市販の便秘薬は使用して良いの?便秘完全攻略!!|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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市販の便秘薬は使用して良いの?便秘完全攻略!!

市販の便秘薬は使用して良いの?便秘完全攻略!!|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2025年6月18日

慢性便秘に悩む方は世代を問わず多くいらっしゃいます。実は日本人の約14%が慢性的な便秘を抱えているとも推計されておりjstage.jst.go.jp、特に女性や高齢者で多い傾向があります。日々スッキリ出せない辛さは、生活の質(QOL)を大きく損ねてしまいます。こうした悩みから手軽に購入できる市販の便秘薬に頼っている方もいるでしょう。「市販の便秘薬って毎日使っても大丈夫?」「ずっと飲み続けると体に悪い?」そんな疑問にお答えしながら、便秘を完全攻略するためのポイントを解説します。便秘薬の正しい使い方から大腸メラノーシスという現象、さらに根本的な便秘解消法まで、消化器内視鏡専門の医師がエビデンスに基づき優しくお伝えします。

市販の便秘薬の種類と特徴 – 実は様々なタイプがあります

一口に便秘薬(下剤)と言っても、その作用機序によっていくつかの種類に分類されます。それぞれ効果や安全性が異なるため、まずは市販薬で手に入りやすい代表的なタイプを押さえておきましょう。

  • 膨張性下剤(食物繊維系):便のかさを増して腸を刺激するタイプ。オオバコ由来のサイリウムや寒天由来のものなどがあります。自然に近い形で排便を促しますが即効性は低めです。十分な水分摂取が必要で、効果は穏やかなので慢性便秘の予防や軽い便秘向けです。
  • 浸透圧性下剤(塩類・糖類系):腸管内に水分を集めて便を柔らかくするタイプです。酸化マグネシウムや乳糖(ラクツロース)などが代表例です。比較的安全で習慣性も少なく、慢性便秘症の治療でも第一選択として推奨されていますcarenet.com。便を柔らかくすることで自然な排泄を促し、長期使用も可能とされています。
  • 刺激性下剤(大腸刺激系):腸の神経や粘膜を直接刺激して腸のぜん動運動を強制的に起こすタイプです。即効性が高く、「すぐ出したい!」という時に効果的ですが、腹痛や下痢を伴うこともあります。センナ大黄(だいおう)(アロエやカスカラも同様)のようなアントラキノン系成分、またビサコジルピコスルファートナトリウムといったジフェニルメタン系成分が該当します。市販の便秘薬でもこれら刺激性成分を含むもの(例えばセンノシド配合薬など)が多く存在します。

以上の他にも便を軟らかくする潤滑剤(ジオクチルソジウムスルホサクシネートなど)や坐薬・浣腸といった直腸から作用させるタイプもありますが、ここでは主に経口の市販薬について説明しました。

★ポイント: 即効性が欲しいあまり、つい刺激性下剤に手が伸びがちです。しかし刺激性下剤は強力な反面リスクもあることを覚えておきましょう。次章で詳しく解説します。

刺激性下剤の長期使用に潜む落とし穴 – 大腸メラノーシスとは?

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/ytanaka/202502/587655.html より引用

市販薬に多い刺激性下剤ですが、「長く飲み続けても平気?」と思っていませんか? 実は刺激性下剤を常用することで腸に起こる代表的な現象に大腸メラノーシス(大腸黒皮症)があります。聞きなれない言葉ですが、これは長期間の下剤乱用者の大腸で見られる黒っぽい色素沈着のことです。

●大腸メラノーシスの機序(なぜ腸が黒くなるの?)
センナや大黄などアントラキノン系の刺激性成分を長期間服用すると、腸粘膜の細胞に蓄積した老廃物色素がマクロファージ(免疫細胞)に食べられて沈着し、腸の内壁が茶褐色〜黒褐色に着色します。つまり腸の内側にメラニン様の色素が溜まって黒ずんで見える状態です。普段は見る機会がありませんが、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うと腸の中が黒っぽく染まっていることで発見されます。

●メラノーシスによる影響 – 腸の動きが悪くなる?!
黒くなるだけなら見た目の問題ですが、怖いのは腸の機能低下です。刺激性下剤を漫然と使い続けると、腸の神経叢(ぜん動運動を司る神経ネットワーク)にまで変化が及び、かえって腸の動きが鈍くなって便秘をさらに悪化させる可能性があります。結果として下剤なしでは排便できない腸になってしまい、下剤を増量しないと効かなくなる耐性依存の問題も生じます。まさに負のスパイラルで、便秘が慢性化・重症化しかねません。

●大腸メラノーシス=がん?
黒い腸内を見ると「がんになったのでは?」と不安になるかもしれません。しかしメラノーシスそのものが大腸がんにつながる明確な証拠は現在のところありません。実際、メラノーシスがある人とない人で大腸がんの発生率に差はなく、因果関係は否定的と報告されています。この点はひとまず安心材料ですが、だからと言って刺激性下剤の常用が安全という意味では決してありません。近年の研究ではアントラキノン系下剤(センナやアロエ、大黄などを含む下剤)そのものにDNAを傷つける作用(遺伝毒性)が認められ、欧州では「長期連用すべきでない」との勧告や一部成分の販売規制が出されていますeposrl.com実際、欧州食品安全機関(EFSA)は2018年に「アントラキノン系成分は発がん性の可能性がある」と評価しました。安全のためこうした強い下剤は連続して2週間以上使わないことが世界的にも推奨されています(それ以上使う場合は医師の管理下で)。

●「たかが便秘薬」で臓器が黒くなる!?
大腸メラノーシスは4〜9ヶ月ほど長期間下剤を使い続けた人に起こりやすいことが報告されています。幸い、使用を中止すれば半年〜1年程度で沈着色素が消えて元の色調に戻る場合がほとんどです。とはいえ、「腸が真っ黒になって機能低下する」というのはショッキングですよね。便秘薬を安易に使い続けることの怖さを知っていただけたかと思います。

漢方系の便秘薬にも注意!防風通聖散の落とし穴

最近は「漢方だから安心」と、市販の漢方製剤をダイエット目的で服用するケースも増えています。例えば防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は肥満症に効果がある漢方として有名で、「飲むだけで痩せる漢方」として手軽に試す人もいます。

確かに防風通聖散は肥満傾向のある便秘体質に適した漢方薬で、余分な水分や老廃物を排出する効果があります。しかし、その成分18種の中には大黄(だいおう)が含まれており、これが先述のアントラキノン系の強力な下剤成分(センノシド)なのです。つまり防風通聖散を長期間服用すると、センナの錠剤を飲み続けるのと同じように大腸メラノーシスを起こすリスクがあります。実際に、「防風通聖散を半年以上飲み続けたら大腸カメラで腸が真っ黒と言われた」なんて報告もあります。

さらに問題なのは、こうした漢方由来の下剤成分は「薬を飲んでいる」という意識が薄れがちな点です。「漢方=自然=安心」と考えてしまい、下剤成分入りと知らずに漫然と飲み続けてしまう人も少なくありません。防風通聖散に限らず、大黄を含む漢方処方(麻子仁丸、大黄甘草湯など)はいずれも長期連用を避けるべきと専門家も注意喚起しています。中には5年以上の長期服用で腸の血管が石灰化する深刻な症例(腸間膜静脈硬化症)が報告されたケースもあり、安全と思われがちな漢方にも副作用リスクが存在します。

★ポイント: 「漢方だから大丈夫」と油断しないで!防風通聖散など生薬成分が多い薬ほど、副作用にも注意が必要です。便秘解消やダイエット目的であっても、強い下剤成分を含む漢方を自己判断で長期間使うのは危険です。どうしても試したい場合は専門家に相談し、定められた期間内で服用するようにしましょう。

便秘完全攻略:まず生活改善、そして医療機関での相談を

つらい便秘を根本から解消するためには、生活習慣の見直しと場合によっては医療機関での適切な治療が必要です。市販薬だけに頼る対症療法ではなく、腸の働きを整えるアプローチを考えてみましょう。

●生活習慣の改善が第一歩
慢性便秘症の診療ガイドラインでも、治療の基本は「生活習慣の改善」と明記されています。具体的には以下のようなポイントを意識してください:

  • 食物繊維をしっかり摂る:野菜や果物、全粒穀物、海藻類などを毎日の食事に。腸内で水分を含んで便の量を増やし、腸の動きを促します。
  • 十分な水分補給:水分不足は硬い便や便秘のもと。特に朝起きたらコップ1杯の水を飲む習慣が有効です。
  • 適度な運動:ウォーキングや体操などで腹筋や腸を刺激しましょう。体を動かすと腸の蠕動運動も活発になります。
  • 規則的な排便習慣:毎朝決まった時間にトイレに座るなど、排便のリズムを整えることも大事です。我慢せずトイレに行くことも習慣づけましょう。
  • ストレスを溜めない:精神的ストレスは腸の働きを乱します。リラックスする時間を作り、睡眠もしっかりとってください。

これら生活面の工夫で改善する便秘も多くあります。特に軽症の方や一時的な便秘であれば、市販の食物繊維サプリや乳酸菌製剤なども活用しつつ、まずは自然なお通じを取り戻すことを目指しましょう。

●それでも改善しないときは?医療機関で最新の治療を
十分に生活改善を行ってもなお頑固な便秘が続く場合、無理に市販の便秘薬を飲み足すより、一度消化器の専門医に相談することを強くおすすめします。というのも、近年は慢性便秘症に対して非常に有効な新しいお薬が続々と登場しているからです。

たとえば浸透圧性下剤の一種である酸化マグネシウムは昔から使われていますが、近年はさらに経口腸管洗浄剤(PEG製剤)という腸に優しい薬も開発されました。また、上皮機能変容薬と呼ばれるルビプロストン(商品名アミティーザ)リナクロチド(リンゼス)といった処方薬は腸の中に水分分泌を促して便を柔らかくする新しいタイプの便秘治療薬です。加えてエロビキシバット(グーフィス)のような胆汁酸トランスポーター阻害薬も登場し、腸の動きを活発にすることで便通を促します。これらはガイドラインでもエビデンスが高く強く推奨されており、慢性便秘に対する効果が証明されたお薬です。

一方、刺激性下剤や漢方薬はエビデンス不足のため補助的扱いとなっており、基本は必要なときだけに使う位置付けです。長期の連用は避け、やはり専門医の指導のもとで使う方が安心と言えます。

●便秘の陰に他の病気が隠れていないかチェック
慢性便秘の中には、大腸のポリープやがん、甲状腺機能低下症など何か別の疾患が原因で起こっているケースもあります。特に50歳以上で最近便秘がひどくなった、便に血が混じる体重減少貧血がある、といった警告症状が見られる場合は注意が必要です。ガイドラインでも、こうした場合には大腸カメラ(大腸内視鏡)検査等で器質的疾患がないか確認するよう強調されています。必要に応じて胃カメラや腹部エコーなど他の検査や、甲状腺ホルモンの血液検査なども行い原因を探ります。

★ポイント: 自分の便秘のタイプや原因を知り、最適な治療を選ぶことが大切です。「ただの便秘だから…」と自己判断せず、頑固な便秘ほど医療機関での診断・治療を受けましょう。専門医に相談すれば、今のあなたの腸の状態に合わせて生活指導お薬の処方をしてくれますし、何より安心です。

便秘に悩んだら【横浜駅前ながしまクリニック】へご相談ください

便秘が長引くと、「このままで大丈夫かな?」と不安になりますよね。市販薬に頼り続けるより、専門の医療機関で根本的な解決を図りましょう。神奈川県で慢性便秘にお悩みなら、横浜駅前ながしまクリニックが力になります。

当クリニックは消化器疾患の専門クリニックで、院長は胃カメラ・大腸カメラを含む内視鏡検査の実績が1万件以上と豊富な経験があります。便秘のご相談では、生活習慣のアドバイスから必要に応じた検査(大腸カメラ等)やお薬の処方まで丁寧に対応いたします。消化器内視鏡専門医による診察ですので、「実は大腸にポリープが…」といった場合でもその場で適切な処置や次の対応をご提案可能です。

また、当院では日帰りで受けられる人間ドックや各種健康診断にも力を入れており、胃カメラ検査なども含めて総合的に消化器の健康チェックが可能です。便秘だけでなくお腹の不調全般についてお気軽にご相談いただけます。

便秘完全攻略のまとめ

市販の便秘薬は一時しのぎには便利ですが、自己判断で長期間乱用するのは危険です。特に刺激性の強い下剤や漢方の防風通聖散などは大腸メラノーシスなど副作用のリスクがあるため注意が必要です。頑固な慢性便秘ほど、生活習慣の見直しと専門医による適切な治療で、安全かつ確実に改善を目指しましょう。お腹の悩みは放っておかず、早めの受診が肝心です。当クリニックでは親身になってお話を伺い、皆様の腸の健康を全力でサポートいたします。一緒に快適なお通じと笑顔の日々を取り戻しましょう!

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