2025年7月08日
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:Polycystic Ovary Syndrome)は、卵巣に小さな卵胞(嚢胞)がたくさんでき、排卵がうまくいかなくなる疾患です。思春期〜30代の女性に多く見られます。(妊娠可能年齢の5~8%程度)
通常1回の生理で1個卵胞が発育し、成長して排卵を起こしますが、多嚢胞性卵巣症候群は卵胞の成長が途中で止まり、たくさんの小さな卵胞が卵巣内にとどまってしまう病気です。(多嚢胞の由来。)
卵胞が育たない理由は、脳からの月経に関わるホルモンバランスの異常や、男性ホルモンが多くなることが原因と考えられています。

1. 症状
- 症状
- 生理不順
- 男性ホルモンが多いことによる多毛、にきび
2. 診断基準
下記3項目を満たすとき、多嚢胞性卵巣症候群 と診断がつきます。
- 生理不順 (頻発月経:生理周期が短い、稀発月経:生理周期が長い)
- 超音波で卵巣内に小さな卵胞が多発している
またはAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が高い
- 血液検査で男性ホルモン高値
または黄体化ホルモン(排卵を促進するホルモン)が高値になる
3. 治療
*治療は、ライフステージ(妊娠の希望の有無など)に応じて選択されます。
- 肥満がある場合(体重BMI>25) 食生活、の見直し
体重増加がPCOSを悪化させる可能性があるとの報告があります。
まずは食生活の見直しと、無理のないペースでの減量を目指します(例:1か月に1kg程度)
目標はBMI 25未満です。
- 妊娠を希望しない場合
3か月以上の無月経は子宮体癌のリスクを上げることがわかっています。無月経や無排卵の状態が続
く場合はホルモン 療法が必要となります。ピルまたはホルモン剤を用いて、定期的に月経を起こし
ます。
- 妊娠を希望する場合
PCOSでは排卵が起こりにくいため、排卵誘発剤を使用して排卵を促し、妊娠を目指す治療を行うこ
とがあります。
もちろん、自然妊娠が可能な方もいらっしゃいますので、状態に応じて最適な方法を相談しながら
進めていきます。