2025年7月13日
HRTとはホルモン補充療法のことで、減少した女性ホルモン(エストロゲン)の補充を行うことで更年期症状を軽減することができます。

富士製薬HPより参照
<HRTに期待できる効果>
- ホットフラッシュ/ 発汗
- 腟のピリピリ感
上記2症状はHRTが非常に効果的といわれています。
- 不安 抑うつ症状
一部に改善がみられることも。
- 不眠
HRTが有効といわれていますが、不眠の原因はいくつかあるためHRTで解決しないこともあります。
- 関節痛
関節痛を改善する効果もあるといわれています。
<エストロゲン製剤の種類と特徴>
エストロゲン製剤の種類は大きくわけて3つ、貼付剤/ジェル剤/内服剤です。
いずれの製剤においても効果は同等といわれており、生活スタイルや体質に合わせて剤形を選びます。
★上記エストロゲン製剤に(子宮がある方は)プロゲステロン製剤を併用し、子宮内膜がんの予防を行っていきます。
- 貼付剤 (パッチ)
使用製剤:エストラーナテープ

メリット:
・皮膚から成分が吸収されるため、肝臓への負担が少ないとされています。
・動脈硬化のリスクを軽減できる可能性があり、特に肥満の方や血栓リスクが気になる方に適 しています。
・肝機能障害や胆石・胆のう疾患のある方にも使用が検討できます。
デメリット:
・皮膚に直接貼るため、肌がかぶれやすい方には不向きな場合があります。
- ジェル剤 (塗布タイプ)
使用製剤:ル・エストロジェル/ ディビゲル

メリット:
・皮膚から成分が吸収されるため、肝臓への負担が少ないとされています。
・動脈硬化のリスクを軽減できる可能性があり、特に肥満の方や血栓リスクが気に
なる方にも適しています。
・肝機能障害や胆石・胆のう疾患のある方にも使用が検討できます。
デメリット:
・アルコールが含有されているため、アルコールアレルギーの方は使用できません。。
・塗布部位を乾かす時間が必要です。
- 内服剤
使用製剤:プレマリン/ ジュリナ

メリット:
・他の剤型と比べて費用が比較的安価です。
・肌に直接触れないため、皮膚が弱い方やかぶれやすい方にも使いやすいです。
デメリット:
・肝臓で代謝されるため、肝機能に不安がある方や血栓リスクの高い方には注意 が必要です。
・胃腸の調子が悪いときは吸収に影響が出る場合があります。
<HRT 合剤タイプ エストロゲン+プロゲステロン含有>
- 貼付剤
使用製剤:メノエイドコンビパッチ

メリット:
・皮膚から成分が吸収されるため、肝臓への負担が少ないとされています。
・動脈硬化のリスクを軽減できる可能性があり、特に肥満の方や血栓リスクが気になる方に適しています。
・肝機能障害や胆石・胆のう疾患のある方にも使用が検討できます。
・エストロゲン/プロゲステロン合材のためこれ一剤で補充が完了できます。
デメリット:
・皮膚に直接貼るため、肌がかぶれやすい方には不向きな場合があります。
- 内服薬
使用薬剤:ウェールナラ錠

メリット:
・エストロゲンとプロゲステロンがあらかじめ1錠に配合されているため、服用がシン プルです。
・毎日決まった時間に1回服用するだけなので、管理がしやすく、継続しやすい ことが特徴です。
・皮膚に影響がないため、貼付剤やジェル剤でかぶれが起こる方にも安心です。
デメリット:
・肝臓で代謝されるため、肝機能に不安のある方や血栓リスクが高い方には注 意が必要です。
・他の内服薬との飲み合わせに配慮が必要な場合もあります。
・本来は閉経後骨粗しょう症の適応のお薬になります。
<HRTの投与方法>
- 周期的投与
まだ月経がある方にお勧めの方法です。
特徴としては、今まで通り月経を定期的に起こすことが可能です。
こちらの方法ですと休薬期間に更年期症状の再燃を訴える方がいらっしゃるため、エストロゲン製剤のみを連続で使用する周期的持続療法を行うこともあります。
- 連続投与
閉経からしばらく経過した方がこちらの方法ではじめることが進められます。
毎日同じ量で継続するためわすれにくく、更年期症状の再燃も生じにくいです
しかし、開始後数か月は出血することが見込まれます。
<HRTができない方:禁忌>
- 活動性の重度肝疾患
- 現在または既往の乳がん、子宮体がん、子宮内膜間質肉腫
- 妊娠の可能性がある場合
- 急性血栓性静脈炎、静脈血栓症、心筋梗塞、脳卒中などの既往
<HRTの慎重投与ないしは条件付きで投与可能>
以下に該当する方は、医師とよく相談したうえで開始を検討します。
- がんの既往(子宮内膜・卵巣)
- 肥満/60歳以上/閉経後10年以上
- 高血圧・高脂血症・糖尿病のコントロール不良
- 子宮筋腫・子宮内膜症・腺筋症
- 血栓リスク、SLE、てんかん、片頭痛 など
