ピロリ菌検査が陽性?! 偽陽性の可能性と正確な診断法|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

〒221-0835神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-11-8 4階

045-534-8147

         予約について

ピロリ菌検査が陽性?! 偽陽性の可能性と正確な診断法

ピロリ菌検査が陽性?! 偽陽性の可能性と正確な診断法|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2025年5月29日

健康診断でピロリ菌検査が「陽性」と結果が出ると、「本当は陽性ではないのではないか?本当に自分はピロリ菌に感染しているのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。ピロリ菌感染は胃がんや胃潰瘍と深い関係があり、正確な診断に基づく適切な対策が重要です。本記事では、ピロリ菌とは何か、検査の種類と精度、偽陽性が起こる理由と防ぐ方法、そして除菌治療が本当に必要かどうかについて解説します。胃の不調や健診結果に悩む方の参考になれば幸いです。

ご予約はこちらから👇
https://ykhm-cl.com/first/#link02

ピロリ菌とは?胃潰瘍や胃がんとの関係

ピロリ菌は胃の粘膜に感染する細菌で、感染すると慢性的な胃炎を引き起こします。この慢性胃炎が長く続くと胃の粘膜が萎縮し、胃・十二指腸潰瘍や胃がんなどの重大な疾患につながることが知られています。実際、日本では胃がんの約99%がピロリ菌感染によるものだと報告されています。そのため、ピロリ菌に感染している場合は症状の有無にかかわらず除菌治療(抗生物質と胃酸抑制薬を1週間服用する治療)を受けることが強く推奨されています。ピロリ菌を除菌することで潰瘍の再発を防ぎ、胃がん発症リスクも大幅に低下することが分かっています。

日本内科学会Hpより

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/1/106_10/_pdf

ピロリ菌検査の種類と精度

ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査法はいくつかあります。それぞれ方法や特徴が異なり、精度(感度・特異度)も高い検査が多いです。主なピロリ菌検査の種類とポイントは次のとおりです。

  • 抗体検査(血液・尿検査):血液または尿中のピロリ菌に対する抗体価を測定する検査です。過去にピロリ菌に感染していた場合でも抗体が体内に残るため、現在感染しているかどうかは分からないことがあります。手軽に受けられる検査で健診(胃がんリスク検診など)にも広く採用されていますが、陽性だった場合はすぐ除菌するのではなく、後述の尿素呼気試験などで現在の感染を確認することが推奨されています。
  • 尿素呼気試験(UBT):検査用の薬剤([^13C]尿素)を服用し、一定時間後に吐く息に含まれる二酸化炭素を調べてピロリ菌の有無を判定する検査です。ピロリ菌が持つ酵素(ウレアーゼ)の作用で尿素が分解され二酸化炭素が発生する性質を利用しています。体への負担が少なく精度も高い(感度92〜98%、特異度90〜95%以上)検査で、現感染の診断法として信頼性が高いです。除菌治療前後の判定にも用いられます。ただし検査精度を保つため、検査前の2週間程度は胃酸を抑えるPPIなどの服薬を中止する必要があります(薬の影響で偽陰性になるのを防ぐためです)。
  • 便中抗原検査:便(排泄物)にピロリ菌のタンパク質(抗原)が含まれているか調べる検査です。こちらも非侵襲的(体に負担がない)で精度が高く、感度・特異度はいずれも90%以上と報告されています。現在ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる有用な方法で、除菌後の判定にも利用されます。便を提出するだけなので、例えば便潜血検査と一緒に行うこともでき、大腸カメラ健診などと並行して受けやすい利点があります。
  • 内視鏡検査(胃カメラによる生検):胃カメラ(上部消化管内視鏡)を使い、胃の中を直接観察しながら組織を採取して調べる方法です。採取した胃粘膜を特殊な試薬に浸して色の変化で判定する迅速ウレアーゼ試験や、顕微鏡で菌を確認する組織鏡検法(病理検査)によってピロリ菌感染の有無を診断します。胃の状態を直接チェックでき、かつ精度の高い方法ですが、検査そのものの体への負担(経口・経鼻内視鏡の挿入や鎮静剤使用など)が他の検査より大きくなります。ただし胃カメラ検査はピロリ菌の有無だけでなく、胃潰瘍やポリープ、早期胃がんの有無も同時に調べられる大きなメリットがあります。日本ではピロリ菌陽性者に対する保険適用の除菌治療を行うためには、胃カメラで慢性胃炎などの所見を確認することが必要です。そのため健診でピロリ菌陽性と言われた場合も、一度は胃カメラによる精密検査を受けることが推奨されます。

ピロリ菌感染経路について(武田製薬Hpより)

https://www.pylori-story.jp/pylori/cause/

検査結果が「偽陽性」とは?なぜ起こるのか

偽陽性とは、本当はピロリ菌に感染していないのに検査結果が陽性と判定されてしまうことです。ピロリ菌検査で偽陽性が起こる主な理由として、以下のようなケースが挙げられます。

検査条件の影響:検査を受けるタイミングや服薬状況によっては、結果に影響が出ることがあります。例えばピロリ菌が実際に存在していても、強力な胃酸抑制薬(PPI)を服用中だと菌の活動が一時的に抑えられ、検査で陰性になってしまう(偽陰性)場合があります。直前に抗生物質を服用していた場合も、一時的に菌量が減って検査で検出できないことがあります。こうした理由から、検査前には医師に現在服用中の薬剤や最近の服薬歴を伝えることが大切です。なお、偽陰性(感染しているのに結果が陰性)を防ぐために、医療機関では疑わしい場合に別の検査を組み合わせて確認する対応も行っています。総じて、ピロリ菌検査の結果は前提条件によって影響を受けることがあるため、検査時の体調や状況も含めて医師と相談するとよいでしょう。

過去の感染による抗体の残存:前述したように血液・尿の抗体検査では、現在ピロリ菌がいなくても過去の感染によって抗体だけが陽性になる場合があります。特に一度ピロリ菌に感染すると抗体価は高値を示し、その後除菌治療や自然排菌で菌がいなくなった後も抗体はしばらく陽性のまま残存します(半年〜数年かけて徐々に低下します)。そのため、抗体検査が陽性だからといって「今まさに感染している」とは限らない点に注意が必要です。

検査精度上避けられない偽反応:どんな検査でも感度・特異度が100%というわけではありません。ピロリ菌検査は高精度ですが、それでもごく稀に誤判定(偽陽性・偽陰性)が起こる可能性があります。例えば尿素呼気試験や便中抗原検査でも、検体の取り違えや検査キットの反応性の問題でわずかに偽陽性を示すケースがゼロではありません。ただ、その頻度は非常に低く抑えられており、通常はあまり心配しすぎる必要はありません。

偽陽性を避けるために:胃カメラ検査や再検査で正確に確認

ピロリ菌検査で陽性と言われた場合、偽陽性の可能性を考慮して精密検査や再検査で確認することが重要です。特に血液の抗体検査で陽性だったケースでは、いきなり除菌治療を始めるのではなく、胃カメラ検査や尿素呼気試験などで現在本当にピロリ菌に感染しているか確かめることが推奨されます。健康診断によっては抗体価が基準を少し超えただけでも「陽性」と判定される場合がありますが、その場合でも別の検査で現感染の有無を確認してから除菌治療を行う方が望ましいとされています。

偽陽性を防ぐ工夫として有効なのは、精度・特異度の高い検査を組み合わせることです。例えば抗体検査で陽性だった人に対して、追加で尿素呼気試験や便中抗原検査を実施すれば、より正確にピロリ菌感染の有無を判断できます。どちらもピロリ菌の活動そのものを反映する検査であり、組み合わせることで偽陽性・偽陰性のリスクを大幅に下げられます。また、胃の内視鏡検査(胃カメラ)を行えば、迅速ウレアーゼ試験や組織検査によって直接胃粘膜からピロリ菌を調べられるうえ、胃潰瘍やポリープ、胃がんの有無も同時にチェックできます。実際、消化器専門医は慢性胃炎を確認しなければ除菌を行うことが出来ないことから、「まず胃カメラでしっかり胃の状態を確認しましょう」と勧める先生がほとんどです。内視鏡で異常がなければ不必要な除菌治療は避けられますし、万一胃に炎症以外の病変(潰瘍や腫瘍など)が見つかった場合には早期に対処できます。

さらに、検査前の服薬状況や生活状況の確認も大切です。前述のようにPPI製剤などを飲んでいるとピロリ菌検査に影響するため、医師の指示で適切な休薬期間を設けてから検査を受けるようにしましょう。検査直前の抗生物質使用の有無や、検査当日の食事制限(特に尿素呼気試験では検査前の禁飲食時間の順守など)についても確認することで、検査の精度を最大限担保できます。このように、事前に万全の準備をして検査に臨むことが偽陽性・偽陰性を避けるコツです。

偽陽性なのに除菌治療をするとどうなる?

もし実際には感染していないのに誤って除菌治療(ピロリ菌の薬による駆除)を行ってしまうと、いくつかのデメリットが生じます。除菌治療では2種類の抗生物質と胃酸を抑える薬を約1週間服用しますが、薬には副作用のリスクがあります。典型的な副作用として、軟便・下痢、味覚の異常、発疹、肝機能障害などが報告されています。大多数は軽度で一過性と言われますが、人によっては強い下痢や腹痛が起こることもあり、感染していないのにこうした副作用リスクを負うことは避けたいものです。

また、必要のない抗生物質の使用は、細菌が薬に対する抵抗力を持つ耐性菌を生み出す原因にもなります。抗生物質の乱用によって薬が効かない耐性菌が増えると、将来本当に治療が必要になったときに効果的な薬が使えない事態を招きかねません。ピロリ菌に対する一次除菌治療で用いるクラリスロマイシンという抗生物質も、過去に頻繁に使われてきた影響で耐性を持つピロリ菌株が増え、除菌成功率低下の一因となりました。このように本来不要な治療は、副作用だけでなく将来的な耐性菌の問題にもつながるため注意が必要です。

さらに、経済的な面でも無駄が生じます。日本の保険診療では前述のように胃カメラ検査でピロリ菌感染が確認された場合に除菌治療が適用されます。もし精密検査をせずに除菌薬だけ処方してもらおうとしても保険は効かず、全額自己負担の自費診療となって高額になる可能性があります。その上、効果のない治療に時間と費用をかけてしまうのは得策ではありません。こうした理由からも、ピロリ菌検査が陽性でも慌てず正確な診断を付けてから除菌治療を行うことが大切です。

正確な診断で必要なときに適切な除菌を

誤解がないよう強調したいのは、ピロリ菌に本当に感染している場合には除菌治療が非常に有用だという点です。ピロリ菌を除菌することで胃潰瘍の再発予防や胃がんの発生リスク低減につながることは既に述べましたが、治療の成功率も高く、多くの患者さんでメリットが期待できます。一次除菌でうまくいかなかった場合でも薬を変えた二次除菌まで行えば、99%近くの方が除菌に成功するとの報告もあります。除菌が成功すれば慢性胃炎や胃潰瘍の発症率が大幅に下がり、胃がん予防にもつながります。ピロリ菌学会のガイドラインにおいても「ピロリ菌感染者には原則全員に除菌治療を行うこと」が強く勧められているほどで、ピロリ菌が陽性と判定され現に感染が確認された場合は、症状の有無にかかわらず前向きに除菌治療を受ける意義は大きいのです。

一方で、感染していないのに除菌治療をすることにはリスクが伴うため、本記事で説明してきたように正確な診断を下すことが何より重要です。検査結果を総合的に判断し、本当に必要と判断された場合に限り適切な除菌治療を行う——この姿勢が大切です。医師と相談しながら、自分の胃の状態やリスクをきちんと把握した上で治療するかどうか決めるようにしましょう。

大塚製薬HPより

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/h-pylori/tests-and-eradication/

胃の不調や健診結果に不安がある方は横浜駅前ながしまクリニックへご相談を

ピロリ菌検査の結果や胃の調子に不安がある方は、お近くの消化器内科専門医にぜひご相談ください。当院横浜駅前ながしまクリニック(横浜市・横浜駅近くの消化器内科クリニック)でも、胃カメラ検査や大腸カメラ健診などによる精密検査、およびピロリ菌の検査・除菌治療に対応しております。横浜で信頼できる消化器内科をお探しの方、健診結果について専門医の意見を聞きたい方、また「胃カメラや大腸カメラも含めてしっかり検査したい」という方も、どうぞお気軽に当クリニックへご相談ください。あなたの胃腸の健康を守るお手伝いをいたします。

胃カメラ検査👇

https://ykhm-cl.com/medical/medical04/

大腸カメラ検査👇

https://ykhm-cl.com/medical/medical05/

健康診断・人間ドック👇

https://ykhm-cl.com/medical/medical05/

ご予約はこちらから👇
https://ykhm-cl.com/first/#link02

TOP