2025年5月30日
多くの人が悩む「便秘」ですが、「たかが便秘」と放置していませんか?実は、慢性便秘症は単なる不快感の問題に留まらず、放っておくと重大な病気を招く可能性があります。特に中高年や忙しいビジネスパーソンに多く見られる慢性便秘症について、その定義や原因、放置することによるリスク、そして早期の検査・治療の重要性を解説します。大腸がんなど見逃してはならない疾患との関連や、安全に受けられる内視鏡検査についても、最新のエビデンスをもとに紹介します。
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慢性便秘症とは?その定義と原因
慢性便秘症とは、医学的にどのように定義されるのでしょうか。2017年に日本で初めて「慢性便秘症」の診療ガイドラインが策定されました。このガイドラインでは、便秘症を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。一般的に「3日以上排便がないと便秘」と思われがちですが、医学的には排便の回数だけでなく、残便感や排便の困難さなども含めて判断するのです。
厚生労働省の調査によれば、便秘は若い女性に多く見られますが、加齢とともに男女とも患者数が増加し、高齢者では男女差なく多くの人が便秘に悩んでいます。日本の高齢化や生活習慣の変化に伴い、慢性便秘症の患者数は年々増加傾向にあり、「たかが便秘、されど便秘」と言われるようにその診療の重要性も高まっています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/72/10/72_583/_pdf
では、なぜ便秘が起こるのでしょうか。その原因はさまざまですが、食物繊維や水分の不足、運動不足、不規則な生活リズム、ストレスなどの生活習慣が大きく関与します。また女性の場合、筋力の弱さやホルモンバランス(月経前や妊娠時の黄体ホルモンの影響)も便秘を起こしやすい要因です。さらに、便秘を引き起こす病気や薬剤も存在します。例えば糖尿病や甲状腺機能低下症など全身の病気、あるいは痛み止めや向精神薬など一部の薬剤は便秘を副作用として生じることがあります。中でも注意すべきなのは、腸の病気が原因で起こる便秘です。実は便秘症を引き起こす最も重要な病気は大腸がんだとされています。つまり、慢性的な便秘の陰には大腸がんなど重大な疾患が潜んでいる可能性もあるのです。このため、慢性の便秘が続く場合は原因を安易に自己判断せず、医療機関で詳しく調べることが大切です。
慢性便秘症を放置するとどうなる?~怖い健康リスク~
「便秘くらい放っておいてもそのうち治るだろう」と思っていると、思わぬ健康リスクにつながることがあります。慢性便秘症を放置することで起こり得る問題を見ていきましょう。
QOLの低下と深刻な合併症
慢性的な便秘が続くと、お腹の張りや食欲不振、慢性的な腹痛などにより生活の質(QOL)の低下を招きます。常にお腹がすっきりしない状態では、仕事や日常生活に集中できず、イライラやストレスの原因にもなるでしょう。さらに怖いのは、便秘が重症化した場合に起こり得る急性の合併症です。腸の内容物が長期間滞留すると腸内圧が上がり、腸閉塞(イレウス)を引き起こすことがあります。腸閉塞になると激しい腹痛や嘔吐などで入院治療が必要となり、最悪の場合、腸管が破れて腸穿孔を起こし緊急手術となる危険もあります。実際、「便秘も重症化すれば腸閉塞症状が出たり、さらには腸穿孔といった深刻な合併症が生じることもある」と指摘されていますhosp.hyo-med.ac.jp。便秘だからと油断せず、これらの深刻な事態を防ぐためにも早めの対策が必要です。
また、慢性的ないきみや硬い便によって**痔(じ)**を患う人も少なくありません。便秘は痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)の大きな要因であり、出血や痛みでさらに排便が怖くなるという悪循環に陥ることもあります。痔そのものは命に関わる病気ではありませんが、放置すれば慢性化して治りにくくなるため、便秘の段階で予防することが望ましいでしょう。
大腸がんなど重大疾患のリスク増加
慢性便秘症を放置すると、大腸がんをはじめとする重大な疾患のリスクが高まる可能性があります。便秘と大腸がんの関連については昔から指摘があり、便が腸内に長くとどまることで発がん性物質が大腸粘膜に接触する時間が増えることが一因と考えられていますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov、pmc.ncbi.nlm.nih.gov。近年の大規模な研究でも、慢性的に便秘がある人は便秘のない人に比べて大腸がんになる確率が有意に高いことが報告されています。例えばアメリカの約11万人を解析した研究では、1年間の大腸がん発症率が便秘のある人で2.7%、ない人で1.7%と便秘群で約1.6倍も高い結果でしたpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。さらに、この研究では便秘の程度が重い人ほど大腸腫瘍の発生率が高く、数年にわたる長期経過でもその傾向が持続することが示されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。別の疫学研究でも、慢性便秘症の患者は非便秘の人より大腸癌のリスクが高いとの報告があり、慢性便秘症は決して軽視できない状態だと分かります。
加えて、見逃せないのが心血管系疾患への影響です。慢性便秘症の人は食生活の乱れなど生活習慣上の問題を抱えている場合も多く、動脈硬化のリスク要因と重なることがあります。そのためか、便秘のある人は心臓病(冠動脈疾患)や脳卒中を発症しやすいとのデータも出てきています。実際にアメリカの大規模コホート研究では、便秘傾向や下剤の使用がある人は、ない人に比べ冠動脈疾患発症リスクが11%高く、脳卒中発症リスクも19%高いと報告されましたpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。さらに総死亡(寿命)リスクも有意に上昇しており、「便秘がある人はそうでない人より生命予後が悪い」という結果が示されたのですpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。このように、慢性便秘症は放置すると全身の健康に悪影響を及ぼし、生存期間にも影響しかねないことが明らかになってきました。
そして何より重要なのは、繰り返しになりますが慢性便秘症の陰に重大な疾患(とくに大腸がん)が潜んでいる可能性です。冒頭で触れたように、便秘症を引き起こす原因として最も注意すべきは大腸がんです。実際、大腸がんの初期症状の一つとして便秘や便通異常が現れることがあるため、中高年で便秘が続く場合は特に注意が必要です。「便秘だから仕方ない」と放置することは、大腸がんの発見遅れにもつながりかねないのです。過去に一度も大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けたことがない方で慢性便秘に悩んでいる場合は、ぜひ一度検査を受けてみることを強くおすすめします。消化器専門医は「便秘症を訴える患者さんにはまず大腸カメラを行い、大腸がんや大きなポリープがないか確認する」と述べています。大腸がんは早期発見できれば内視鏡治療で根治も望める疾患ですから、便秘を甘く見ず早期発見・早期治療のチャンスを逃さないようにしましょう。
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慢性便秘症への対処法:早めの検査と専門医の受診を
慢性便秘症かなと思ったら、早めに適切な対処をすることが大切です。まず予防・改善の基本は生活習慣の見直しです。食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻類を積極的に摂り、こまめに水分補給をしましょう。また適度な運動習慣や十分な睡眠を確保し、毎日できるだけ決まった時間にトイレに行くよう心がけることも腸の働きを整えるのに役立ちます。こうした生活改善で改善しない場合でも、現在では新しいタイプの便秘薬(腸の水分分泌を促す薬や腸の動きを調整する薬など)が登場しており、ガイドラインに沿った効果的な治療が可能になっています。市販の便秘薬を自己判断で長期間乱用するのは避け、症状が続くときは医師に相談して適切な薬を処方してもらいましょう。長く刺激性の下剤(いわゆるクセになる下剤)を使い続けると、大腸が黒ずむ大腸メラノーシスという所見が現れることがありますjstage.jst.go.jp。大腸メラノーシスそれ自体は深刻な病気ではないものの、腸の神経が障害されて腸管機能が低下する可能性も報告されていますjstage.jst.go.jp。自己流の対処に頼りすぎず、医師の指導のもと安全な治療を受けることが大切です。
そして何より、原因疾患の有無を調べるための検査を受けることが重要です。特に中高年で慢性便秘症がある場合、早い段階で大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けておくと安心です。会社の健康診断や人間ドックで便の検査(便潜血検査など)を受ける機会もあるでしょうが、便秘の症状が続いている場合は結果を待たずに消化器内科を受診することをおすすめします。大腸カメラは大腸がんやポリープの有無を直接調べられる精密検査であり、不安を取り除くために非常に有用です。必要に応じて胃カメラ(胃内視鏡)など他の検査を併せて行うことで、消化管全体の状態を一度に確認することもできます。
横浜駅前ながしまクリニックでは、そうした専門的な検査・治療を安心して受けていただけます。苦痛の少ない内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を実施しており、院長は消化器内視鏡の専門医で1万件以上の内視鏡検査実績があります。胃カメラと大腸カメラを同日に受けることも可能で、一度の来院で消化管全体を徹底的に調べることができます。また、当院は横浜駅西口から徒歩3分とアクセス良好で、忙しい方でも受診しやすい環境です。慢性の便秘症状にお悩みの方は、ぜひ早めに専門医にご相談ください。適切な検査と治療によって、つらい便秘から解放されるだけでなく、大腸がんなどの重大疾患の早期発見・予防にもつながります。慢性便秘症を甘く見ず、「おかしいな」と思ったら早めの受診で将来の健康リスクに備えましょう。
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