2025年6月01日
性感染症(Sexually transmitted diseases : STD)って何?
性行為(膣性交・肛門性交・オーラルセックスなど)や体液・血液を介して感染する病気の総称です。放置すると不妊症や流産・早産など重い合併症を招くこともありますが、早期発見・早期治療で完治またはコントロールが可能です。

どうして検査が大切?
無症状なことも多いため、(例:クラミジアは女性の70%以上が無症状)知らずに他者にうつしてることも。将来の妊娠やパートナーを守るためにも検査が必要です。
以下、代表的な性感染症(STD)についてわかりやすく説明していきます。
クラミジア
主な症状:おりもの増加/性交時出血/下腹部痛 クラミジアは女性の70%以上が無症状
リスク:初めは無症状ですが、進行すると子宮頸管炎や骨盤内炎症を引き起こします。不妊の原因にも
なり、妊娠中の感染は早産、流産、子宮外妊娠などのリスクにもなります。
検査:おりもの採取(綿棒)
治療:抗生剤内服
ポイント:耐性菌対策で3週間後に再検査必須

クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis )病原体
国立感染研究所Hpより
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/chlamydia-std/010/chlamydia-std-intro.html
クラミジアは日本の性感染症で最も多い感染症です。
若年層の感染者が多く、5人に4人までが自覚症状がないという報告もあります。
しかしながら、自覚症状がないまま放置することで、精巣上体炎や骨盤内炎症疾患などをおこし不妊の原因となることもあります、
クラミジアで起こす尿道炎は 1〜3週間の潜伏を経て発症しますが、淋病に比べて潜伏期間が長く、発症しても軽いかゆみや痛み、膿がでるなどの不快感や違和感だけで、排尿痛もほとんど感じないなどの特徴もあります。
最近10年間はほぼ横ばいで、女性の患者数の方が多かったのですが、ここ数年男性患者数が上回ってきています。
梅毒の患者数が近年増加してきていますが、性感染症の中で性器クラミジアの患者数が圧倒的に多いと言えます。

●淋菌感染症
症状:膿状〜黄緑のおりもの/出血/下腹部痛
初めは無症状のことが多く、次第に骨盤内に炎症を起こすこともあります。
リスク:骨盤内感染症
検査:おりもの採取(綿棒)
治療:抗生剤点滴
ポイント:耐性菌が増加中!必ず3週間以降で再検査しましょう。

国立感染研究所Hpより
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ra/gonorrhea/010/gonorrhea.html
淋菌は非常に弱い菌であり、単独で存在することができないため、必ずヒトからヒトへの感染を起こします。
性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)などで2〜7日ほどの潜伏期間を置いて、粘膜に感染を起こします。
感染部位としては、女性の場合は膣、男性の場合は尿道や肛門に感染を起こします。そのため、淋病に感染すると男性は尿道炎、女性は子宮頸管炎を起こすことが多いです。
また、1回のSEXで感染する確率は30~50%と高い病気であり、感染を放置すると重症化をおこします。
梅毒(近頃急増中!)
症状:硬いしこり→発疹→リンパ節腫脹など段階的に変化
リスク:心血管・中枢神経梅毒
検査:採血
治療:ペニシリン系抗生剤内服(早期ほど治癒率↑)

国立感染研究所Hpより
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/syphilis/index.html
感染者の皮膚、粘膜、血液、体液に潜んでいることから、避妊具を使用しない膣性行為、オーラルセックス、アナルセックス、キスだけでも感染します。
そのため性器、口腔粘膜、咽頭周囲の粘膜から感染を起こし、潜伏期間は3~6週間とされています。
胎児が母体内で感染をすることもあり、先天梅毒と呼ばれます。それ以外の感染は後天梅毒と呼ばれます。
症状がなく、梅毒血清反応が陽性である無症候梅毒も認めます。

2022年感染症発生動向調査事業年報」厚生労働省健康生活衛生局感染症対策部感染症対策課・国立感染症研究所感染症疫学センター(2024年4月15日発行)
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/annual/2022/index.html
梅毒感染者は急増しており、厚生労働省からも注意喚起がなされています。
尖圭コンジローマ(HPV)
症状:カリフラワー状のいぼ/かゆみ/出血
スク:子宮頸がん・外陰がん・肛門がん
検査:視診・細胞診
治療:クリーム、液体窒素、レーザー
ポイント:ワクチン接種で予防◎(ガーダシル、シルガードは予防効果あり)

国立感染症研究所Hpより
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/condyloma/010/condyloma-intro.html
尖圭コンジローマに感染すると、HIV感染率が10倍以上高まる報告があります。
尖圭コンジロームまたは尖圭コンジローマは、性器への低リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症で、大部分が性交あるいはその類似行為で感染します。
性器ヘルペス(一度感染→神経節に潜伏し再発する特徴を持つ)
症状:潰瘍/水疱/強い痛み・かゆみ・排尿痛
リスク:再発・妊娠後期の母子感染
検査:視診または抗原検査
治療:抗ウイルス薬(重症は入院も)
ポイント:再発抑制療法あり
性器ヘルペスは性的接触による性感染症の一つで、男女ともにかかってしまう病気の一つです。
性器ヘルペスは単純ヘルペスウィルス1型(HSV-1)ないし2型(HSV-2)の感染があります。
性器に浅い潰瘍性または水疱性病変を形成する疾患です。
性器や肛門(または口唇)周辺の皮膚・粘膜における赤色の水ぶくれ、神経痛などの痛みを伴う場合があります。体調や疲労具合によっても症状が顕著に現れる場合もあり、初感染時は強く症状が出る場合もあります。
患者数は概ね横ばいではありますが、少しずつ増加傾向の兆しを見せています。

国立感染症研究所Hpより
https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
まとめ
性感染症は無症状にも関わらず、感染を起こしている場合もあります。パートナーが性感染症に罹患した場合などは積極的な確認を推奨します。横浜駅前ながしまクリニックの婦人科では女性の立場に立った女医による婦人科診療を行っております。月経不順などを理由とするピル外来や婦人科検診、更年期障害などのご相談も行っております。
性感染症かも…と思ったらまずは当院にご相談ください!当院ではブライダルチェックなども行っております。