは、狭くなった腸管に便が詰まって左下腹部痛や血便を生じることがあります。大腸がんは早期のうちは痛みが出ないため、40代以降で便潜血検査に陽性が出た方や親族に大腸がんの方がいる場合は、症状がなくても定期的に内視鏡検査を受けておくと安心です。

その他、女性の左卵巣が原因の下腹部痛(卵巣腫瘍排卵痛)、左尿管結石、男性なら左精巣の疾患など、基本的には右下腹部で述べたものの左右逆の臓器で起こる原因が考えられます。下腹部は様々な臓器が密集する場所なので、「いつもと違う」痛みを感じたら早めに専門医に相談しましょう。

腹痛に伴う危険な症状と受診の目安

腹痛の多くは一過性で心配のないケースもありますが、次のような危険サインがある場合は早めに医療機関を受診してください

  • 高熱を伴う場合(38℃以上の発熱や悪寒がある)
  • 嘔吐が続く場合(特に吐いた物に血が混じる)
  • 下痢が続く場合(特に水分がとれないほどの下痢や血便・黒色便が出る)
  • 激痛・激しい症状(脂汗が出るほどの痛み、姿勢を変えられない、意識がぼんやりする等)
  • 痛みが徐々に悪化している場合(だんだん強くなる、数時間経っても治まらない)
  • 過去に経験したことのない激しい痛み(急な激痛や今までにない種類の痛み)

上記のような場合、夜間でもためらわず救急受診を検討しましょう。また、命に関わる症状でなくとも腹痛が2週間以上続く場合や、軽い痛みでも1ヶ月以上だらだらと治らないような慢性的な状態は、一度病院で原因を調べることをおすすめします。腹痛に加えて体重が大きく減少してきた場合や、食欲不振が続く場合も要注意です。痛みで食事がとれない、動けないほどであれば我慢せず早めに専門医を受診してください。

受診する診療科ですが、原因がはっきりしないときはまず消化器内科や一般内科を受診するとよいでしょう。女性で下腹部痛が主症状の場合は婦人科、尿の異常を伴う場合は泌尿器科が適しています。迷う場合は総合内科などで相談すれば適切な科に振り分けてもらえます。特に激しい腹痛は先延ばしにすると手遅れになるケースもありますので、「様子を見る」の判断は慎重にしましょう。

内視鏡検査などによる詳しい診断の重要性

腹痛の原因を特定するには、症状や診察所見に加えて各種検査が役立ちます。代表的な検査として、腹部エコー(超音波検査)やCT検査、血液検査などがありますが、消化管の病気が疑われる場合は内視鏡検査が非常に有用です。胃の痛みであれば胃カメラ(上部消化管内視鏡)を行うことで、胃炎・胃潰瘍から逆流性食道炎、早期の胃がんまでダイレクトに発見できます。大腸の症状であれば大腸カメラ(下部消化管内視鏡)によって、大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎などをその場で診断可能です。内視鏡検査は不安に思われる方も多いですが、近年は機器の発達や鎮静剤の使用で苦痛の少ない検査が可能になっています。

特に人間ドックや健康診断では見つけにくいような病気も、症状があれば内視鏡や専門的な検査で初めて発見できることがあります。例えば膵臓や胆のう・肝臓の病気は健診の超音波や血液検査だけでは早期発見が難しく、症状が出てから精密検査で判明するケースも少なくありません。腹痛が続くのに健診で異常なしと言われた場合でも、安心せず専門医に相談して追加の検査を受けることが重要です。

また、内視鏡検査は診断だけでなくその場で治療も可能です。ポリープの切除や出血している箇所の止血処置など、早期であれば内視鏡治療で完結します。腹痛の原因によっては内視鏡で治療までできるケースも多いため、適切なタイミングで検査を受けるメリットは大きいと言えるでしょう。

横浜駅前ながしまクリニックで受けられる検査と治療の特徴

当クリニック(横浜駅前ながしまクリニック)は、横浜駅から徒歩圏内にあり、消化器内科を中心に内科・婦人科の診療を行っています。特に内視鏡検査には力を入れており、院長は胃カメラ・大腸カメラ合わせて1万件以上の検査実績を有するエキスパートです。豊富な経験に基づき、食道・胃・腸のみならず専門である膵臓や胆のう・肝臓領域まで含めた包括的な消化器診療に精通しています。また当クリニックでは胃カメラと大腸カメラを同日に連続して受けることも可能です。鎮静剤の使用によるリラックス下での検査や、経鼻内視鏡など苦痛の少ない内視鏡検査にも対応しており、「検査がつらいのでは」という不安をお持ちの方にも安心していただけます。さらに、企業や自治体の健康診断・人間ドックで胃や大腸の精密検査が必要と言われた場合の受け入れや、自費によるスクリーニング内視鏡検査の相談も可能です。消化器内科専門医・内視鏡専門医による質の高い診断と丁寧な説明で、不調の原因をしっかり突き止め、適切な治療とアドバイスを行っています。

腹痛は放っておいて自然に治る場合もありますが、その陰に重大な病気が隠れていることもあります。「おかしいな」と感じたら早めに専門医を受診し、必要な検査を受けることで安心と健康につながります。当クリニックでも横浜エリアの皆さまの「おなかのかかりつけ医」として、胃腸の内視鏡検査や各種診療に対応しておりますので、腹痛や消化器の不調でお困りの際はお気軽にご相談ください。消化器内科の専門スタッフが親身になってサポートいたします。あなたのお腹の健康を守る一助になれば幸いです。

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