「便秘」の基準と対策:症状の目安と効果的な改善方法|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

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「便秘」の基準と対策:症状の目安と効果的な改善方法

「便秘」の基準と対策:症状の目安と効果的な改善方法|横浜市横浜駅前の消化器内科・婦人科・内科|横浜駅前ながしまクリニック

2025年6月13日

便秘の基準とは何か?

便秘とは一般的に「3日以上排便がない、あるいは毎日排便があっても残便感がある状態」を指します。日本消化管学会の定義によれば、便秘とは「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞留することで起こる兎糞状(コロコロ)便・硬い便、排便回数の減少、過度ないきみ(怒責)、残便感、直腸や肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」とされています。つまり単に排便の回数が少ないだけでなく硬い便強くいきまないと出せない出し切れない感じが残るといった症状も含めて便秘と考えるのです。便秘になるとお腹の張り(膨満感)やガスの滞留による不快感が生じるだけでなく、肩こりや頭痛など全身のさまざまな不調も現れることがあります。特に慢性的な便秘(症状が3か月以上持続する場合)は慢性便秘症と呼ばれ、若い世代では女性に多くみられ、高齢になるほど男女とも有病率が高まる傾向があります。

参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjm/advpub/0/advpub_2022-0036-IR/_html/-char/en#:~:text=evoke%20CVD%2C%20especially%20in%20elderly,9%7D%20In

便秘が及ぼす影響とリスク

便秘は日常生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、放置すると思わぬ健康リスクを招く可能性があります。慢性的な便秘は長期的には大腸がんのリスク増加心血管疾患のリスク増加との関連が報告されています。便秘時に強くいきむ習慣があると一時的に血圧が上昇心臓や血管に負担がかかるため、高齢者では脳卒中や心筋梗塞などの引き金になる恐れが指摘されています。また、便秘により腸内環境が悪化すると悪玉菌が増殖し、有害なガスや物質が発生します。その結果、お腹の痛みや張りだけでなく、ガスが血中に吸収されて呼気が臭くなる(口臭)肌荒れが起こる、といった全身への悪影響も生じかねません。便秘そのものが直接重大な病気を引き起こすわけではありませんが、「便秘は万病のもと」とも言われるように体調全般に影響し得るため、軽視せず適切に対処することが重要です。

さらに、便秘による二次的な合併症にも注意が必要です。硬くなった便を排泄するために強くいきむことで痔(じ)を誘発したり悪化させたりすることがあります。高齢者や要介護の方では、重度の便秘から腸閉塞(イレウス)を起こすケースもあります。また慢性便秘の患者さんでは睡眠障害や抑うつ傾向を合併する率が高いとの報告もあり、便秘の改善が心身の健康につながる可能性があります。このように、便秘は単なる不快な症状に留まらず全身の健康に関連しうるため、早めの改善を心がけましょう。

便秘の主な原因

慢性便秘の原因は人によって様々ですが、大きく分けると機能的な要因と器質的(病的)な要因があります。

  • 食生活の乱れ・食物繊維不足: 現代人に多い原因の一つが食物繊維や水分の不足です。食物繊維が不足すると便のカサが減り腸の動き(蠕動ぜんどう運動)が低下して便秘になりやすくなります。特にダイエット中の若い女性で極端に食事量や炭水化物を減らしている場合、慢性的な便秘につながることがあります。

※不溶性食物繊維:便のカサを増加させ、腸の蠕動を促します。

   ※水溶性食物繊維:便を柔らかくし、便の滑りを良くします。

  • 運動不足: 身体活動量の低下も腸の働きを鈍らせます。実際、2020年の新型コロナ禍における外出自粛では世界的に身体活動が減少し、新たに便秘になる人が増えたとの報告があります。適度な運動は血行を良くし腸の動きを促進するため、運動不足は慢性便秘の大きな要因です。特に女性や高齢者は筋力が低下しやすく、腹筋や骨盤底筋の衰えが排便力の低下につながります。
  • 排便の我慢・生活習慣: 忙しさなどから便意を我慢する習慣があると、次第に直腸の神経が鈍くなり便意を感じにくくなることがあります。朝トイレに行く時間がない、職場や外出先でトイレを避けてしまう、といった生活習慣も慢性的な便秘を招きます。規則正しい排便リズムが乱れることが原因になるのです。
  • ストレスや自律神経の乱れ: ストレスも侮れない原因です。緊張やストレスで交感神経が優位になると腸の動きが抑制され、便秘や下痢など腸の不調が起こりやすくなります。逆にリラックスすると副交感神経が働き腸の蠕動運動が活発化します。実際、「脳腸相関」と呼ばれるようにストレスと腸の働きは密接に関係しており、慢性便秘の方はストレスマネジメントも重要になります。

  森永乳業HPより:https://kenko.morinagamilk.co.jp/user_data/column_10

  • 薬剤の副作用: 一部のお薬も便秘を誘発します。例えば痛み止め(オピオイド系鎮痛薬)抗うつ薬・抗不安薬抗コリン薬(喘息やアレルギー薬の一部)鉄剤などは副作用で腸の動きが落ちて便秘になることがあります。市販の便秘薬を濫用して効きが悪くなり、かえって頑固な便秘になるケース(下剤依存)も報告されています。
  • 病気が隠れている場合(器質性便秘): 大腸そのものの病気が原因で便秘になることもあります。大腸がんポリープ炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)で腸管が狭くなると便通が悪化します。また糖尿病甲状腺機能低下症パーキンソン病など全身の病気の症状として便秘が出現することも知られています。このような基礎疾患がある場合はその治療が優先されます。

以上のように、慢性便秘のほとんどは食事・運動・生活習慣に起因する機能性便秘ですが、一部に病気や薬剤性の便秘もあります。特に「最近急に便秘になった」「便秘に加えて腹痛や下血(血便)がある」といった警戒すべき症状がある場合は、自己判断で様子を見ず消化器内科を受診してください。医療機関では血液検査や画像検査のほか、大腸の中を直接観察する大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡)などにより、重大な病変がないか確認できます。

慢性便秘への効果的な対策

食物繊維と水分をしっかり摂ることが便秘解消の基本です。食物繊維には水溶性不溶性の2種類がありますが、どちらも便通を促進する効果があります。水溶性食物繊維は水に溶けて便を柔らかく保ち、不溶性食物繊維は水分を吸収して便のカサを増し腸を刺激します。野菜や果物、海藻、豆類、キノコ類などを毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。目標摂取量は18〜69歳の成人で男性20g以上・女性18g以上ですが、便秘改善のためには1日25g以上が理想とも言われます。不足しがちな場合は市販の食物繊維サプリやオートミールなどを活用するのもよいでしょう。

水分補給も重要です。便の約80%は水分でできており、水分が不足するとすぐに硬い便になってしまいます。理想は1日あたり約1.5〜2リットルの水分をこまめに摂ることです。特に朝起きてすぐコップ一杯の水を飲むと胃腸が刺激されて腸の動きが活発になるため、起床後の水一杯は便秘対策に効果的です。またカフェインを含むコーヒーや緑茶は利尿作用で水分が体外に出やすいため、ノンカフェインの麦茶や白湯、水を中心に摂るよう心がけましょう。

さらにオリーブオイルなど良質な油脂の摂取も便の滑りを良くする助けになります。料理にオリーブオイルを使ったり、サラダにかけたりして適量を取り入れると、腸内で潤滑油のような役割を果たして便通が促されます。

エビデンス: 食物繊維の十分な補給は多くの臨床研究で便秘の改善に有効とされています。実際、食物繊維サプリメント(特にサイリウム:オオバコ由来のもの)の継続摂取により便秘症の約66%が改善したとのメタ分析結果がありますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。一方で食物繊維の急増はお腹の張り(ガス)を招くこともあるため、徐々に増やしつつ自分に適した量を見つけてください。

2. 適度な運動習慣

ウォーキングやジョギングなど適度な運動は腸の蠕動運動を活発にし、便通の促進に役立ちます。運動によって全身の血行が良くなると腸の動きも改善するため、慢性便秘に悩む方はまず日常生活の中で体を動かす時間を増やしてみましょう。おすすめは有酸素運動を1日合計30分程度行うことです。例えば、通勤・通学時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、家事の合間にストレッチをする、といったこまめな動きの積み重ねが腸への刺激になります。体力に余裕があれば週に数回のジョギングや水泳、ヨガなども良いでしょう。

お腹周りの筋肉(腹筋)や排便に必要な骨盤底筋を鍛える体操も効果的です。腹筋運動やピラティス、ラジオ体操、骨盤底筋体操(肛門を締める動き)などを取り入れることで、排便時の腹圧を高めスムーズな排泄を促します。適度な運動はストレス解消にもつながり、自律神経のバランスを整えて腸の働きを改善するメリットもあります。

エビデンス: 運動習慣の有無は便秘の発症に明確な差を生むことが分かっています。ある研究では中〜高強度の身体活動を習慣にしている人は便秘リスクが有意に低下したとの結果が得られていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。また複数の臨床試験をまとめた解析でも、運動療法は便秘症の症状改善とQOL向上に効果があると報告されています(便秘症状の改善率が運動群で有意に高かった)pmc.ncbi.nlm.nih.gov。このように、運動と食事は慢性便秘に対する第一の治療とも言われ、実際に運動+食物繊維摂取の両面からのアプローチが有効であるとの報告がありますjstage.jst.go.jp

3. 生活習慣の見直しと排便トレーニング

生活リズムを整え、規則正しい排便習慣を身につけることも大切です。特に朝食後は胃・大腸反射(胃に食べ物が入ると大腸が動く反射)が起こりやすい時間帯ですので、毎朝きちんと朝食を摂り、食後にトイレに座る習慣をつけましょう。最初は出なくても構いません。一定の時間にトイレに行くことを繰り返すことで、徐々に体がそのリズムを学習し便意が起こりやすくなります。

便意を我慢しないことも鉄則です。仕事中・外出中でも便意を感じたらなるべく早めにトイレに行くようにしましょう。「あとでいいや」と我慢していると直腸内に便が溜まりすぎてさらに出にくくなる悪循環に陥ります。トイレでいきみすぎないコツとして、足元に小さな台(踏み台)を置いて和式トイレでしゃがむような姿勢(膝を高く曲げた姿勢)をとると直腸の角度が緩やかになり排便がしやすくなります。リラックスして深呼吸し、どうしても出ないときは無理に粘らず一度切り上げることも大切です。

ストレスコントロールも見直しましょう。十分な睡眠や入浴・趣味の時間を確保し、過度な緊張や不安を和らげることで自律神経のバランスが整えば、腸の動きも正常化してきます。便秘改善は生活全般の改善とも深く関わっています。

4. 市販薬・処方薬の適切な活用

食事や運動、生活習慣の改善を行ってもなお頑固な便秘が続く場合、便秘薬(下剤)の力を借りることも検討しましょう。現在、薬局では様々なタイプの便秘薬が市販されています。大きく分類すると、腸を直接刺激して動きを促す刺激性下剤(センナ由来のものやビサコジルなど)と、便に水分を引き込んで柔らかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、乳糖〈ラクツロース〉など)があります。座薬や浣腸(グリセリン浣腸)は即効性がありますが、常用は避け必要時のみにします。市販薬を使う場合、最小量から試し自分に合った量を見極めることが大切です。添付文書の用法・用量を守り、それでも改善しない時は医師に相談してください。

日本で古くから用いられている代表的な便秘薬に酸化マグネシウム(マグネシア)があります。これは便に水分を集めて軟らかくする薬で、比較的安全で長期使用もしやすいため多くの慢性便秘患者に処方されています。実際、酸化マグネシウムやセンノシド(大腸刺激成分)はプラセボ対照試験でも排便回数の増加や生活の質の改善に有効だったと報告されています。ただし酸化マグネシウムは稀に高マグネシウム血症を起こすことがあり、特に腎機能の低下した高齢者では定期的な血液検査で安全を確認しながら使うことが推奨されます。市販薬でも長期間改善がない場合は医療機関の受診が勧められます。

近年では新しい作用機序の便秘治療薬も次々登場しています。たとえばルビプロストン(商品名アミティーザ)は腸管内への水分分泌を促すことで便を柔らかくする薬で、2012年に日本で承認されました。以降、グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬(リナクロチド〔リンゼス〕やプレカナチド)、5-HT<sub>4</sub>受容体作動薬(プルカプリド)など、慢性便秘症に有効な新薬が登場し治療の選択肢が広がっていますresearchgate.net。これらはいずれも医師の処方が必要な薬剤ですので、市販薬で改善しない難治性の便秘は専門医に相談すると良いでしょう。

https://www.viatris-e-channel.com/products/amitiza.php

5. 専門医への相談と検査(大腸カメラ等)

便秘が長引く場合や体重減少・血便・激しい腹痛など気になる症状を伴う場合は、必ず消化器科など専門医を受診しましょう。医師は問診や診察に加えて、血液検査や腹部エコー検査で甲状腺機能や糖尿病の有無、大腸の状態などを確認します。必要に応じて大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行い、大腸がんやポリープといった器質的異常がないか詳しく調べます。特に50代以降の方で便秘が悪化してきた場合は、一度大腸カメラによるチェックを受けておくと安心です。また上腹部に症状がある場合は胃カメラ(上部消化管内視鏡)による検査も併せて行い、胃や十二指腸の異常を確認することがあります。定期的な健康診断や人間ドックで便潜血検査などを受け、早期に異常のサインを見逃さないことも大切です。

幸い、多くの便秘症は生活改善や薬物療法で改善可能です。医師の指導のもとで適切な治療を続ければ、頑固な慢性便秘でも徐々に症状が和らぎ、お通じのペースが整ってくるでしょう。

横浜駅前ながしまクリニックでの専門的なケア

慢性便秘に悩む方は、消化器の専門クリニックで相談してみるのも一つの方法です。例えば横浜駅前ながしまクリニックは横浜市でも信頼されている消化器内科クリニックの一つで、2025年現在「横浜市のおすすめできる消化器内科12医院」の一つとして紹介されていますmedicaldoc.jp。当院の院長は消化器内視鏡専門医であり、これまでに胃カメラ・大腸カメラ合わせて1万件以上の検査実績がありますbyoin-machi.net。最新の内視鏡システムを導入し、鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を提供しているため、初めての大腸カメラでもリラックスして受けていただけますkanagawa-doctors.com。また当クリニックは内科一般の診療や各種健康診断・人間ドックにも対応しており、便秘に限らず胃腸の不調全般について総合的にサポートいたします。

慢性便秘は20代から高齢者まで誰にでも起こり得る身近な悩みですが、適切な対策を継続することで必ず改善が期待できます。根気強く生活習慣を整え、それでも改善しない場合は遠慮なく専門医に相談してください。お腹の中から健康になることで、毎日の生活をもっと快適に過ごせるようになるはずです。当院でも豊富な経験と実績をもとに、一人ひとりの症状に合わせた最適な便秘治療をご提案いたします。辛い便秘にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。


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