2025年8月20日
「生理じゃないのに出血が…」「いつもと違うタイミングで出血がある…」
そんな経験はありませんか?
これは「不正性器出血(ふせいせいきしゅっけつ)」といって、月経以外の性器からの出血を指します。
婦人科外来ではとてもよく見られる症状のひとつで、原因はさまざまです。

🔹不正出血の主な原因は?
不正出血は大きく分けて、以下の2つのタイプに分かれます。
①器質性出血(何らかの病変があるタイプ)
病気や外傷が原因で出血するケースです。
- 腫瘍(良性または悪性)
例:子宮筋腫、子宮腺筋症、ポリープ、子宮頸がん、子宮体がん
- 炎症性
例:子宮頸管炎、腟炎など
- 外傷性
性交渉や出産後のキズ、処置後の出血など
🔍このタイプは内診・超音波検査・がん検診・おりもの検査などで原因が特定できることが多いです。
②機能性出血(ホルモンのバランスの乱れが原因)
検査をしても明らかな病変が見つからないタイプで、女性ホルモンの急激な変動や排卵の乱れによって起こります。
- ホルモンバランスの変動(月経周期が安定しない)
- ストレスや疲れ、体重の急な増減
- 思春期や更年期など、ホルモン変動が起きやすい時期
このタイプの出血は、「ホルモンの波」によって子宮内膜が不安定になり、部分的に剥がれ落ちて出血することが原因です。
🔸年齢によっても原因はさまざま
年代 主な特徴
🌱初経前 外傷やまれに腫瘍など、必ず検査が必要
🌸思春期(10代) ホルモン軸が未熟で、排卵が不安定=無排卵による出血が多い
🌼20〜30代 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、ホルモン異常も関与
🍂40代〜更年期 排卵しにくくなり、ホルモンの波が大きくなる → 無排卵性出血が増える
🌙閉経後 子宮がんや腟の萎縮など、がんとの関連も要注意
🔹排卵があるかどうかでも変わります
種類 説明
✔️排卵性出血 排卵期に出血がある(おりものに血が混じるなど)
❌無排卵性出血 排卵が起きず、ホルモンが乱れ、子宮内膜が不安定に剥がれて出血
🔸妊娠にともなう出血もあります
- 着床出血(妊娠初期に少量出血)
- 流産・子宮外妊娠など、妊娠の異常による出血
※妊娠の可能性がある場合は、まず**妊娠反応(尿検査・血液検査)**を確認することが大切です。
💡不正出血があったときは…
「様子を見てもいい出血」なのか「すぐ受診が必要な出血」なのか、自己判断は難しいことも多いです。
以下のようなときは、早めの婦人科受診をおすすめします。
- 生理と関係のない出血が何度もある
- 出血量が多い(ナプキン1〜2時間でいっぱい)
- 閉経後に出血があった
- 下腹部痛や不正なおりものを伴う
- 妊娠の可能性がある
📝まとめ
タイプ 内容
器質性出血 腫瘍・炎症・外傷が原因。検査で特定できることが多い。
機能性出血 ホルモンの波・排卵の乱れによる出血。若年層や更年期に多い。
妊娠関連出血 妊娠初期の異常出血や着床出血など。妊娠反応の確認を。